プロジェクト紹介

【IVS】Web3×コミュニティ編

2023年6月28日(水)~6月30日(金)に京都で行われた、IVS Crypto 2023 KYOTOに参加してきました。会場では、Web3や暗号資産に関連する様々な議論や催し物が開催されました。本記事では、【Web3×コミュニティビルディング】に焦点を当てて、ステージで繰り広げられた議論をまとめてみたいと思います。

あよもてぃ
あよもてぃ
見出しの質問に対して、登壇者である4名のインフルエンサーの回答をまとめる形で整理してみました。
  • How to Build Web3 Communities? Advice from Influencers(Web3コミュニティを構築するには?インフルエンサーからのアドバイス)
    • Infinity Ventures Crypto, Principal – Ann Chien氏
    • Superfine, CEO – Christian Calderon氏
    • Japan Blockchain Week, Founder, Miss Bitcoin – 藤本真衣氏

Web3のインフルエンサーやマーケターとして活動するとは?

2010年頃からBitcoinの世界に足を踏み入れましたが、当初フォロワーはほとんどいませんでした。でも、2017年頃にBitcoinやBitcoincashコミュニティの主要人物と交流する機会が増え、インタビューやコメントを出す機会が増えたんですね。これが大きな転換期となって、フォロワーの数も次第に増えていきました。

現在、私たちがインフルエンサーやマーケターの役割を担っているのは、Web3領域をより早く進展させたいという強い思いがあるからです。私たちの役割は、この新しい金融システムを正しく伝えていくことだと思っています。Web3はまだまだ一般的には広く浸透しておらず、正確な知識を持つ人が限られています。だからこそ、私たちは教育を通じて世の中にWeb3の重要性や利点を広める役割を果たさなければいけないと感じています。

Web3には、Web2の時代では実現できなかった革新的な特徴がたくさんあります。例えば、Web2ではアプリのローンチ後にユーザーが実際に利用し、その成果を評価してLTV(Life Time Value)を把握していきますが、Web3では、新しいアプリやプロジェクトのローンチ前からNFT販売を通じてそれを予測することができます。また、ブロックチェーン上のWalletの中身を見ることができるため、これまでにない様々な取り組みが可能になりました。このように新しい金融システムであるWeb3を正しく理解し、普及に貢献していくことが、私たちに求められていることだと思っています。

ワン
ワン
Web3の世界では、個人の取り組みとコミュニティとの相互作用が重要だからね。

日本のWeb2リーダー達がWeb3領域に進出する上で気をつけておくべき点は?

Web2では企業ドリブンでプロジェクトが運営される一方、Web3ではコミュニティ主導でプロジェクトが進められうる点が異なります。Web3プロジェクトでは、ゲームリリース前からNFT販売やトークン販売などを通じて初期投資家たちがコミュニティを形成し、その中で意見や要望がプロジェクトに反映されていくという特徴があるためです。まず、こういった特性を理解しておく必要があると思います。

もしかしたら、将来のWeb3の進展について、疑問を抱く人もいるかもしれません。しかし、Web2創成期から今までWeb3領域に携わってきた経験から言えることは、Web2の創成期には誰も今のような世界を予想していなかったということです。例えば、Web2が発展する前は、誰もインターネットで靴を買えるなんて考えてもいませんでした。しかし、人々の理解が高まり利用方法が広がっていくにつれて、Web2は急速に普及してきました。これと同様に、Web3も正しい教育と利用方法が伝わり、未来について正しく語ることができれば、一気に普及する可能性があります。Web2の普及があったように、Web3が広まる未来は訪れると考えています。

ツゥ
ツゥ
たしかに、スマートフォンやSNSの普及も想像できなかったよね。
スリィ
スリィ
技術の進化や新たなパラダイムの展開は予想できないことも多いのかもしれないね。

Web3領域に参加する人々の特性は地域によって異なるか?

日本のNFTホルダーは、投機的な売買よりもプロジェクトに興味を持ち、長期的に保有する人が多い傾向があります。そのため、日本でWeb3プロジェクトを始めるならNFTから始めると良いと言われています。ただ、トークンの発行には規制による罰則が存在する場合もあるため、その点については注意する必要があります。

一方、南アメリカの市場はまだ未熟で、投機的な購入者が多く、NFTの保有者の数も限られています。そのため、より多くの人がNFTに興味を持ち参加できるようにするために、有名人やスポーツ関係者などと協力して、特典が付いたNFTを発行する取り組みが行われています。これは、NFTが単なる投機だけでなく、日常的に触れられる機会を増やすための工夫です。ただ、日本や他の国々に比べると、まだまだ南アメリカのNFT市場は定着度が低いですね。

東南アジアは、最もNFTのマスアダプションが進んでいると言われています。そこでさらに広げていくためには、シンプルながらも重要な側面として「Free(無料)」を押し出すと良いのではないかと考えています。ただ、「Free」だけでは経済を回すことは難しいため、資金力のある人々のエンゲージも必要です。経済をいかに活性化させるかを考えつつも、マスアダプションを実現する上での鍵はやはり「Free」ではないかと考えています。

北米や南米は、現在規制ルールが流動的なので、断定的なことは難しい状況ですね。ブラジルやエルサルバドルなども同様で、アメリカのSECによる証券訴訟も影響を与えています。このような不確実な状況の中で大切なのは、随時状況を把握し、アップデートしていくことだと思います。規制の変化に柔軟に対応することが重要です。

このように、Web3領域に参加する人々の特性は、地域によって国民性や規制面にそれぞれ違いがあります。一般的に全体に通じることを挙げるとすれば、ユーザーをオンボードするだけでなく、長期的な参加を促すために適切なインセンティブを提供する必要があることでしょう。Telegramで「Hodl~!」「買い増しだ!」などと熱狂的なコメントをしているだけでは不十分で、NFTやトークンを保有していることによってユーザーにメリットがあるようなインセンティブを考える必要があります。例えば、トークンのエアドロップや特別な意味のあるNFTを配布するなど、ユーザーにとって魅力的な報酬を用意することで、ユーザーのエンゲージメントを高めることが重要です。

各地域でインフルエンサーとして活動するのに適したSNSはあるか?また、おすすめの活動方法は?

日本ではTwitterが効果的な発信手段だと考えられます。発信する内容は絞ることが重要で、NFT、DeFi、GameFiなどの特定分野に焦点を当てると良いと思います。また、関わるプロジェクトの選択も重要です。自分が真剣に向き合い、全力で応援できるプロジェクトに参加することが大切です。お金に目が眩み、関わり方が適当になってしまうと、それが周囲に伝わり、自分の信用を損なう可能性があります。だからこそ、慎重な判断が必要です。

また、ベトナムでは、TwitterやFacebook、そして国内のSNS「Zalo」が有効だと考えています。そして、これらのソーシャルネットワークを上手く使いこなして情報をコントロールすることが重要です。東南アジアは複数の国が存在するため、各国の競合他社がどのソーシャルネットワークを活用しているかを把握し、地域ごとの傾向を理解することが必要だと思います。

活動方法については、重要な要素が二点あると思います。一つは、様々なWeb3カンファレンスに参加して自身のネットワークを築くことです。カンファレンスは業界でのつながりを広げる絶好の場であり、有力なコミュニティを形成するために大切な活動です。そして、二つ目は、まだWeb3領域に参加していない人たちに対して教育を行うことです。Web3の概念や技術を理解し、その可能性を広めていくことで、次第にインフルエンサーとしての影響力が高まっていくと思います。

皆さんに伝えたいことはあるか?

まず言えることは、Web2から多くのユーザーを引き込むことができるプレーヤーが勝つということです。エンターテイメント分野(音楽、スポーツ、映画、ゲームなど)でも、マスアダプションに成功するためにはいかに多くのユーザーを取り込めるかが勝負です。この点にフォーカスして、ユーザー数の拡大を実現する戦略を立てていくのが大切だと思います。

また、プロジェクトを始める際には、最初からアウトソースをせずに、まずは小規模なコミュニティを築くことが重要です。そこでコミュニティドリブンなアプローチを大切にし、コミュニティを育てていくことがそのプロジェクトの特徴となり、将来的にも競争力を高めてくれます。Web3の成功にはコミュニティの力が欠かせないため、常にこの特性を意識してプロジェクトを進めていってください。

そして、弱気相場の今がプロジェクトを立ち上げる絶好のタイミングです。市場が盛り上がる前に行動することが重要で、弱気相場からの上昇波に乗ることで一気に拡大することの大切さを理解して欲しいと思います。大切なのはタイミングです。今こそ本質を見極めて次のトレンドに乗るための準備を進めるべきだと思います。

ワン
ワン
弱気相場の時期には多くの人々が慎重になり、投資や事業展開に対して消極的になるけれど、その逆に行動することで競合他社との差別化や新たな市場を切り拓くチャンスにつながることもあるよ。

まとめ(所感)

インフルエンサーやマーケターとしてWeb3に関わるのであれば、ある程度領域を絞った上で、自分が本当に興味を持ち熱量を注げる分野を見つけることが重要だと感じました。プロジェクト自体に興味を持てない限り、マーケティングを引き受けないでしょうし、何より信用が第一です。Web2領域からWeb3に人々を導くには、正確な理解と教育が欠かせず、これを達成できた者が次の世界で活躍することができると私も考えています。自分の軸を持ち、金融とWeb3領域の架け橋となるべく全力を尽くそうと決意を新たにしました。