【CFA®︎ L1 Fixed Income LM13】Curve-Based and Empirical Fixed-Income Risk Measures を要点解説|実効デュレーション・実効コンベクシティ・キーレート・デュレーション・実証的デュレーション

Learning Module 13「Curve-Based and Empirical Fixed-Income Risk Measures(カーブ・ベースと実証的リスク指標)」は、オプション付き債券の金利リスク指標としての実効デュレーションと実効コンベクシティ、ベンチマーク・イールド・カーブの変化に対する価格変化率の推定、キーレート・デュレーション、そして実証的デュレーションと分析的デュレーションの違いを扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM13のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM13には4つのLOSがあります。
- LOS 1:組込オプション付き債券の金利リスクの尺度として、実効デュレーションと実効コンベクシティが最も適切である理由を説明するexplain why effective duration and effective convexity are the most appropriate measures of interest rate risk for bonds with embedded options
- LOS 2:債券の実効デュレーションと実効コンベクシティが与えられたとき、所定のベンチマーク利回りの変化に対する債券価格の変化率を計算するcalculate the percentage price change of a bond for a specified change in benchmark yield, given the bond’s effective duration and convexity
- LOS 3:キーレート・デュレーションを定義し、ベンチマーク・イールド・カーブの変化に対する確定利付商品の価格感応度の測定への利用を説明するdefine key rate duration and describe its use to measure price sensitivity of fixed-income instruments to benchmark yield curve changes
- LOS 4:実証的デュレーションと分析的デュレーションの違いを説明するdescribe the difference between empirical duration and analytical duration
LM13のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- イールド・デュレーションとコンベクシティによる金利リスクの推定は利回り変化が小さい場合にのみ有効で、実効デュレーションと実効コンベクシティは小さな変化にも大きな変化にも有効
- 実効デュレーションと実効コンベクシティは、将来のキャッシュフローが不確実な債券の金利リスクを測るのに役立つ
- 実効デュレーションと実効コンベクシティを使うと、ベンチマーク・イールド・カーブの一定幅のシフトに対する債券のフル・プライスの変化率を推定できる
- キーレート(部分)デュレーションは、特定の満期のベンチマーク利回りの変化に対する債券の感応度で、ベンチマーク・カーブのシフト予想と組み合わせてポートフォリオのリバランスに使える
- ポートフォリオの各債券のキーレート・デュレーションの加重合計は、ポートフォリオ全体の実効デュレーションと等しい
- 分析的デュレーション・コンベクシティは数式で推定した値、実証的デュレーション・コンベクシティは債券価格に影響するさまざまな要因を含む過去データから推定した値
- 実証的指標と分析的指標のどちらを使うかは、ベンチマーク利回りと信用スプレッドの相関を踏まえて判断する
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:実効デュレーション・実効コンベクシティが適切な理由
コール条項付き債券やMBSのように、金利水準によって将来のキャッシュフローが変わる債券では、YTMを前提にしたイールド・デュレーションは使えません。そこで、ベンチマーク・イールド・カーブを上下にシフトさせたときの価格(オプション価格モデルで算出)から求める実効デュレーションと実効コンベクシティを用います。
- カーブ・デュレーション:ベンチマーク・カーブの変化に対する感応度
- オプション付き債券の価格はイールド・カーブとオプション価格モデルで算出
- コーラブル債:金利が低下しコールの可能性が高まると値上がりが抑えられ、実効コンベクシティが負になり得る
- プッタブル債:金利上昇時にプットで値下がりが抑えられ、コンベクシティが大きい
- コーラブル債の実効デュレーションはストレート債以下、プッタブル債もストレート債以下
- キャッシュフローが確定した債券でも、カーブ変化に対する感応度として使える
LOS 2:実効デュレーション・コンベクシティによる価格変化の推定
ベンチマーク利回りの変化に対する価格変化率は、イールド・デュレーションの場合と同じ形の式で、修正デュレーションとコンベクシティを実効デュレーションと実効コンベクシティに置き換えて推定します。実効コンベクシティが負の債券では、2次の項が価格変化を押し下げる方向に働きます。
- 1次の項:−実効デュレーション × ベンチマーク利回りの変化
- 2次の項:+½ × 実効コンベクシティ ×(ベンチマーク利回りの変化)²
- 推定されるのはフル・プライスの変化率
- 負のコンベクシティの場合、利回り低下時の値上がりはデュレーションだけの推定より小さい
LOS 3:キーレート・デュレーション
キーレート(部分)デュレーションは、ベンチマーク・カーブ上の特定の満期の利回りだけを変化させたときの価格感応度です。平行移動を前提とする実効デュレーションでは捉えられない、カーブの形状変化(スティープ化・フラット化など)に対するリスクを測るのに使います。
- 特定の満期(キーレート)の利回りだけを動かし、他の満期は固定
- ポートフォリオのキーレート・デュレーションの合計=実効デュレーション
- カーブの非平行シフトに対するリスクの把握に有効
- カーブ変化の予想に基づき、満期ごとのエクスポージャーを調整するリバランスに活用
LOS 4:実証的デュレーションと分析的デュレーション
分析的デュレーションは数式やモデルで算出する値で、実証的デュレーションは過去の価格とベンチマーク利回りの実際の動きから回帰分析などで推定する値です。国債のようにスプレッドの影響が小さい債券では両者は近くなりますが、信用リスクの大きい債券では乖離が生じます。
- 分析的:ベンチマーク利回りと信用スプレッドが独立に動くことを暗黙の前提とする
- 実証的:スプレッドと金利の相関など、価格に影響する複数の要因を過去データで反映
- 景気後退局面では国債利回りが低下し信用スプレッドが拡大しやすい(負の相関)
- ハイ・イールド債は負の相関によって価格変化が相殺され、実証的デュレーションが分析的デュレーションより小さくなりやすい
- 国債など信用リスクの小さい債券では、両者はほぼ一致
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