【CFA®︎ L1 Derivatives LM10】Valuing a Derivative Using a One-Period Binomial Model を要点解説|1期間二項モデル・ヘッジ比率・リスク中立確率

Learning Module 10「Valuing a Derivative Using a One-Period Binomial Model(1期間二項モデルによる評価)」は、1期間二項モデルによるオプションなどのデリバティブの評価方法と、デリバティブの価格決定におけるリスク中立性の考え方を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM10のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM10には2つのLOSがあります。
- LOS 1:1期間二項モデルを用いてデリバティブを評価する方法を説明するexplain how to value a derivative using a one-period binomial model
- LOS 2:デリバティブの価格決定におけるリスク中立性の概念を説明するdescribe the concept of risk neutrality in derivatives pricing
LM10のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 1期間二項モデルはオプションなどの条件付請求権を評価するモデルで、デリバティブの満期に対応する1期間に、原資産が上昇(グロス・リターン Ru)か下落(グロス・リターン Rd)のいずれかをたどると仮定
- 二項モデルでは、オプションと原資産を組み合わせて無リスクのポートフォリオを作り、その組み合わせの比率はヘッジ比率で決まる
- ヘッジされたポートフォリオは無リスク金利のリターンを得なければならず、そうでなければ無リスクの裁定利益が生じる
- 無リスクのヘッジによる評価は、実際の確率ではなくリスク中立確率を使って、オプションの期待ペイオフを割り引くことと同じ
- オプションの価格決定には、原資産の価格上昇・下落の実際の(現実世界の)確率も、原資産の期待リターンも必要ない
- 1期間二項モデルは多期間に拡張でき、より複雑な条件付請求権の評価にも使える
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:1期間二項モデルによる評価
原資産価格が1期間後に上昇か下落の2通りしかないと仮定し、オプションと原資産をヘッジ比率で組み合わせて、どちらになっても価値が同じになる無リスク・ポートフォリオを作ります。このポートフォリオは無リスク金利で成長するはずなので、そこからオプションの現在価値が求まります。
- 上昇時の原資産価格 S₁ᵘ = S₀ × Ru、下落時 S₁ᵈ = S₀ × Rd
- 満期時のオプション価値:上昇時 c₁ᵘ、下落時 c₁ᵈ(ペイオフの式から)
- ヘッジ比率 h = (c₁ᵘ − c₁ᵈ)/(S₁ᵘ − S₁ᵈ)
- コールの売り1単位+原資産 h 単位の買い=無リスク
- 無リスク・ポートフォリオは無リスク金利で割り引いて評価
- コールの複製:原資産 h 単位の買い+借入
LOS 2:リスク中立性とリスク中立確率
無リスク・ヘッジによる評価は、リスク中立確率で計算した期待ペイオフを無リスク金利で割り引くことと同じです。オプション価格の計算に、実際の上昇・下落確率や原資産の期待リターン、投資家のリスク選好は必要ありません。
- リスク中立確率 π は Ru、Rd と無リスク金利だけで決まる
- リスク中立確率は実際の確率ではない
- 期待ペイオフは無リスク金利で割り引く(リスク・プレミアムを加えない)
- 投資家のリスク回避度はオプション価格に影響しない
- 多期間の二項モデルに拡張可能
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