この記事の結論

CFA®︎(米国証券アナリスト)の受験に、TOEICや英検などの英語資格の要件は一切ありません。CFA協会が求めているのは「英語で書かれた金融の文章を読み、答えを選べること」だけです。

必要なのは会話力でも作文力でもなく、金融英語を速く正確に読む力。目安としてはTOEIC 700点前後の読解力があれば十分にスタートでき、実際に大学受験レベルの英語力から合格されている方が多くいます。

この記事では、試験でどんな英語が出るのか、TOEICとの対応関係、そして英語が苦手な方が最短で合格するための学習順序を具体的に解説します。(試験形式は2026年8月時点の情報です)

Contents

結論:CFA®︎に英語の資格要件はない

まず事実から確認します。CFA協会(CFA Institute)は、受験にあたってTOEIC・TOEFL・IELTS・英検などのスコア提出を一切求めていません。「英語力〇〇点以上」という出願要件は存在しません。

ただし協会は、試験が英語のみで実施されること、そして複雑な金融の設例を読んで解答するための英語力が必要になることを明記しています。つまり「入口の要件はないが、実力としては必要」ということです。

ここで多くの方が誤解するのが、その「必要な英語力」の中身です。CFA®︎で問われるのは、読む力に偏っています。リスニングは一切なく、スピーキングもありません。ライティングもLevel 3の記述式まで登場しません。

この偏りを理解しているかどうかで、学習の効率は大きく変わります。英会話スクールに通う必要はまったくない、ということです。

CFA®︎試験の英語はどんな英語か

レベルごとに、求められる英語の性質が変わります。順に見ていきます。

Level 1:1問あたり約90秒で読んで解く

Level 1は180問の多肢選択式で、135分のセッションを2回に分けて実施されます。1セッションあたり90問なので、1問に使える時間は平均して約90秒です。

選択肢はA・B・Cの3つ。設問は「文の続きを選ぶ形式」と「直接問う形式」の2種類で、問題文自体は数行程度と短めです。

ここで効いてくるのは、読解の深さではなく速さです。1問90秒のうち、計算が必要な問題では読解に使える時間は30〜40秒しかありません。「辞書があれば読める」レベルではなく、「読んだ瞬間に意味が入る」状態まで持っていく必要があります。

逆に言えば、複雑な構文はほとんど出てきません。難しいのは構文ではなく専門用語の密度です。

Level 2:設例(ヴィネット)を読んでから解く

Level 2は2時間12分のセッションを2回という構成で、ヴィネットと呼ばれる設例を読んでから、それに紐づく設問に答える形式になります。

設例は企業の状況説明、財務データ、担当者の発言などが組み合わさった長めの文章です。Level 1に比べて読む量が明確に増え、「どこに答えの根拠があるか」を素早く探す力が求められます。

ただし、Level 2で本当に難しくなるのは英語ではなく内容そのものです。計算量が増え、概念を理解していないと選択肢を絞れない問題が中心になります。Level 1を突破できた方であれば、英語が壁になることは多くありません。

Level 3:記述式(Constructed Response)がある

Level 3だけは性質が異なります。2時間12分のセッションが2回という点は同じですが、多肢選択のアイテムセットと、記述式(エッセイ形式)のセットが半々で出題されます。

つまり、Level 3では初めて「英語を書く」ことが求められます。ここで身構える方が多いのですが、実態を知ると印象が変わります。

求められるのは、美しい英文ではありません。設問中の太字の指示語(command words)に従って、必要な要素を過不足なく並べることです。「Justify(根拠を示せ)」なら根拠を、「Calculate(計算せよ)」なら計算結果を書く。採点は要素ごとの配点方式なので、箇条書きに近い簡潔な英語でも点は取れます。文法的な美しさは評価対象ではありません。

なお、Level 3では専門選択(Portfolio Management/Private Markets/Private Wealth)の仕組みが導入されており、進みたいキャリアに合わせて出題範囲の一部を選べるようになっています。

TOEIC・英検との目安対応

「TOEIC何点あれば大丈夫ですか」というご質問を非常に多くいただきます。公式な対応関係は存在しませんが、これまでの受講生の状況から見た目安をお示しします。

英語力の目安CFA®︎学習での状況
TOEIC 600点未満/英検2級程度学習は可能だが、序盤で英文を読む負荷が大きい。日本語教材を主軸に置き、用語の英日対応を先に固めるのが現実的
TOEIC 700点前後/英検準1級程度最も多い層。専門用語さえ押さえれば、問題文の読解自体で詰まることは少ない
TOEIC 800点以上英語はほぼ障害にならない。学習時間のすべてを内容の理解に充てられる
海外大学卒・実務で英語使用英語は完全に非争点。ただし専門用語は別途覚える必要がある

なぜTOEICのスコアは目安にしかならないのか

TOEICで測っているのはビジネス一般の英語です。CFA®︎で必要なのは金融という一分野に限定された、極端に狭くて深い語彙です。この2つは重なりが小さいのです。

実際、TOEIC 850点の方が「duration」「convexity」「amortization」といった単語で止まることは普通に起きます。逆に、TOEIC 650点でも金融機関で英文資料を日常的に読んでいる方は、最初からスムーズに進みます。

したがって、スコアで判断するより「金融の英文を1ページ読んでみて、辞書なしで大意が取れるか」で判断するほうが正確です。

実際の合格者はどのくらいの英語力だったか

抽象論よりも実例のほうが参考になると思いますので、合格された方の状況を2つご紹介します。

国内系証券会社にお勤めのReijiさんは、証券アナリスト(CMA)を保有した状態から学習を開始し、約半年でLevel 1に合格されました。CMAとLevel 1は学習内容の重なりが大きいため、「新しいことを学ぶ」というより「英語で、見慣れない形式の問題を解いていく」感覚だったと振り返っています。インプットに時間をかけず、最初からPractice Problemsを解きながら分からない箇所を要点集で確認する進め方をされました(合格体験談を見る)。

金融機関にお勤めのアビさんは、ご自身の英語力を「国立大卒で大学受験レベル」と表現されています。その状態からLevel 2に合格されました。英語で金融商品を扱う部署に異動したことがきっかけで、「英語でその商品をより深く理解するため」にCFA®︎の学習を始めたそうです(合格体験談を見る)。

お二人に共通しているのは、英語を先に鍛えてから始めたのではなく、CFA®︎の学習の中で英語も一緒に処理していったという点です。これが最も効率の良い順序です。

英語力よりも先に効く3つのこと

「英語が苦手だから、まず英語を勉強してからCFA®︎を始めます」という方がいらっしゃいますが、これは遠回りになります。理由は、CFA®︎で詰まる原因の大半が英語力そのものではないからです。

①金融の専門用語

最大の壁はここです。CFA®︎のカリキュラムには数千語規模の専門用語が登場し、その多くは日常英語には出てきません。ただし、これは「英語力」の問題ではなく「暗記」の問題です。日本語で意味を理解したうえで英語の綴りを紐づければ済みます。

②数式・図表の読み取り

CFA®︎の問題は、文章より数式と表で構成されている部分がかなりあります。数式に言語はありません。債券の価格計算もポートフォリオの分散も、日本語で理解していれば英語の問題文でも解けます。

③出題形式への慣れ

1問90秒という時間感覚、3択の絞り方、ヴィネットのどこを先に読むか。これらは英語力とは無関係なスキルで、Mock Exam(模擬試験)を繰り返すことでしか身につきません。そして、多くの受験生が本番で時間を失う原因はここにあります。

つまり、英語の勉強に半年費やすより、その半年でCFA®︎の学習を始めてしまったほうが速いのです。

英語が苦手な方の学習順序

具体的な進め方を4段階で示します。

ステップ1:日本語で概念を掴む

まず、その単元が何を扱っているのかを日本語で理解します。英語で概念を理解しようとすると、「英語が分からないのか、内容が分からないのか」が切り分けられなくなり、学習効率が落ちます。先に日本語で骨格を作ってください。

ステップ2:早い段階から英語の問題を解く

概念が掴めたら、すぐに英語のPractice Problemsに移ります。ここを先送りしないことが重要です。英語の問題を解く量が、そのまま読解速度になります。1周目は分からなければすぐ解答を見て構いません。テンポを優先してください。

ステップ3:用語を英語で覚え直す

解いた問題に出てきた用語を、英語のまま覚えます。ここで日本語訳を挟むクセがつくと、本番で1問90秒に間に合いません。「duration=デュレーション」ではなく「duration=金利が1%動いたときの価格変動の感応度」と、英語のまま概念に直結させる状態を目指します。

ステップ4:Mock Examで時間感覚を作る

試験の2〜3ヶ月前からMock Examに入ります。ここで測るのは正答率だけではありません。「1問にどれだけ時間を使っているか」を体に入れることが目的です。英語が苦手な方ほど、この段階を長めに取ってください。

日本語教材をどう使うか

英語が不安な方にとって、日本語教材の使い方は合否を左右します。

おすすめしているのは、日本語の要点集に情報を一元化する方法です。英語のカリキュラムを読んで理解した内容、間違えた問題の要点、覚えられない用語——これらをすべて日本語の要点集に書き込んでいきます。

ノートを別に作らないでください。情報が2ヶ所に分かれると、直前期に見返す場所が分からなくなります。「試験前日に開くのはこの1冊だけ」という状態を最初から作っておくことが、精神的な安定にもつながります。

なお、FA-Academyでは日本語の要点集と解説動画を提供しており、学習は電子ベースで完結するため海外在住の受講生も多く在籍しています。教材の詳細はFA-Academyを利用するメリットをご覧ください。独学との比較はCFA®︎の独学についてで整理しています。

生成AIを英語学習にどう使うか

生成AIは、CFA®︎の英語対策と相性が良いツールです。ただし使い方には注意点があります。

有効な使い方は、英文の構造を確認する、専門用語の使われ方を複数の例文で見る、自分の理解を英語で説明させて確認する、といった補助的な用途です。特にLevel 3の記述式対策では、自分の答案を「指示語に対して過不足があるか」という観点で点検させる使い方が有効です。

避けるべき使い方は、計算問題の答えを聞くことです。生成AIは金融の計算で誤った数値を返すことがあり、それを覚えてしまうと本番で失点します。数値の正誤は必ず公式教材で確認してください。

FA-AcademyではCFA®︎に特化した学習サポートを提供しており、疑問点をその場で解消できる体制を整えています。前述のアビさんも、「英語の試験で、周りに受験者が少ないため調べ方が分からない。すぐ質問できる環境をうまく使うことが大事」と振り返っています。

英語でつまずきやすい5つのポイントと対処

①似た用語の混同。「yield」「return」「rate」など、日本語では「利回り」で括られがちな語が英語では区別されます。日本語訳で覚えると必ず混乱するので、定義そのもので区別してください。

②否定形・例外表現の見落とし。「least likely」「is not」といった表現を読み飛ばして誤答するのは、実力に関係なく起きます。設問の最後まで読む習慣で防げます。

③長い設例で迷子になる。Level 2以降のヴィネットでは、先に設問を読んでから設例に戻るほうが速くなる場合があります。どちらが自分に合うかはMock Examで試して決めてください。

④会計用語の日米差。US GAAPとIFRSで用語や処理が異なる箇所があり、日本の会計知識がかえって邪魔をすることがあります。CMA保有者の方は特にご注意ください。

⑤Ethicsの微妙なニュアンス。倫理科目は英語の読み取りが最も繊細な領域です。「must」と「should」の違い、行為の主体が誰かといった細部で正解が変わります。ここだけは日本語での理解を丁寧に固めてから英語に戻ることをおすすめします。

科目別に見た「英語の負荷」

CFA®︎の出題科目は10分野に分かれていますが、英語の負荷は科目ごとに大きく異なります。どこに読む力が要るのかを知っておくと、学習の配分を決めやすくなります。

科目英語の負荷理由
Ethical and Professional Standards(倫理)高い文章量が多く、状況の細部で正誤が変わる。数式に逃げられない唯一の科目
Financial Statement Analysis(財務諸表分析)中〜高会計用語が大量に出る。ただし日本語の会計知識があれば対応関係で処理できる
Equity / Fixed Income / Derivatives用語さえ覚えれば、問題の中心は計算と概念
Quantitative Methods(数量分析)低い数式と記号が主役。英語で読む量が最も少ない
Portfolio ManagementLevel 3では記述式の主戦場になる

この表から分かるのは、英語がより効いてくるのは倫理科目だということです。そして倫理は配点比率が大きく、合否への影響も大きい科目です。「英語が不安」と感じている方は、倫理科目にだけ集中的に時間を割り当てるのが、最も費用対効果の高い対策になります。

いま自分の英語力で始められるか、3つのセルフチェック

スコアで判断するより確実な方法があります。以下の3点で確認してみてください。

チェック1:英文の金融記事を1ページ、辞書なしで読んでみる。大意が取れれば問題ありません。単語がいくつか分からなくても、文全体の流れが追えていれば十分です。逆に、1文ごとに止まってしまう場合は、日本語教材を主軸に置く前提で計画を立ててください。

チェック2:知らない単語が出たときに、飛ばして読み進められるか。これは意外に重要です。CFA®︎の試験では、知らない単語は必ず出ます。そこで止まる方は時間が足りなくなり、飛ばせる方は間に合います。読解力より、この割り切りができるかどうかのほうが効きます。

チェック3:日本語でなら、金融の概念を人に説明できるか。債券の価格と金利の関係、分散投資がなぜ効くのか。これらを日本語で説明できるなら、英語はあとから乗せられます。逆に日本語でも説明できない状態で英語の教材に入ると、二重に苦しくなります。

英語についてよくある3つの誤解

誤解①「英語ができないと足切りされる」。そのような制度はありません。CFA®︎に英語の出願要件は存在せず、採点も英語力ではなく金融の理解度に対して行われます。Level 3の記述式でも、文法の誤りそのものが減点されるわけではありません。

誤解②「日本語の教材を使うのは邪道」。そんなことはありません。目的は合格であって、英語で苦しむことではありません。日本語で概念を固めてから英語の問題に当たるほうが、結果的に英語の処理速度も上がります。遠回りに見えて、こちらが近道です。

誤解③「英語ができれば合格できる」。これも違います。英語ができても、財務分析やデリバティブの概念が理解できていなければ得点にはなりません。英語は必要条件であって十分条件ではない——ここを取り違えると、学習の配分を間違えます。

まとめ

CFA®︎に英語の資格要件はありません。必要なのは会話力ではなく、金融英語を速く読む力です。そしてその力は、英語を単独で勉強するのではなくCFA®︎の学習を通じて身につけるのが最短ルートです。

合格率は各レベル40〜50%前後、学習時間は各レベル300〜400時間前後が目安とされています。ここに「英語の勉強期間」を別途足す必要はありません。

試験全体の概要はCFA®︎試験の受験資格・試験概要・費用・勉強法、難易度はCFA®︎ Level 1の全体像、その他の疑問はCFAよくある質問100選にまとめています。学習法はYouTubeチャンネル(@cfa_tips)でも発信しています。

よくある質問

Q1. CFA®︎の受験にTOEICのスコアは必要ですか?

必要ありません。CFA協会は英語資格のスコア提出を出願要件にしていません。ただし試験は英語のみで実施されるため、英語で書かれた金融の文章を読んで解答できる実力は必要です。

Q2. TOEICで何点あればCFA®︎の学習を始められますか?

公式な基準はありませんが、目安としてはTOEIC 700点前後の読解力があればスムーズに進みます。600点未満でも学習は可能で、その場合は日本語教材を主軸に置き、専門用語の英日対応を先に固める進め方が現実的です。

Q3. CFA®︎の試験にリスニングや英会話はありますか?

ありません。リスニング、スピーキングは一切出題されません。Level 1とLevel 2は多肢選択式のみで、書く力が求められるのはLevel 3の記述式(Constructed Response)だけです。

Q4. 英語が苦手です。先に英語を勉強してからCFA®︎を始めるべきですか?

おすすめしません。CFA®︎で詰まる原因の多くは英語力そのものではなく、専門用語の暗記と出題形式への慣れです。英語の勉強に数ヶ月かけるより、CFA®︎の学習を始めて、その中で金融英語に慣れるほうが速く進みます。

Q5. Level 3の記述式では、きれいな英文を書く必要がありますか?

ありません。採点は要素ごとの配点方式で、設問中の太字の指示語に従って必要な要素を過不足なく示せているかが見られます。文法的な美しさは評価対象ではなく、箇条書きに近い簡潔な英語でも得点できます。

Q6. 帰国子女や海外大学卒でないと不利ですか?

不利ではありません。国内の大学を卒業し、英語力は大学受験レベルという状態からLevel 2に合格された方もいらっしゃいます。求められるのは英語圏での生活経験ではなく、金融英語を読む訓練の量です。

Q7. 1問90秒というのは、英語を読む時間としては十分ですか?

Level 1の問題文は数行程度と短く、構文も複雑ではありません。ただし計算が必要な問題では読解に使える時間が30〜40秒程度になるため、「辞書があれば読める」ではなく「読んだ瞬間に意味が入る」状態を目指す必要があります。Mock Examで時間感覚を作ることが対策になります。

Q8. 英語の専門用語はどうやって覚えればよいですか?

日本語訳とセットで覚えるのではなく、定義そのものと紐づけて覚えてください。「yield」「return」「rate」のように日本語では区別しにくい語が英語では明確に分かれるため、日本語訳で覚えると本番で混乱します。日本語の要点集に情報を一元化し、間違えた用語をそこに書き込んでいく方法が効率的です。

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