【CFA®︎ L2 FSA LM2】Employee Compensation: Post-Employment and Share-Based を要点解説|株式報酬・RSU・ストック・オプション・確定給付制度

Learning Module 2「Employee Compensation: Post-Employment and Share-Based(従業員報酬:退職後給付と株式報酬)」は、従業員報酬の種類、株式報酬(RSU・ストック・オプション)が財務諸表に与える影響と財務モデルでの予測・評価への反映、退職後給付(確定拠出・確定給付)の会計処理と財務モデル・評価上の論点を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM2のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM2には5つのLOSがあります。
- LOS 1:従業員報酬の種類を対比するcontrast types of employee compensation
- LOS 2:株式報酬が財務諸表に与える影響を説明するexplain how share-based compensation affects the financial statements
- LOS 3:財務諸表モデルにおける株式報酬費用と発行済株式数の予測方法と、その評価への利用を説明するexplain how to forecast share-based compensation expense and shares outstanding in a financial statement model and their use in valuation
- LOS 4:退職後給付が財務諸表に与える影響を説明するexplain how post-employment benefits affect the financial statements
- LOS 5:退職後給付に関する財務モデルと評価上の考慮事項を説明するexplain financial modeling and valuation considerations for post-employment benefits
LM2のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 従業員報酬には短期給付、株式報酬、解雇給付、退職後給付があり、多くの場合、短期給付が報酬コストの大部分を占める
- 報酬会計の基本原則は、従業員が役務を提供した期間に報酬の公正価値を費用として認識すること
- 株式報酬は、付与日に公正価値を測定し、権利確定期間にわたって費用化して相手勘定を資本に計上する
- RSU の公正価値は付与日の株価、ストック・オプションの公正価値は評価モデルで見積もる
- 財務モデルでは、株式報酬を売上高比率で他の営業費用と分けて予測し、付与・決済の予測とあわせて発行済株式数を予測する
- 株式報酬は非資金費用だが既存株主の持分を希薄化させる実質的なコストであり、DCF 評価ではフリー・キャッシュフローから差し引くか、希薄化を別途反映する
- 確定拠出制度は短期給付と同様に処理される一方、運用リスクと数理リスクを企業が負う確定給付制度は会計処理が複雑
- 確定給付制度は、勤務費用などの構成要素ごとに予測し、積立不足と将来の勤務費用を DCF 評価に反映する
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:従業員報酬の種類
従業員報酬は、給与・賞与などの短期給付、株式で支払う株式報酬、解雇給付、年金などの退職後給付に分けられます。いずれも役務の提供期間に公正価値で費用を認識するのが基本です。
- 短期給付:費用と未払負債を計上し、支払時に負債を消滅
- 株式報酬:株式での決済、測定に判断が必要、権利確定まで複数年
- 解雇給付:雇用終了に伴う給付
- 退職後給付:確定拠出制度と確定給付制度
LOS 2:株式報酬が財務諸表に与える影響
株式報酬は付与日の公正価値で測定し、権利確定期間にわたって費用化して、相手勘定を資本に計上します。RSU は付与日の株価、ストック・オプションはオプション評価モデルで公正価値を見積もります。
- 損益計算書:権利確定期間にわたり報酬費用を計上
- 貸借対照表:資本(資本剰余金)が増加、負債は発生しない
- RSU:権利確定と同時に普通株式に転換(決済)
- オプション:行使時に現金が流入し財務活動のキャッシュフロー、株式を発行
- 費用は非資金項目だが株主の持分を希薄化
LOS 3:株式報酬と発行済株式数の予測・評価への利用
財務モデルでは、株式報酬費用を売上高に対する比率で予測し、株式の付与・決済の予測とあわせて発行済株式数を予測します。評価では、株式報酬を実質的なコストとして扱い、フリー・キャッシュフローから差し引くか、希薄化後の株式数で反映します。
- 株式報酬費用 = 売上高 × 予測比率(他の営業費用と区別)
- 発行済株式数 = 期首株式数 + 決済による発行 − 自社株買い
- DCF では株式報酬を FCF から差し引くのが一般的
- FCF から差し引かない場合は、将来の希薄化を株式数に反映
- 二重計上(費用控除と希薄化の両方)を避ける
LOS 4:退職後給付が財務諸表に与える影響
確定拠出(DC)制度は拠出額を費用とするだけですが、確定給付(DB)制度では企業が運用・数理リスクを負います。DB 制度では積立状況(制度資産の公正価値 − 確定給付債務)を貸借対照表に負債または資産として計上し、勤務費用・利息・再測定を認識します。
- DC 制度:拠出額 = 費用、将来の給付額は保証しない
- DB 制度の積立状況 = 制度資産 − 確定給付債務(DBO)
- IFRS:勤務費用と純利息を損益、再測定をその他の包括利益
- US GAAP:勤務費用、利息費用、制度資産の期待運用収益などを損益に計上
- キャッシュフロー計算書:制度への拠出額
LOS 5:退職後給付の財務モデル・評価上の考慮事項
DB 制度は、勤務費用・割引率・制度への拠出・給付の支払いといった構成要素ごとに予測します。企業価値評価では、積立不足を負債に準じるものとして扱い、将来の勤務費用も DCF に反映します。
- DB 制度は民間では減少しているが公的部門では依然多い
- 過去の DB 債務が企業価値の大きな割合を占める企業もある(低金利時に特に)
- 割引率の低下は確定給付債務を増加
- 積立不足は企業価値から差し引く負債性の項目
- 将来の勤務費用は営業費用として予測
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