プロジェクト紹介

【IVS】Web3×東南アジア編

2023年6月28日(水)~6月30日(金)に京都で行われた、IVS Crypto 2023 KYOTOに参加してきました。会場では、Web3や暗号資産に関連する様々な議論や催し物が開催されました。本記事では、【Web3×東南アジア】に焦点を当てて、東南アジアにおけるWeb3の広まりについて考察したいと思います。

  • Current Web3 Trends in South East Asia(東南アジアにおけるWeb3の最新トレンド)
    • Lydian Labs, Chief Revenue Office – Yi Ching Lee氏
    • Eden Holdings, Director – Nix Nolledo氏
    • W3GG, CEO – Irene Umar氏
    • BlockchainSpace, CEO – Peter Ing氏
    • OP Games, CEO – Chase Freo氏

東南アジアにおけるWeb3の進展

東南アジアは、Web3のマスアダプション化が最も進んでいると言われています。その理由は様々ですが、先進国に比べてインフラがまだ整っていない、つまり新しい技術を最初から取り入れられるという点や、スマホの普及と銀行口座を保有していない層による金融包摂がマスアダプション化を加速させている大きな要因だと想像されます。昨今、東南アジアの多くの国ではスマホなどによるインターネット普及率が上昇しています。特に若い世代においてデジタルネイティブが多く、新しいテクノロジーを受け入れるハードルが低いと言われています。また、銀行口座を持たない人々がWeb3の技術を使うと、サクッと金融サービスへのアクセスを提供できるため、金融包摂を促進する手段としても期待が高まっています。

Web3のマスアダプションの文脈では、ベトナムインドネシア、フィリピンの名前を耳にする方が多いのではないでしょうか。どの国が最初にマスアダプションが達成されるのか、非常に興味深いところです。

ベトナムでは、Walletの普及率が非常に高く、Web3のゲームスタジオも多く約200存在していると言われています。地域内には熱心なアントレプレナーが多いため、マスアダプション化が進むことが期待されています。

インドネシアは東南アジアで最も人口が多い国です。銀行口座を持たない人々も多いため、Web3を通じた金融包摂が重要な要素として捉えられています。こうしたニーズに裏付けされ、マスアダプション化が進行する可能性が高まっています。

フィリピンでは家族のコミュニティの結束が強く、互いに学んだことを共有し合う文化があります。生活に必要かつ便利なものだと感じたら、その情報がコミュニティを通じて迅速に広がっていく傾向があるため、Web3の技術もコミュニティを通じて拡散されていく可能性が高いと考えられます。

ワン
ワン
国によって文化や経済状況が違うから、Web3のマスアダプション化が進む背景も変わってくるんだね。

東南アジアにおけるマスアダプション化のポイント

東南アジア諸国におけるWeb3の拡大と浸透のためには、現地の特徴を正確に理解することが必要不可欠です。ここでは、Web3事業を展開することを想定して、重視すべきポイントを探ってみましょう。

消費者のニーズの把握:

特に、消費者ドリブンな傾向が強い市場では、現地の消費者が何を求めているのかを正確に把握する必要があります。市場調査やフィードバック収集を通じて、消費者の好みやニーズを確認しましょう。

ツゥ
ツゥ
フィリピンは、消費者ドリブンな市場の代表的な例だよ。

ステークホルダーとの関係構築:

政府や当局との関係が重要な国では、具体的な部署や担当者とコンタクトを取り、信頼関係を築くことが重要です。

ディストリビューションパートナーとの協力:

ローカルのディストリビューションパートナーとの協力は不可欠です。例えば、通信会社と提携することで、スマートフォン保有者とのアクセスポイントを確保できます。既にマスアダプションが進んでいるプロダクトやパートナーを通じてWalletやアプリケーションを展開することで、一気にマスアダプション化が進む可能性があります。

シンプルなコミュニケーション:

コミュニティを通して広めるためには、専門用語を避け、誰でも理解できるようなシンプルなコミュニケーションが重要です。ステップバイステップでわかりやすく説明し、「難しい」と取り残されてしまう人がいないように注意を払うことが大切になります。

対面コミュニケーション:

リモートによるコミュニケーションだけでは限界があります。実際に現地に足を運び、オフラインでコミュニケーションを取ることで、現地の文化やニーズをより深く理解し、信頼を築くことができます。また、オフラインイベントやWeb3ゲームを活用して、実際に手で触れてもらえるような体験を提供することは、効果的なアプローチであると言われています。

マスアダプション化による新たなビジネスと仕事の創出

Web3のマスアダプション化が進む中、今後は、各地域で成功したモデルを他の地域に展開していく必要があります。例えば、Web2ではeコマースが東南アジアでマスアダプション化しましたが、Web3でも同様に拡大のパターンのようなものがあるはずです。

また、マスアダプション化のプロセスにおいては、オンボーディングの段階が重要だと言われています。ユーザーが簡単にWeb3の世界に参入できるような手順や、使いやすいツールを提供することで、参入障壁を取り払ってあげることが普及への大きな近道になります。

さらに、Web3に期待されているのは、単にテクノロジーの普及だけではありません。Web3のエコシステムによって、様々な仕事の機会が生まれるだろうと予測されています。例えば、ソリディティ(イーサリアムの根幹を支えるプログラミング言語)のプログラマーやコミュニティマネージャー、eスポーツのプロフェッショナルなどはその一例です。新しい分野でニーズが拡大するにつれて、新たなキャリアが生まれ、地域経済や社会にもポジティブな影響をもたらすと期待されているのです。

スリィ
スリィ
すごくアップサイドが大きい市場なんだね。

まとめ(所感)

東南アジアでWeb3を成功させるためには、ローカルの特徴を捉えた上で、現地のディストリビューションパートナーと協業することが重要です。また、Web2でeコマースが成功したように、Web3でもマスアダプション化を進めるためのパターンを把握し、他の地域へも展開していくことが効率的だと考えられます。政府や当局などの重要なステークホルダーを把握することも欠かせない要素です。

最初はできるだけシンプルに分かりやすく、家族や地域社会などの身近なコミュニティを通じてじっくりと広げ、マスアダプション化を図っていくことが肝心。Web3の普及により、新しい仕事の機会が生まれたり、金融包摂を経て人々の暮らし自体が変化したりすることを考慮しながら、広い視野で東南アジアでの成功を目指したいと思います。

続いてはこちらです!