CFA Level I

CFA Level I 受験生によるコーポレートファイナンス纏めページ!

 

【R33】Corporate Governance and ESG Summary

コーポレートガバナンスとステークホルダーの概要

コーポレートガバナンスとは、個々の企業のコントロールシステムやその手続きを指します。各ステークホルダーの権利や責任、どのように利害調整するかといった事柄をまとめたものです。

ステークホルダーとしては以下のような主体が挙げられます。

まずは株主(Shareholders)、そして株主は取締役(Board of Directors)を選出します。そして取締役は経営層(Managers)を監督し、経営層は労働者(Employee)を監督します。債権者(Creditors)は会社に資金を融資・投資を行います。ステークホルダーとしては他にも顧客(Customers)、サプライヤー(Suppliers)、政府や規制当局(Government)の存在があります。

これらのステークホルダー同士では、プリンシパルエージェント問題があります。プリンシパル(Principal)が何かしらの目的のためにエージェント(agent)に動いてもらうという構図を指します。

ここで最も重要になるプリンシパルエージェント問題は、株主と経営層の関係性です。株主は経営層を監督する取締役を選任します。株主にとっては企業価値(株主価値)を最大化する誘因があるのに対して、経営層や労働者は彼ら自身の給与を最大化したい誘因があり、ここに齟齬があります。コーポレートガバナンスとは、そうした目的の齟齬を最小化しようとするものです。

ステークホルダーマネジメント

ステークホルダーマネジメントとは、様々なステークホルダーの利害認識を行うことを指します。ステークホルダーの利害がはっきりしたところで、それらを十全に管理する必要が出てきます。管理方法は、以下のようなものがあります。

  • 株主総会(General meetings)
    株主は会社の重要な問題について議決権を行使し、意見を表明することができます。株主総会では、取締役の選出が行われます。
  • 監査(Audits)
    会社の財務報告書などについては、監査役からのチェックを受け、透明性を担保する必要があります。透明性のチェックという観点では、関連会社との取引の監視も含まれます。

その他報酬システムの方針(Remuneration policies)も、株主と労働者の利害調整の役割を果たします。

取締役は会社のそれぞれの決定事項を担う委員会を設置することができます。委員会の例としては以下のようなものがあります。

  • 監査委員会(Audit committee)
  • ガバナンス委員会(Governance committee)
  • 報酬委員会(Remuneration committee)
  • 指名委員会(Nomination committee)
  • リスク委員会(Risk committee)
  • 投資委員会(Investment committee)

ステークホルダーやコーポレートガバナンスに影響する要素

ステークホルダーやコーポレートガバナンスに影響を与える要素としては以下のようなものがあります。

  • 株主とのエンゲージメント/対話(engagement/communication)
  • 株主の行動主義(activism)
  • 株主や社会に利益をもたらすようにそれぞれの国のルールや規制に従うこと
  • 敵対的買収の脅威と、それに対する防衛策
  • 議決権行使代理企業(advisor on proxy voting)やコーポレートガバナンス格付け(rating)を行う企業による評価

コーポレートガバナンスが脆弱な企業におけるリスクとしては以下のようなものがあります。

  • 社内の経営システムが非効率になる
  • 非効率な意思決定プロセスになる
  • 法的なリスク
  • 規制リスク
  • レピュテーション(reputation)リスク
  • デフォルトリスク

一方で優れたコーポレートガバナンスの利点とは

  • 経営状況(営業状況や財務状況)効率性が向上すること
  • デフォルトリスクが低くなることによる資本コストの抑制

といった点が挙げられます。

コーポレートガバナンスはどのように評価されるか

コーポレートガバナンスがどのように分析され評価されるかという点では、以下のような要素があります。

  • 議決権や持分の構造
  • 取締役の構成(独立取締役の人数など)
  • 報酬のマネジメントと経営状況
  • 投資家の構成
  • 株主の権利の強さ(株主の意思がより強く反映されるため)
  • 長期的リスクのマネジメント

E(Environment)S(Social)G(Governance)投資

ESG投資は投資判断において重要になりつつあります。

  • ESGインテグレーション
    環境社会ガバナンスの各要素について、投資判断を行う際に重みづけを行う手法を指します。
    ESG投資に関連して以下のような語句もしばしば登場します。
    ・サステナブル投資
    ・責任投資
    ・社会的責任投資
    ・インパクト投資

ESG投資の方法としては、以下のようなものがあります。

  • ネガティブスクリーニング―ESG評価指標に適合しない投資先を排除する方法
  • ポジティブスクリーニング―ESG評価指標に適合する投資先に集中させる方法
  • テーマ型投資―エネルギー効率性や気候変動などといった指標に着目して投資を行う方法

【R34】Capital Budgeting

資本予算策定プロセスについて

資本予算策定(Capital Budgeting)とは、企業による投資プロジェクトの取捨選択のプロセスを指します。

資本予算策定のプロセス

  • 投資アイデア創出(Generate ideas)
  • 投資プロジェクト分析(Analyze project ideas)―NPV, IRRなどを用いた分析
  • 企業全体での資本予算策定(Firm-wide capital budget)
  • 意思決定とその後の管理(Monitor decisions and conduct post-audit)

投資プロジェクトの例としては以下のようなものがあります。

  • 取り換えプロジェクト(Replacement projects)
  • 規模拡大プロジェクト(Expansion projects)
  • 新規開発プロジェクト(New products and services)

予算資本策定の原則

1. キャッシュフローの増加分を考慮する

・サンクコストは検討しない

・外部性を検討する

5millionのキャッシュフローを生み出す機械を取り換え、8millionのキャッシュフローを生み出す機械にした場合、キャッシュフローの増分は3millionとなる。また、新しい機械装置として何を買うべきかのリサーチにかかった費用(サンクコスト)は考慮せず、加えて新しい機械を購入した場合の企業全体への波及効果は考慮に入れる。

2. キャッシュフローが生じるタイミングを考慮する

3. 機会費用(opportunity costs)を考慮する

4. 税金を考慮する

5. 資本調達コストは無視する

※上の例で、機械から発生するキャッシュフローについて、NPVに引き直す場合に用いる資本コストに資本調達コストはすでに含まれているため、資本調達コストを無視する必要があります。

投資プロジェクト同士の関係性について

独立プロジェクトと相互排他的プロジェクトの違い

  • A案とB案が両方とも実行できる場合には、それぞれ独立プロジェクト(Independent projects)とされますが、一方でC案とD案のどちらかしか実行できない場合は相互排他的プロジェクト(Mutually exclusive projects)とされます。

プロジェクトシークエンス

  • あるE案を実行する前にF案を実行する必要がある場合は連続的なプロジェクトとされます。

Unlimited fundsとは、投資プロジェクトすべてを実行する資金的余力があるような状況を指します。例えば20案のNPVが+の投資プロジェクトがあった場合にはそのすべてを実行することができます。

一方でCapital rationingとは、そうした投資プロジェクトの実行の際に資金的な制約が存在することを指します。こちらの方がより現実的な条件です。

投資の意思決定に用いる定量的指標

NPV

先ほどまで出てきていたNPV(Net present value)について説明します。NPVは現在価値とも訳され、将来にわたる税引き後キャッシュフローから投資額を引いたものです。

NPVが0より大きければ独立投資プロジェクトは承認されますが、0より小さければ却下されることになります。また、相互排他的投資プロジェクトの場合には、NPVがより高い方の投資プロジェクトが承認されます。

IRR

次に、内部収益率(IRR: Internal rate of return)について説明します。IRRは将来キャッシュフローの現在価値が0になるような割引率を指しています。

独立投資プロジェクトの意思決定の際には、IRRは要求収益率よりも大きくなければ承認されることはありません。また相互排他的投資プロジェクトの場合には、より高いIRRを持っている投資プロジェクトが優先されます。(ただし、IRRが資本コストを超えている必要があります。)

Payback Period

回収期間(Payback Period)とは、当初の投資コストを回収できる期間を指します。この指標を用いると企業の流動性が分かりやすくなる―より短い回収期間の方が流動性が高い―のに対して、キャッシュフローの現在価値や残存価値が無視されてしまうというデメリットがあります。

割引回収期間(discounted payback period)とは、現在価値に引き直した投資コストを回収できる期間を指します。この指標を用いると上記のデメリットでもあった、キャッシフローの時間的価値を考慮したうえで企業の流動性を測ることができますが、回収期間後のキャッシュフローや残存価値を無視してしまうデメリットが存在します。

収益性指標(Profitability index)は以下の式を用いて計算できます。

\(PI=\frac{将来キャッシュフローの現在価値}{当初の投資コスト}\)

PI=将来キャッシュフローの現在価値/当初の投資コスト

PIが1より大きい投資プロジェクトは承認され、PIが1より小さいと却下されます。

 

以下はNPVとIRRの指標のメリットとデメリットを比較しています。参考程度にご参照ください。

NPV method IRR method
メリット:

・企業価値の増分を直接分析できる

・キャッシュフローを理論的に正しく分析できる

メリット:

・資本コストと直接比較できる

・投資額に対するリターンを詳細に分析できる

デメリット:

・投資規模を無視する可能性がある

※収益性指標によって補完できる

例えば、投資額1billion と1millionでリターンが両方とも0.5millionである場合などが考えられる

デメリット:

・再投資されるという非現実的な過程がある

・相互排他的投資プロジェクトの場合はNPVと異なる優先順位が付される可能性がある

・複雑なキャッシュフローだと複数のIRRが計算できてしまったり、IRRが計算できないことも生じる

補足

・NPVと株価は密接な関係にあります。NPVがプラスの投資は企業価値を増大させるため、株主価値も向上します。

・公開会社や大企業では投資指標としてNPVやIRRが良く用いられるのに対して、ヨーロッパの企業では回収期間を重視する傾向にあるようです。

・それぞれの指標には一長一短がありますので、いくつかの指標を用いて投資案件を分析することが重要になります。

【R35】Cost of capital

加重平均コスト(WACC)

WACC(weighted average cost of capital)は、企業の総合的な資本コストを表したものです。

\(WACC = w_dr_d(1-t)+w_pr_p+w_er_e\)

例:

ある企業の資本構成は20%負債、10%優先株、70%が株式で構成されている。税引き前負債コストは6%、優先株コストは8%、株式コストは12%である。税率が30%としたときのWACCを求めよ

解答:

WACC=(0.2)(0.06)(1-0.3)+(0.1)(0.08)+(0.7)(0.12)=10.04%

ここでの10.04%は要求収益率、または企業の機会費用と同義です。

つまり、この企業は10.04%よりも大きなリターンを得られるような投資プロジェクトを選択することが求められているといえます。もしこうした企業の資本構成目標に係る情報が明らかになっていない場合は、

  • 市場価値に基づいた現在の資本構成
  • 企業の資本構成に関するトレンドや、資本構成方針にかかる文書
  • 当該企業が属する平均的な資本構成

最適資本予算の決定について

この図では、企業がいかにして最適な資本政策(optimal capital budget)を行うかを分析することができます。X軸は資本の増分(new capital raised/invested)を表しています。増資すればするほど、限界資本コスト(Marginal cost of capital)が増加していっているのが分かります。

また、投資機会曲線(investment opportunity schedule)は右下がりになっているのは、ある投資水準でのリターン効率を表しています。増資すればするほど、リターンが低下すると解釈できます。

※NPV計算の際にWACCを用いる問題点は以下の通りです。

企業の資本構成が、永遠に目標資本構成であり続けるという仮定を置いている点

  • プロジェクトのリスクが企業の平均リスク(WACC)と異なっている場合に割引率は調整されなくてはならない点
  • 各プロジェクトのリスクによって割引率は上下方に調整される必要がある点

負債コストの計算について

満期アプローチ(Yield to maturity approach)

例:

ある企業は額面価格$1000 , 5年物10%で半年ごとの利払いが行われる社債を発行しており、$950で購入可能である。企業に対する限界税率が40%である場合の税引き後負債コストを求めよ

解答:

・N=5*2=10, PV=-950, FV=1000, PMT=(0.10/2)*1000=50, I/Y=5.67%

・I/Yに2を掛けて年I/Yは11.34%となる

・税引き後負債コストは11.34%(1-0.4)=6.8%となる

負債格付けアプローチ

同じ格付けが付されている別の社債の最終利回りが10%である場合、その最終利回り10%に税率である(1-40%)を乗じることで6%の負債資本コストが計算できます。

株式コストの計算について

CAPM(capital asset pricing model)

\(r_e=RFR+β[E(R_m)-RFR]\)

RFR…risk free rate

DDM(dividend discount model)

\(r_e=\frac{D_1}{P_0}+g\)

※成長率gが与えられていない場合はRetention RateとROEを乗じて算出することができます

社債利回りにリスクプレミアムを乗せる

\(r_e=bond yield + risk premium\)

優先株コストについて、

\(Cost\ of\ capital\ stock =(preferred\ dividend)/(market\ price\ of\ preferred shares)\)

例:

XYZ社は一株当たり$200の優先株を持っており、$10の優先配当がある場合、上記の式に従うと10/200で5%となります。

民間企業またはプロジェクトのβについて

Pure Play Method

1:同じ規模で取引されている企業を候補としてまとめる

Tax(%) D/E ratio Equity Beta
Private company 25 1.8 NA
Comparable public company 30 1.2 1.8

 

2:D/E ratioと税率より、アンレバードβを計算する

\(β_{asset} = β_{equity} * \frac{1}{1\frac{(1-t)D}{E}}\)

Unlevered beta =1.8/[1+(1-0.3)(1.2)]

3:D/E ratioと税率より、レバードβ(Equityβ)を計算する

0.98*[1+(1-0.25)(1.8)]=2.30

国単位のリスクプレミアム

例えば米国の投資家がブラジルに投資する際、CRP(country risk premiums)を株式コストに加算します。

\(r_e=RFR+β[E(R_m)-RFR+CRP]\)

【R36】Measures of Leverage

レバレッジについて

レバレッジとは、企業の費用構成における固定費に使われるものを指します。レバレッジは以下の2つで構成されています。

  • 営業レバレッジ(Operating leverage)

土地や工場、備品などに多額の費用を掛ければかけるほど、ビジネスリスクは増大します。ビジネスリスクは以下の要素に分解できます。

・売上リスク(Sales risk)…企業の売上に関する不確実性

・営業リスク(Operating risk)…固定営業費にかかる不確実性

営業レバレッジの程度は以下の式で表現できます。

\(DOL=\frac{Q(P-V)}{Q(P-V)-F}\)

Q…販売量

P…価格

V…可変費用

F…固定費用

  • 財務レバレッジ

財務リスクは、負債調達にかかるリスクを指します。

財務レバレッジの程度は以下の式で表現できます。

\(DOL=\frac{Q(P-V)-F}{Q(P-V)-F-I}\)

I…利子コスト

総レバレッジの計算式は以下の通りです。

\(DOL=\frac{Q(P-V)}{Q(P-V)-F-I}\)

また、総レバレッジはDOL*DFLでも算出することができます。

損益分岐点について

損益分岐点は以下の式で算出できる。

\(Q(BE)=\frac{Fixed\ operating\ costs+fixed\ financing\ costs}{Price\ per\ unit-variable\ cost\ per\ unit}\)

 

Retail price of tires $115
Variable cost per tire $75
Fixed operating cost $350,00
Fixed interest charges $58,000
Marginal tax rate 35%

解答

この企業が損益分岐点を超えるために製造販売しなければならない数量は、

10,200=(350,000+58,000)/(115-75)

で計算できる。

営業損益分岐点について

\(Q(OBE)=\frac{Fixed\ operating\ costs}{Price\ per\ unit-variable\ cost\ per\ unit}\)

A社の製品1つあたりの貢献利益は$25である。この企業の固定費は$45,000であり、利子コストは$11,000、税率は35%である。

解答

1800=45,000/25

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