Learning Module 2「Environmental, Social, and Governance (ESG) Considerations in Investment Analysis(投資分析におけるESGの考慮)」は、株主の所有構造の国際的な違いとガバナンスへの影響、ガバナンスの有効性の評価、ESGに関するリスクと投資機会の識別・評価を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM2のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM2には4つのLOSがあります。

  1. LOS 1:所有構造の国際的な違いと、その違いがコーポレート・ガバナンスの方針・慣行に与える可能性のある影響を記述するdescribe global variations in ownership structures and the possible effects of these variations on corporate governance policies and practices
  2. LOS 2:企業のコーポレート・ガバナンスの方針・慣行の有効性を評価するevaluate the effectiveness of a company’s corporate governance policies and practices
  3. LOS 3:ESG関連のリスク・エクスポージャーと投資機会をどのように識別・評価するかを記述するdescribe how ESG-related risk exposures and investment opportunities may be identified and evaluated
  4. LOS 4:企業に関するESGのリスク・エクスポージャーと投資機会を評価するevaluate ESG risk exposures and investment opportunities related to a company

LM2のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 株主の所有構造は、分散型、集中型、その混合型に分類される
  • 集中型所有では支配株主が経営を支配でき、支配株主は過半数株主の場合も少数株主の場合もある
  • 水平的所有(株式持ち合い)、垂直的(ピラミッド型)所有、議決権の異なる複数種類株式が支配関係を複雑にする
  • 取締役会は一層制(業務執行・非業務執行取締役)と二層制(監督役会と執行役会)に大別され、CEOが議長を兼ねる場合をCEOデュアリティという
  • ESG情報は開示が任意で一貫性に欠けるため、関連性・比較可能性・意思決定有用性のある情報の入手が課題
  • ESGにおけるマテリアリティは、事業運営・財務業績・証券の評価に影響すると見込まれる問題を指す
  • ガバナンスの論点は企業間で比較的共通だが、環境・社会の論点は業種により大きく異なる
  • 株式分析ではESG統合を機会の発見とリスク低減の両方に使い、債券分析では主に下方リスクの低減に使う

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:所有構造の国際的な違い

所有構造には分散型集中型があり、集中型では支配株主と少数株主の間の利害対立(プリンシパル・プリンシパル問題)が中心になります。分散型では株主と経営者の対立(プリンシパル・エージェント問題)が中心です。

  • 分散型:株主と経営者の対立
  • 集中型:支配株主と少数株主の対立
  • 水平的所有(持ち合い)と垂直的(ピラミッド型)所有
  • 複数種類株式(議決権の差)
  • 影響力のある所有者:銀行、同族、政府、機関投資家、PE、経営者など

LOS 2:ガバナンスの有効性の評価

ガバナンスは、取締役会の構成と独立性、報酬制度、株主の権利、関連当事者取引などから評価します。一層制・二層制の違いやCEOデュアリティの有無が監督機能に影響します。

  • 取締役会の独立性・多様性・経験
  • 一層制と二層制の取締役会
  • CEOデュアリティ:監督機能の弱まりの懸念
  • 経営陣の報酬と業績・長期目標の整合
  • 株主の議決権(複数種類株式など)
  • 監査・関連当事者取引の透明性

LOS 3:ESGリスクと機会の識別

ESG要因の特定は、業種や企業にとってマテリアル(重要)な論点を見極めることから始まります。情報源は自社調査、ESGデータ提供会社の評価、非営利の業界団体などのフレームワークです。

  • マテリアリティ:業績や証券価値に影響する論点
  • 情報の課題:任意開示、一貫性の欠如
  • 情報源:自社リサーチ、ESGデータ提供会社、業界団体・イニシアティブ
  • 環境・社会要因は業種ごとに大きく異なる
  • ガバナンス要因は企業間で比較的共通

LOS 4:企業のESGリスク・機会の評価

特定したESG要因を、売上・費用・資産・負債、あるいは割引率への影響として財務モデルと評価に反映します。株式では機会とリスクの両面、債券では主に下方リスクに注目します。

  • 定性的・定量的なESG要因の特定
  • 財務諸表項目(売上・コスト・減損・引当)への反映
  • 割引率やバリュエーション倍率の調整
  • 株式:機会の発見とリスク低減
  • 債券:信用リスク・下方リスクの評価

効率よく学ぶには FA-Academy

CFA®︎の協会テキストは英語で分量も多く、1つひとつの単元を英語だけで理解していくのは大きな負担です。

FA-Academy(Financial Analyst Academy)は、日本語で学べる数少ないCFA®︎試験サポートです。これまで Level 1 から Level 3 まで多くの合格者を輩出しており、合格者の方々との対談も数多く公開しています。どんな方が、どのように合格されたのかは合格者対談・合格体験談の一覧からご覧いただけます。