【CFA®︎ L1 FSA LM7】Analysis of Long-Term Assets を要点解説|無形資産の取得形態・減損・認識の中止・有形固定資産の開示

Learning Module 7「Analysis of Long-Term Assets(長期資産の分析)」は、個別購入・自己創設・企業結合という取得形態の違いによる無形資産の会計処理、有形固定資産と無形資産の減損・認識の中止が財務諸表と比率に与える影響、長期資産に関する開示の分析を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM7のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM7には3つのLOSがあります。
- LOS 1:個別購入、自己創設、企業結合による取得という種類の無形資産の財務報告を比較するcompare the financial reporting of the following types of intangible assets: purchased, internally developed, and acquired in a business combination
- LOS 2:有形固定資産および無形資産の減損と認識の中止が財務諸表と財務比率に与える影響を説明・評価するexplain and evaluate how impairment and derecognition of property, plant, and equipment and intangible assets affect the financial statements and ratios
- LOS 3:有形固定資産および無形資産に関する財務諸表の開示を分析・解釈するanalyze and interpret financial statement disclosures regarding property, plant, and equipment and intangible assets
LM7のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 有形固定資産や無形資産などの長期資産は多くの企業で資産の大半を占め、長年にわたって経済的便益を生む。会計上の貸借対照表で認識できる資産は、評判や熟練した従業員を含む経済的な資産の範囲より狭い
- 認識後の測定は、IFRSでは原価モデルか再評価モデル、US GAAPでは原価モデルのみ。方法や会計方針の違いが企業間比較を難しくする
- IFRSは研究費の費用処理を求める一方、一定の要件のもとで開発費(ソフトウェアに限らない)の資産計上を認める。US GAAPは原則として研究開発費をともに費用処理するが、ソフトウェア関連の一部の開発費は資産計上が必要
- 企業結合は取得法で処理し、取得企業は取得対価を取得した資産・引き受けた負債に公正価値に基づいて配分する。識別可能な純資産の公正価値を上回る部分はのれんとなる
- 有形固定資産と耐用年数が確定した無形資産の取得原価は、耐用年数にわたって減価償却・償却を通じて費用化される
- 減損は資産の帳簿価額を回収できない場合に認識する。減損や売却・除却による認識の中止は、資産・利益・比率に影響する
- 有形固定資産と無形資産の開示から、資産の平均年齢や残存耐用年数を推計し、将来の設備投資の必要性を評価できる
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:無形資産の取得形態による違い
無形資産の会計処理は、個別購入・自己創設・企業結合のどれで取得したかで異なります。個別購入は取得原価で計上し、自己創設は研究開発費の扱いがIFRSとUS GAAPで異なり、企業結合では識別可能な無形資産を公正価値で計上して残りをのれんとします。
- 個別購入:取得原価(購入価格+付随費用)で資産計上
- 自己創設(IFRS):研究段階は費用、開発段階は技術的実現可能性などの要件を満たせば資産計上
- 自己創設(US GAAP):研究開発費は原則費用。販売目的ソフトウェアは技術的実現可能性の確立後、社内利用ソフトウェアはアプリケーション開発段階の費用を資産計上
- 企業結合:取得法。識別可能な無形資産(特許・顧客リスト・商標など)を公正価値で計上
- のれん:取得対価 − 識別可能な純資産の公正価値。償却せず減損テスト
- 資産計上する企業は費用処理する企業より当期利益・資産が大きく、営業CFも大きくなる
LOS 2:減損と認識の中止の影響
減損は帳簿価額が回収可能でなくなったときに認識し、IFRSとUS GAAPで判定方法と戻入れの可否が異なります。減損損失は非資金費用で、当期の利益と資産を減らし、将来の減価償却費を小さくします。売却や除却による認識の中止では、売却価額と帳簿価額の差が損益となります。
- IFRS:帳簿価額 > 回収可能価額(売却費用控除後の公正価値と使用価値の高い方)なら、その差額を減損
- US GAAP(使用目的):帳簿価額が割引前将来キャッシュフローを上回れば回収不能と判定し、帳簿価額と公正価値の差額を減損
- 戻入れ:IFRSは可(のれんを除く)、US GAAPは使用目的資産について不可
- 売却目的保有:帳簿価額と売却費用控除後の公正価値の低い方で測定、減価償却を停止
- 減損の影響:当期利益・資産・自己資本↓、将来の減価償却費↓、将来のROAやROEは上昇しやすい、減損自体に現金支出なし
- 売却損益 = 売却価額 − 帳簿価額、除却時は帳簿価額を損失として認識
LOS 3:有形固定資産・無形資産の開示の分析
注記では、資産の種類ごとの取得原価、減価償却累計額、減価償却方法、耐用年数、減損などが開示されます。これらから資産の平均年齢や残存耐用年数を推計し、設備の古さや将来の更新投資の必要性を評価します。
- 平均年齢 = 減価償却累計額 ÷ 年間減価償却費
- 平均総耐用年数 = 取得原価総額 ÷ 年間減価償却費
- 平均残存耐用年数 = 正味帳簿価額 ÷ 年間減価償却費
- 設備投資額 ÷ 減価償却費:1を上回れば資産基盤を拡大・更新している可能性
- 固定資産回転率 = 売上高 ÷ 平均正味固定資産
- 減価償却方法・耐用年数・残存価額の違いは企業間比較をゆがめる
効率よく学ぶには FA-Academy
CFA®︎の協会テキストは英語で分量も多く、1つひとつの単元を英語だけで理解していくのは大きな負担です。
FA-Academy(Financial Analyst Academy)は、日本語で学べる数少ないCFA®︎試験サポートです。これまで Level 1 から Level 3 まで多くの合格者を輩出しており、合格者の方々との対談も数多く公開しています。どんな方が、どのように合格されたのかは合格者対談・合格体験談の一覧からご覧いただけます。
















