【金融機関×CFA】銀行・証券・保険・アセマネ勤務の方がCFA®︎試験に挑む理由|業態別の効き方

銀行・証券・保険・アセットマネジメント。日本の金融機関で働く皆さんは、毎日どこかで「投資」に触れています。お客様に商品を提案し、与信を判断し、責任準備金を運用し、ファンドを組成する。実務としては、すでに十分に専門的な仕事です。
それでも「自分の知識が、どこまで通用するのか分からない」という感覚を持つ方が少なくありません。担当している商品のことは誰よりも詳しいのに、その隣の領域になると急に足元が不安になる。海外拠点や外資系の相手と話すとき、前提の置き方が噛み合わない。社内公募に手を挙げたいが、経験以外に示せる材料がない。
CFA®︎(Chartered Financial Analyst)は、この「実務と体系のあいだ」を埋めるために選ばれている資格です。FA-Academyの受講生でも、国内の金融機関にお勤めの方が最も大きな層になっています。
この記事では、銀行・証券・保険・アセマネそれぞれの業態について、CFA®︎がどう効くのかを分けて整理します。転職を前提にした話ではありません。今の会社に残ったまま、自分の仕事の解像度と社内での位置づけを変えるための話です。
国内金融機関で働く皆さんがCFA®︎を選ぶ3つの理由
業態が違っても、受験のきっかけとして共通して挙がるものが3つあります。
理由① すでに触れている領域を、一度「体系」としてつなぎ直せる
金融機関の仕事は、配属によって扱う領域が決まります。デットを担当していればエクイティは隣の部署の話ですし、株式の営業をしていればデリバティブやオルタナティブは自分の守備範囲の外にあります。経験年数は積み上がっていくのに、知識は担当領域の形にしか育たない、という状態が起きます。
CFA®︎のカリキュラムは、倫理・数量分析・経済・財務諸表分析・企業財務・株式・債券・デリバティブ・オルタナティブ投資・ポートフォリオマネジメントという順で、投資の世界を一通り並べ直します。すでに実務で触れている分野は「知っていることの言語化」になり、触れていない分野は「隣の部署が何を見ているかが分かる」ことにつながります。ゼロから学ぶのではなく、持っている経験の上に骨格を通す作業に近いものです。
実際、レベル1に全科目高得点で合格されたメガバンク勤務のKazuさんは、証券化商品のアレンジという専門性の高い業務に携わりながら、「デットだけではなくエクイティ業務も含めた幅広い専門知識をつけたい」ことを受験の理由に挙げています。
理由② 社内異動・キャリア面談で「申告できる材料」になる
国内の金融機関は、人事異動が定期的に回ります。裏を返せば、希望を出せるタイミングが定期的に来るということです。市場部門に行きたい、運用子会社に出向したい、海外拠点を希望したい。こうした希望を伝えるとき、意欲だけでは材料になりません。
CFA®︎は、学習中であっても「レベル1に合格し、現在レベル2を学習中」という形で客観的に伝えられます。社内で保有者が少ない資格であるほど、この一行が効きます。バイサイドで社債投資を担当されているTakeさんは、前年度まで営業職を担当されており、専門性の高いマーケット部署を希望するタイミングでCFA®︎の受験を決意されています。
理由③ 国内でも海外でも、同じ意味で通じる
CFA®︎は世界160を超える市場で使われ、資格保有者は世界で約20万人にのぼります。一方で日本の協会会員は約2,000名で、香港やシンガポールと比べると人口比では大きな差があります。
この「国内では希少で、海外では通じる」という組み合わせが、国内金融機関に勤める方にとって独特の意味を持ちます。国内の会議では差別化になり、海外拠点や海外の運用会社・投資家との会話では前提の共有に使える。どちらか一方ではなく、両方で機能する資格は多くありません。
また、国内金融機関でベンチャーキャピタル投資に携わるShoさんは、Level 1からLevel 3まで約4年をかけ、不合格も経験しながら仕事と家庭を両立して合格されています。金融機関勤務で英語力に不安があった方の例としてはアビさん(Level 2合格)、学習が遅れた状態から直前に立て直した例としてはSさん(金融機関 財務部)の対談も公開しています。
より一般的な価値やメリットについてはCFA®︎とは何かを解説した記事とCFA®︎は取得しても意味がないのかを検証した記事で詳しく扱っています。
銀行にお勤めの方にとっての効き方
メガバンク・信託銀行・地方銀行・政府系金融機関。銀行の業務は融資・預金・決済を軸にしながら、実際には投資の判断と隣り合っています。
間接金融の実務に、市場とエクイティの視点を足す
与信判断はキャッシュフローと財務の分析そのものですが、銀行の実務では「貸せるかどうか」という切り口で完結しがちです。CFA®︎の財務諸表分析と企業財務は、同じ財務データを「この会社の価値はいくらか」「資本構成は最適か」という投資家の切り口で読み直します。
債券(Fixed Income)の分野では、スプレッド・デュレーション・格付の関係を体系的に扱います。証券化やストラクチャードファイナンスに携わる方であれば、日々の実務がそのままカリキュラムと重なります。
富裕層・法人のお客様への提案が変わる
資産運用の提案を担当されている方にとって、CFA®︎のポートフォリオマネジメントは日々の業務に直結します。個別商品の良し悪しではなく、資産配分・リスク許容度・相関・リバランスという枠組みで提案を組み立てられるようになるためです。
地方銀行の店舗で個人・法人のお客様を担当されている八朔さんは、FP1級の取得をきっかけに金融資産への理解を深めたいと考え、さらに「投資先が海外のものも多く、一次情報として海外ニュースを追う機会が増える」ことを理由にCFA®︎を選ばれました。国内のお客様に提案する仕事であっても、情報源が海外にあるという指摘は、多くの支店・営業店の方に当てはまるはずです。
市場部門・運用部門・海外拠点への異動を考えるとき
銀行内の市場部門(ALM・トレジャリー・証券投資)や運用子会社、海外拠点は、希望者が多く、選考の材料が限られるポジションです。CFA®︎は、これらの部門で使われる言語そのものを学ぶ資格であるため、異動希望の裏付けとして最も分かりやすい形になります。海外赴任が視野に入っている方は、海外駐在とCFA®︎の関係をまとめた記事も合わせてご覧ください。
また、地方の支店・営業店に配属されている方については、金融の地方勤務を武器に変える方法をまとめた記事で、勤務地という切り口から詳しく扱っています。
銀行にお勤めの合格者の声
Kazuさん(メガバンク・証券化アレンジャー/30歳)Level 1 合格
日系の商業銀行で証券化商品・ABSのアレンジを担当されています。過去に証券会社でのキャリアもあり、「今後も金融領域で活躍していく上で、デットだけではなくエクイティ業務、幅広い専門知識をつけていきたい」と考えたことが出発点でした。当初は証券アナリスト(CMA)の受験を検討していたところ、職場での会話をきっかけにCFA®︎へ切り替えられています。1回目の受験では別の予備校を利用して不合格を経験し、学習法を組み直して全科目高得点での合格に至りました。
Kazuさんの合格体験談を読む(メガバンク/全科目高得点でLevel 1合格)
八朔さん(地方銀行・個人/法人融資、資産提案/FP1級保有)Level 1 合格
地方銀行の店舗で金融資産の提案、個人融資、法人融資を担当されています。キャリアは10年ほど。FP1級の取得後に証券アナリストへ関心を持ち、「どうせなら英語に触れる機会を増やしたい」という理由からCFA®︎を選択されました。一度の不合格を経て、二度目で合格されています。
八朔さんの合格体験談を読む(地銀/FP1級/再チャレンジでLevel 1合格)
証券会社にお勤めの方にとっての効き方
証券会社は、社内に証券アナリスト(CMA)保有者が多い環境です。だからこそ、CFA®︎の位置づけがはっきりします。
リテール営業・プライベートバンキング
個人のお客様、とりわけ富裕層を担当されている方にとって、提案の説得力は商品知識よりも「全体をどう設計するか」で決まります。CFA®︎のポートフォリオマネジメントとアセットアロケーションは、まさにその設計図を扱う分野です。株式・債券・不動産・オルタナティブを横断して語れることは、お客様からの信頼にそのまま置き換わります。
加えて、営業の現場をマネジメントする立場になると、部下の提案内容を評価し、方針を示す役割が加わります。ここで体系を持っているかどうかが効いてきます。
リサーチ・アナリスト業務
エクイティリサーチやクレジットアナリストの業務は、CFA®︎のカリキュラムと最も重なる領域です。バリュエーション(DCF・マルチプル・資本コスト)、財務諸表分析、企業財務は、レポートの根拠そのものを扱います。国内外の機関投資家を相手にする場面では、CFA®︎が共通言語として機能します。
投資銀行部門・ストラクチャリング・ホールセール
M&Aアドバイザリーや資金調達に携わる方にとっては、企業価値評価と資本構成の理論がそのまま日常業務の土台になります。モデルの数字の根拠を投資家目線で語れる人材は多くありません。クロスボーダー案件や外資系のカウンターパートとの折衝では、CFA®︎が前提の共有を早めてくれます。
証券会社にお勤めの合格者の声
ヒロさん(国内証券・リテール営業部長/証券アナリスト保有)Level 2 合格
国内の証券会社に入社して以来、一貫してリテール営業に携わり、国内の富裕層のお客様を対象に資産運用・投資の提案を行いながら、リテール部門の部長として営業現場のマネジメントにも従事されています。「株式や債券、不動産など様々なアセットの知識を体系的に学習したい」ことが受験のきっかけでした。証券アナリストの学習を先に進めていたものの、項目が重なっていたことから、より難度の高いCFA®︎に挑戦されています。
ヒロさんの合格体験談を読む(証券リテール営業部長/Level 2合格)
このほか、日系証券でポートフォリオマネジメントを統括される40代ののりおんさん(Level 3 一発合格)、証券プライベートバンキング担当のShoheiさん(Level 3 一発合格)、営業職からマーケット部署を志して社債投資を担当されているTakeさん(Level 2 一発合格)の対談も公開しています。
保険会社にお勤めの方にとっての効き方
保険会社は、日本で最大級の機関投資家です。そして保険会社の運用は、他のどの業態とも違う制約のもとで行われます。
一般勘定の運用とALM
保険負債は超長期で、金利感応度を持ちます。資産側だけを見て最適化することができず、負債と合わせて設計する必要がある——これがALM(資産負債総合管理)です。CFA®︎のポートフォリオマネジメントでは、負債を持つ投資家(Liability-Driven Investing)の枠組みを正面から扱います。年金基金や保険会社を前提とした議論が、カリキュラムの中に組み込まれているということです。
債券分野で扱うデュレーション・コンベクシティ・イミュナイゼーションは、まさに日々の運用実務の言語です。実務で使っている概念を、国際標準の定義と体系の中で確認し直せます。
リスク管理・経済価値ベースの評価
ソルベンシー規制や経済価値ベースの評価が広がるなかで、資産と負債の双方を時価で捉える視点の重要性が増しています。CFA®︎のデリバティブとリスクマネジメントの分野は、金利・為替のヘッジ手段とその時価評価を扱うため、ALM部門・リスク管理部門の実務と直接つながります。
商品開発・アクチュアリー領域との接続
変額保険や外貨建て保険のように、運用成果がそのまま商品性に反映される商品を扱う部署では、資産側の理解が商品設計の前提になります。アクチュアリー資格が負債側の専門性を示すものだとすれば、CFA®︎は資産側の専門性を示すものだと考えると位置づけが分かりやすくなります。両方の言語を持つ人は社内でも多くはなく、負債と資産の橋渡しができる立場は希少です。
運用子会社・アセットマネジメント部門への異動
大手保険グループの多くは運用子会社を持ち、グループ内に運用のキャリアパスがあります。本体の商品開発・営業・数理部門から運用側へ移りたいと考えるとき、CFA®︎は「投資の専門教育を受けている」ことを最も分かりやすく示す材料になります。アセットマネジメント側で求められる内容については、資産運用会社で求められるスキルをまとめた記事が参考になります。
運用・ALM・リスク管理のいずれの領域からでも、学習内容はそのまま日々の判断につながります。ご自身の担当業務とカリキュラムがどこで重なるのかは、個別面談で具体的に整理できます。
アセットマネジメント(資産運用会社)にお勤めの方にとっての効き方
資産運用会社は、CFA®︎が世界的に最も強く認知されている業態です。国内でもその傾向は年々はっきりしてきています。
運用・リサーチ
ポートフォリオマネージャーやアナリストの業務は、カリキュラムのほぼ全域と重なります。とりわけLevel 3で扱うポートフォリオ構築・アセットアロケーション・行動ファイナンス・パフォーマンス評価(GIPS)は、運用の現場そのものです。職種ごとの具体的な仕事内容は、ポートフォリオマネージャーの解説記事やリサーチアナリストの解説記事でも扱っています。
プロダクト・商品開発・営業(ホールセール)
運用そのものを担当していなくても、ファンドの設計や機関投資家への説明を担う立場では、運用担当者と同じ言語を持つことが仕事の質を決めます。年金基金・地域金融機関といったお客様に対して、運用方針とリスクの説明を自分の言葉で行えるかどうかは、直接の差になります。
オルタナティブ投資
プライベートエクイティ、不動産、インフラ、ヘッジファンド。オルタナティブの比重が増えるなかで、伝統資産と非伝統資産を同じ枠組みで比較できることの価値が上がっています。CFA®︎はオルタナティブ投資を独立した科目として扱い、Level 3ではプライベートマーケットを選択できる仕組みもあります。
アセットマネジメントにお勤めの合格者の声
Rockyさん(日系資産運用会社・オルタナティブ投資/30代・証券アナリスト保有)Level 1 合格
投資案件の調査分析、契約書対応、投資委員会への説明などを担当されています。「資産運用業界で今後もキャリアを続けていくと決心したときに、社内外・国内外で通用する資格があると幅も広がり、長期的なキャリアの支えになる」ことが受験理由でした。
Rockyさんの言葉のなかで、国内金融機関にお勤めの方に最も届くのは次の一節だと思います。「若手の時に日本の証券アナリスト(CMA)を取ったのですが、私の勤務先では保有者がすごく多くて、あまり差別化にはつながりにくいというところがありました」。一度は独学で挫折し、「自分の気合だけじゃなくて、継続できる仕組みにも頼ろう」と方針を変えて合格されています。
Rockyさんの合格体験談を読む(資産運用会社/海外勤務から帰任/Level 1合格)
業態別|日々の実務とCFA®︎カリキュラムの対応表
ここまでの内容を、実務と科目の対応として一枚にまとめます。すでに担当している業務がカリキュラムのどこに当たるのかが分かると、学習の入口を選びやすくなります。
| 業態・部門 | 日々の実務 | 最も重なる科目 |
|---|---|---|
| 銀行(法人・与信) | 与信判断、財務分析、証券化・ストラクチャードファイナンス | 財務諸表分析、企業財務、債券(Fixed Income) |
| 銀行(市場・ALM) | 有価証券運用、金利・為替リスクの管理、流動性管理 | 債券、デリバティブ、ポートフォリオマネジメント |
| 証券(リテール・PB) | 資産運用提案、資産配分、商品選定、営業マネジメント | ポートフォリオマネジメント、株式、オルタナティブ投資 |
| 証券(リサーチ・IBD) | 企業分析、レポート執筆、バリュエーション、資金調達 | 株式、企業財務、財務諸表分析、数量分析 |
| 保険(運用・ALM) | 一般勘定の運用、負債とのマッチング、ヘッジ | 債券、デリバティブ、ポートフォリオマネジメント |
| 保険(リスク管理) | 経済価値ベースの評価、ソルベンシー、リスク計測 | 数量分析、デリバティブ、ポートフォリオマネジメント |
| アセマネ(運用・リサーチ) | 銘柄選定、ポートフォリオ構築、パフォーマンス評価 | 全科目。とくにLevel 3のポートフォリオ構築とGIPS |
| アセマネ(プロダクト・営業) | ファンド設計、機関投資家への説明、運用方針の伝達 | ポートフォリオマネジメント、オルタナティブ投資、倫理 |
| 全業態に共通 | お客様・受益者に対する説明責任と利益相反の扱い | 倫理・職業行動基準(Ethics) |
倫理(Ethics)は全レベルで最も比重が大きく、かつ金融機関の実務と最も直結する科目です。利益相反、顧客への適合性、情報管理といった論点は、日本のコンプライアンス実務とも重なりながら、国際的な基準として整理されています。倫理の位置づけはEthicsの徹底対策記事で詳しく扱っています。
証券アナリスト(CMA)を持っている方が、CFA®︎も受ける理由
国内の金融機関では、証券アナリスト(CMA)が事実上の標準資格になっている部署が数多くあります。ここまでご紹介した合格者の多くもCMA保有者です。すでにCMAを持っている方が、さらにCFA®︎に進む理由は3つに整理できます。
1つ目は、社内での希少性です。Rockyさんの言葉のとおり、運用会社や証券会社ではCMA保有者が多数派で、それ自体が差別化になりにくい環境があります。2つ目は、学習の効率です。ヒロさんが「学習の項目等が被っている」と述べているように、CMAで学んだ内容はCFA®︎のLevel 1と相当程度重なります。ゼロからの学習ではありません。3つ目は、通用する範囲です。CMAは国内で確立された資格である一方、海外拠点や海外の投資家との会話では、CFA®︎のほうが前提として共有されます。
両資格の重なりと違いは、証券アナリスト1次とCFA®︎ Level 1を比較した記事とCMA取得者がCFA®︎を受験すべき理由で詳しく扱っています。
働きながら合格するための、現実的な設計
ここからは、実際に受験を検討する段階の話です。
受験の前提を一枚で確認する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 学士号の取得者、または大学の最終学年在学中の方。一定の職務経験と高等教育の合計でも要件を満たせます。金融機関にお勤めであれば、ほとんどの方が対象になります |
| 学習時間の目安 | 1レベルあたり300〜400時間前後。300時間は最低限の水準と考えてください |
| 合格率 | 直近の各レベルでおおむね40〜50%前後で推移しています |
| 試験の形式 | Level 1は180問を135分×2セッション。Level 2・Level 3は2時間12分×2セッション |
| 試験の実施 | レベルごとに年に複数回。ご自身の繁忙期を避けて選べます |
| 費用の目安 | Level 1から3までのストレート合格で、独学中心なら約60万〜70万円、サポート教材をフル活用する場合は約110万〜130万円が目安です |
| 言語 | 試験は英語。ただし理解は日本語で進めることができます |
費用の内訳はCFA®︎合格までにかかる費用をまとめた記事で、受験資格や試験概要の全体像はCFA®︎試験の完全ガイドで詳しく確認できます。
繁忙期を先に置いてから、スケジュールを組む
金融機関には、決算、期末、株主総会シーズン、年度初めの目標設定、監査対応、システム更改など、動かせない山があります。支店・営業店であればキャンペーン期間もあります。学習計画は、この山を先にカレンダーに置いてから組むのが鉄則です。
ヒロさんは、受験を決めた1月の段階でスケジュール表に全項目を入力したところ、「8月受験で6ヶ月あるから余裕がある」と思っていた見立てが、実際には余裕がないことに気づいたと振り返っています。最初に見える化しておかなければ、試験が近づいてから足りないことに気づくことになっていた、と。学習開始時期の考え方は最適な学習開始時期をまとめた記事で扱っています。
英語は、思われているほど壁ではない
CFA®︎協会は英語資格のスコア提出を求めていません。求められるのは、金融の英語を正確に読む力です。国立大卒・大学受験レベルの英語力でLevel 2に合格された方もいらっしゃいます。目安や科目別の英語負荷はCFA®︎に必要な英語力をまとめた記事で詳しく整理しています。
また、海外のニュースや運用レポートを読む機会が増えることを、むしろ受験の目的に据えている方もいます。八朔さんがその一例です。
会社の学習費用補助を確認する
金融機関は、研修制度やリスキリング支援が整っている業界です。受験料や教材費が補助の対象になるケースがあります。申請の考え方は社内の学習費用補助を活用する方法でまとめています。会社の研修費申請に必要な領収書は、指定のフォーマットで発行が可能です。
なお、一部の金融グループにお勤めの方向けに特典割引をご用意している場合があります。お勤め先について気になる方は、個別面談の際にお尋ねください。
どのレベルから、いつの試験を目指すか
CFA®︎はLevel 1から順に受験します。免除はありません。CMAやUS-CPAを保有していても、まずLevel 1からです。ただし重なりのある分野では学習の進みが速くなります。
試験日の選び方では、学習期間を6ヶ月以上確保できる回を選ぶことをおすすめしています。直近の試験に間に合わせようとして期間を圧縮すると、平日の学習時間が足りずに途中で止まってしまう例が多いためです。各レベルの全体像はLevel 1のまとめ記事から順に確認できます。
独学で行くか、伴走を使うか
ここまでご紹介した方の多くが、一度は独学や他社教材での不合格を経験しています。Rockyさんは「自分の気合だけじゃなくて、継続できる仕組みにも頼ろう」と方針を変え、Kazuさんは1日のインプット量が多すぎて復習が追いつかないカリキュラムから組み直しています。仕事を持ちながらの学習では、教材の質と同じくらい、止まったときに戻れる仕組みが効きます。独学の限界については独学で進める場合の限界をまとめた記事で、FA-Academyの考え方はFA-Academyを利用するメリットでご確認いただけます。
合格を、社内で「見える」状態にする
取得して終わりにしないために、金融機関の中でどう位置づけるかも考えておく価値があります。
学習中から申告する
CFA®︎はLevel 1・2・3と段階があるため、途中経過をそのまま申告できます。キャリア面談や自己申告書には「Level 1合格、Level 2学習中」と書けますし、社内公募の応募書類にも同じ形で記載できます。全部終わってから伝えるのではなく、通過した時点で伝えることをおすすめします。
Charter(称号)の実務経験要件
3つのレベルに合格したあと、称号の授与には投資の意思決定に関連する実務経験が求められます。目安は4,000時間かつ36ヶ月以上です。金融機関にお勤めの方は、この要件を満たしやすい立場にあります。運用やリサーチだけでなく、与信判断、商品設計、リスク管理、投資助言、資産運用の提案なども、投資の意思決定プロセスに関連する業務として申告の対象になり得ます。経験は自己申告制ですので、ご自身の職務経歴を棚卸しすれば、想像以上に該当する業務が見つかることが多いものです。
社外でのつながりを持つ
CFA®︎には各国・各地域のソサエティ(協会支部)があり、勉強会やイベントが行われています。同じ会社の中だけで完結しがちな金融のキャリアにおいて、社外に同じ基準を共有する人のネットワークを持てることは、資格そのものとは別の価値があります。
よくある質問
Q1. 銀行員でもCFA®︎は評価されますか?
評価されます。市場部門・運用子会社・海外拠点といった部署では直接の適性の証明になりますし、支店・営業店であっても資産運用提案の説得力という形で効きます。与信判断や証券化の実務は、財務諸表分析や債券の分野とそのまま重なります。実際にメガバンク、地方銀行、政府系金融機関にお勤めの方が合格されています。
Q2. 証券アナリスト(CMA)を持っていれば、CFA®︎は不要ですか?
目的によります。国内の業務に限れば、CMAで十分に機能する場面は多くあります。一方で、社内にCMA保有者が多い部署では差別化になりにくく、海外拠点や海外投資家との会話ではCFA®︎のほうが前提として共有されます。学習内容はLevel 1と相当程度重なるため、CMA保有者がゼロから始めることにはなりません。
Q3. 保険会社の運用部門でもCFA®︎は役に立ちますか?
役に立ちます。CFA®︎のポートフォリオマネジメントは、負債を持つ投資家(年金基金・保険会社)を前提とした運用を正面から扱います。デュレーション、イミュナイゼーション、金利・為替のヘッジと時価評価といった、ALM・リスク管理の実務で使う概念が体系の中に組み込まれています。
Q4. 営業職から市場・運用部門に異動したいのですが、材料になりますか?
なります。異動希望を伝える際、意欲や経験だけでは客観的な裏付けになりにくいのに対し、CFA®︎は学習中の段階から「Level 1合格・Level 2学習中」という形で申告できます。実際に、営業職から専門性の高いマーケット部署への異動を志してCFA®︎を受験し、合格された方がいらっしゃいます。
Q5. 働きながら、どのくらいの期間で合格できますか?
1レベルあたり300〜400時間前後が目安で、6ヶ月以上の学習期間を確保することをおすすめしています。半年から1年で1レベルずつ進む方が多く、平日は1〜2時間、休日にまとめて時間を取る形が一般的です。決算や繁忙期を先にカレンダーに置いてから、無理のない試験日を選ぶことが最初の設計になります。
Q6. 会社の研修費用補助や資格支援制度は使えますか?
お勤め先の制度次第ですが、金融機関は研修・リスキリング支援が整っている業界であり、受験料や教材費が対象になるケースがあります。会社の研修費申請に必要な領収書は、ご指定のフォーマットで発行が可能です。一部の金融グループにお勤めの方向けの特典割引をご用意している場合もありますので、個別面談の際にお尋ねください。
Q7. 英語にあまり自信がありません。それでも大丈夫でしょうか。
CFA®︎協会は英語資格のスコア提出を求めていません。必要なのは金融の英語を正確に読む力で、大学受験レベルの英語力からLevel 2に合格された方もいらっしゃいます。FA-Academyでは日本語の要点集と解説動画で理解を進め、演習を英語で行う形をとっているため、英語が入口の壁になりにくい設計です。
まとめ:今の持ち場のまま、通用する範囲を広げるという選択
銀行・証券・保険・アセマネ。業態によって、CFA®︎の効き方は違います。銀行では市場とエクイティの視点が加わり、証券では提案と分析の設計図になり、保険では負債を持つ運用の枠組みが直接つながり、アセマネでは職務そのものの共通言語になります。
ただし共通しているのは、転職しなくても効くということです。今の会社の中で、担当領域の外側が見えるようになり、異動希望に材料が付き、海外の相手と前提を共有できるようになる。ここまでご紹介した方々は、いずれも今の職場で働きながら合格されています。
ご自身の業務がCFA®︎のどこと重なるのか、どのレベルから、いつの試験を目指すのが現実的か。この2つは個別の事情で変わります。無料の個別面談で、職務経歴とご予定を伺いながら一緒に整理できますので、まずはお気軽にご相談ください。
関連記事:40代以上からCFA®︎に挑む理由/事業会社勤務の方がCFA®︎に挑む理由/CFA®︎は転職に有利か/CFA®︎ホルダーの年収と職業/どんな人がCFA®︎に挑戦しているか/CFA®︎よくある質問100選















