【CFA®︎ L1 Portfolio Construction LM1】Portfolio Risk and Return: Part I を要点解説|リスク回避・効用・資本配分線・分散効果・効率的フロンティア

Learning Module 1「Portfolio Risk and Return: Part I(ポートフォリオのリスクとリターン Part I)」は、主要資産クラスの特徴、リスク回避と効用に基づく最適ポートフォリオの選択、資産リターンの平均・分散・共分散とポートフォリオの標準偏差、相関による分散効果、そして最小分散フロンティアと効率的フロンティアを扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM1のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM1には7つのLOSがあります。
- LOS 1:投資家がポートフォリオを構築する際に検討する主要な資産クラスの特徴を説明するdescribe characteristics of the major asset classes that investors consider in forming portfolios
- LOS 2:リスク回避と、それがポートフォリオの選択に与える影響を説明するexplain risk aversion and its implications for portfolio selection
- LOS 3:投資家の効用(またはリスク回避度)と資本配分線を所与として、最適ポートフォリオの選択を説明するexplain the selection of an optimal portfolio, given an investor’s utility (or risk aversion) and the capital allocation line
- LOS 4:過去データに基づいて、資産リターンの平均、分散、共分散(または相関)を計算・解釈するcalculate and interpret the mean, variance, and covariance (or correlation) of asset returns based on historical data
- LOS 5:ポートフォリオの標準偏差を計算・解釈するcalculate and interpret portfolio standard deviation
- LOS 6:完全には相関していない資産に投資することが、ポートフォリオのリスクに与える影響を説明するdescribe the effect on a portfolio’s risk of investing in assets that are less than perfectly correlated
- LOS 7:リスク資産の最小分散フロンティアと効率的フロンティア、およびグローバル最小分散ポートフォリオを説明・解釈するdescribe and interpret the minimum-variance and efficient frontiers of risky assets and the global minimum-variance portfolio
LM1のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 保有期間リターンは、あらかじめ定めた単一の保有期間に最も適した指標で、複数期間のリターンはさまざまな方法で集計でき、それぞれに適した用途がある
- リスク回避的な投資家は、同じリスクならリターンを最大に、同じリターンならリスクを最小にするよう、リスクとリターンのトレードオフに基づいて意思決定する。ただし、リターンの分布の非正規性や市場の運用上の非効率性も懸念材料
- 投資家はリスク回避的であり、過去のデータも金融市場がリスク回避的な投資家を前提に資産を価格づけていることを裏付ける
- 2資産ポートフォリオのリスクは、各資産の比率、標準偏差、リターン間の相関(共分散)で決まり、資産数が増えるほど相関がポートフォリオのリスクの重要な決定要因となる
- 相関の低い資産を組み合わせることでポートフォリオのリスクを引き下げられる
- 2ファンド分離定理により、意思決定を2段階に分けられる。まず全投資家に共通の最適リスク・ポートフォリオと資本配分線を特定し、次に各投資家のリスク選好に応じて最適な投資家ポートフォリオを決める
- 無リスク資産を加えると、最適リスク・ポートフォリオ以外のすべてのリスク資産ポートフォリオより優位なポートフォリオが作れる
- 無差別曲線と資本配分線の接点が、その投資家にとっての最適ポートフォリオ
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:主要資産クラスの特徴
主要な資産クラスは、リスクとリターンの間にトレードオフの関係があります。長期の過去データでは、小型株・大型株などの株式が最も高いリターンと高いリスク、国債や短期国債(T-bill)が低いリターンと低いリスクを示してきました。
- 長期では株式のリターンと標準偏差が債券・短期金融商品より高い
- 小型株は大型株よりリターン・リスクがともに高い傾向
- リスク・プレミアム:リスク資産のリターンと無リスク金利の差
- 名目リターンと実質リターン(インフレ調整後)の区別
- リターンの分布は正規分布から外れる(歪度・尖度)ことがある
- 流動性も資産選択で考慮すべき特徴
LOS 2:リスク回避とポートフォリオ選択
リスク回避的な投資家は、期待リターンが同じなら低いリスクを選び、リスクを取るには見返りとなるリターンを求めます。その選好は効用関数と無差別曲線で表され、リスク回避度が高いほど無差別曲線の傾きは急になります。
- リスク回避的(A > 0)、リスク中立的(A = 0)、リスク愛好的(A < 0)
- 効用はリターンで増え、分散で減る
- 無差別曲線:同じ効用を与えるリスクとリターンの組み合わせ
- リスク回避的な投資家の無差別曲線は右上がりで下に凸
- リスク回避度が高いほど無差別曲線の傾きが急
LOS 3:効用と資本配分線による最適ポートフォリオの選択
資本配分線(CAL)は、無リスク資産とリスク・ポートフォリオを組み合わせて得られるリスクとリターンの組み合わせを表す直線です。投資家の無差別曲線がCALに接する点が、その投資家にとっての最適ポートフォリオになります。
- CALの傾き=リスク・ポートフォリオのシャープ・レシオ
- 最適リスク・ポートフォリオ:CALの傾きを最大にするポートフォリオ
- 2ファンド分離定理:最適リスク・ポートフォリオの決定と、投資家ごとの配分の決定を分離
- リスク回避度が高い投資家ほど無リスク資産の比率が大きい
- 最適リスク資産比率 y* = [E(r_p) − r_f]/(Aσ_p²)
LOS 4:平均・分散・共分散(相関)の計算
過去データから、リターンの平均、ばらつきを表す分散と標準偏差、2資産のリターンが連動する度合いを表す共分散と相関係数を求めます。標本データでは分散・共分散の分母が n − 1 になる点がポイントです。
- 平均リターン:過去リターンの算術平均
- 標本分散:σ² = Σ(R_t − R̄)²/(n − 1)
- 共分散:Cov = Σ(R_1,t − R̄₁)(R_2,t − R̄₂)/(n − 1)
- 相関係数 ρ = Cov/(σ₁σ₂)、−1 から +1 の範囲
- 共分散は単位に依存し、相関係数は基準化された指標
LOS 5:ポートフォリオの標準偏差
2資産ポートフォリオの分散は、各資産の比率と分散に加えて、共分散(相関)の項で決まります。期待リターンは加重平均ですが、標準偏差は相関が +1 未満であれば加重平均より小さくなります。
- 期待リターン:E(R_p) = w₁E(R₁) + w₂E(R₂)
- 分散には各資産の分散と共分散の項が入る
- ρ = +1 のときのみ標準偏差は加重平均に一致
- 資産数が増えるほど個々の分散より共分散の影響が大きくなる
- 等加重 N 資産ポートフォリオの分散は、N が大きくなると平均共分散に近づく
LOS 6:相関と分散効果
相関が+1 未満の資産を組み合わせると、期待リターンを犠牲にせずにポートフォリオのリスクを下げられます。相関が低いほど分散効果は大きく、相関が −1 なら理論上リスクをゼロにできます。
- ρ = +1:分散効果なし(リスクは加重平均)
- ρ < +1:標準偏差は加重平均より小さい
- ρ = −1:適切な比率でリスクをゼロにできる
- 相関が低いほどリスク・リターンの曲線は左に膨らむ
- ストレス時には資産間の相関が上昇し分散効果が弱まり得る
LOS 7:最小分散フロンティアと効率的フロンティア
最小分散フロンティアは、各期待リターンに対して分散が最小となるリスク資産ポートフォリオの集合です。その左端の点がグローバル最小分散ポートフォリオで、それより上側の部分が効率的フロンティアです。
- 最小分散フロンティア:同じ期待リターンで最もリスクが小さいポートフォリオの集合
- グローバル最小分散ポートフォリオ:全体で最もリスクの小さいリスク資産ポートフォリオ
- 効率的フロンティア:グローバル最小分散ポートフォリオより上の部分
- 効率的フロンティア上のポートフォリオは他に支配されない
- 無リスク資産を加えると、CALと効率的フロンティアの接点が最適リスク・ポートフォリオ
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