外務員の基礎

証券外務員とは?仕事内容・一種と二種の違い・試験と登録の流れをわかりやすく解説

証券外務員とは?仕事・資格・試験を解説

結論:証券外務員とは、証券会社や銀行などで「株・債券・投資信託などをお客さまに勧誘・販売する人」のことです。

  • 金融商品取引法で、会社が国の原簿に「外務員登録」をした人しかこの仕事はできません
  • 登録の前提になるのが日本証券業協会の外務員資格試験(一種・二種)です
  • 合格点はどちらも7割。2025年度の合格率は一種73.1%/二種68.1%

証券外務員とは?法律上の定義

「証券外務員」は通称で、法律上の名前は外務員です。金融商品取引法第64条は、証券会社などの役員・使用人のうち、会社のために有価証券の売買の勧誘などを行う人を「外務員」と定め、外務員登録原簿への登録を義務づけています。

ポイントは「勧誘員、販売員、外交員その他いかなる名称を有する者であるかを問わず」と書かれていることです。名刺の肩書きが「営業」でも「ファイナンシャルアドバイザー」でも、やっている仕事が勧誘・販売なら外務員です。

項目 内容
根拠法 金融商品取引法 第64条(外務員の登録)
登録しないと 会社は登録を受けた人以外に外務員の職務をさせてはならない(第64条第2項)
外務員の権限 所属する会社に代わって、一切の裁判外の行為を行う権限があるとみなされる(第64条の3)。ただし相手方が悪意なら適用されない
登録の窓口 日本証券業協会(勤務先を通じて申請)

証券外務員の仕事内容:何ができるのか

外務員の職務は、ひとことで言えばお客さまと金融商品の取引をつなぐことです。具体的には次のような行為が当たります。

  • 株式・債券・投資信託などの売買の勧誘や、注文の受付・取次ぎ
  • 新しく発行される株や債券の募集・売出しの取扱い
  • 信用取引や、先物・オプションなどのデリバティブ取引の勧誘・受注(※扱えるのは一種外務員だけです。違いは次の見出しで説明します)

働く場所は証券会社だけではありません。銀行・信用金庫などの登録金融機関で投資信託や国債を販売する人、IFA(金融商品仲介業者)として独立して活動する人も、外務員登録が必要です。窓口で投資信託を案内している銀行員も外務員です。

外務員資格の種類:一種と二種の違い

外務員資格は「どの商品・取引を扱えるか」で分かれています。受験者のほとんどが受けるのは一種二種の2つです。違いは信用取引とデリバティブを扱えるかどうかに尽きます。

項目 一種外務員 二種外務員
扱える範囲 信用取引・デリバティブを含むすべての有価証券の外務員の職務 現物株式・債券・投資信託など。信用取引・デリバティブは不可
問題数 100問(○×70問・五肢選択30問) 70問(○×50問・五肢選択20問)
配点 440点満点 300点満点
合格点 308点以上(7割) 210点以上(7割)
試験時間 2時間40分 2時間
2025年度合格率 73.1%(7,408名中5,418名) 68.1%(3,753名中2,557名)

このほか、銀行など登録金融機関向けの特別会員一種・二種・四種などの資格区分もあります。ただし特別会員の資格は証券会社の外務員資格としては有効ではない点に注意してください(日本証券業協会)。

外務員資格試験の概要

試験を実施するのは日本証券業協会で、テストセンターのパソコンで受けるCBT方式(運営はプロメトリック)です。受験資格の制限はなく、学生や金融機関に勤めていない人も受けられます。

項目 内容
受験資格 なし(二種を持っていなくても一種を受けられる)
受験料 一般の受験者は12,169円(税込)
申込方法 協会員(証券会社・銀行など)の役職員は勤務先の人事部経由。一般はプロメトリックに申込み(受験日の60日前〜5営業日前まで予約可)
出題範囲 法令・諸規則/商品業務/関連科目の3分野
再受験の制限 不合格の場合、受験日の翌日から30日を経過する日まで協会主催の試験を受けられない

出題範囲の3分野

分野 主な内容
法令・諸規則 金融商品取引法、金融商品の勧誘・販売に関係する法律、協会定款・諸規則、取引所定款・諸規則
商品業務 株式業務、債券業務、投資信託・投資法人、付随業務、デリバティブ取引
関連科目 証券市場の基礎知識、株式会社法、経済・金融・財政、財務諸表、証券税制、セールス業務

一種では、これに加えて信用取引や先物・オプションの計算問題が出題されます。五肢選択は1問10点と配点が大きいので、計算問題を落とさないことが合否を分けます。

合格から外務員登録までの流れ

ここがいちばん誤解されやすいところです。試験に合格しただけでは、外務員として働けません。

  1. 外務員資格試験に合格する
  2. 証券会社・銀行などの勤務先を通じて日本証券業協会に外務員登録を申請する(登録手数料1,000円)
  3. 登録を受けて、はじめて勧誘・販売の仕事ができる
  4. 新規登録の日から180日以内に資格更新研修を修了し、その後は5年ごとに修了する

資格更新研修を期限までに修了しないと、外務員資格が停止・取消になります。日本証券業協会のFAQでは、証券会社などに勤めていない人でも研修を受けないと資格が取り消される場合があると案内されています。一方で、転職しても資格は自動的には取り消されません。銀行で取った二種を、証券会社に移ってから使うこともできます。

一種と二種、どちらを受けるべき?

勤務先の指示があればそれが最優先です。指示がなく迷っているなら、一種をおすすめします。

  • 二種を持っていなくても、いきなり一種を受けられる
  • 一種なら信用取引・デリバティブまで扱え、配属や転職で困らない
  • 2025年度の合格率は一種(73.1%)が二種(68.1%)より高い

二種は範囲が狭いぶん短期間で準備できます。「まず窓口で投資信託を売れるようにしたい」という銀行員の方などは、二種から入るのも合理的です。

試験に出る「外務員制度」のひっかけ

このページの内容は、そのまま法令・諸規則の○×問題になります。自分で解いてみてください。

問1. 「営業員」という名称で勧誘を行う者は、外務員には当たらない。

答え:× 名称を問わず、勧誘・販売などを行えば外務員です。

問2. 外務員は、所属する会社に代わって一切の裁判上の行為を行う権限を有するものとみなされる。

答え:× 「裁判」の行為です。「裁判上」と入れ替えるのが定番のひっかけです。

問3. 外務員の権限に関する規定は、相手方が悪意であった場合には適用されない。

答え:○ 第64条の3第2項のとおりです。

問4. 二種外務員は、顧客から信用取引の注文を受けることができる。

答え:× 信用取引とデリバティブは一種外務員の範囲です。

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外務員の次に取る資格

外務員資格は「金融商品を売ってよい」という入場券です。配属後に「なぜこの銘柄なのか」「この投資信託は何に投資しているのか」をお客さまに説明するには、企業分析や運用の知識が必要になります。次のステップとして多いのが、日本証券アナリスト協会の証券アナリスト(CMA)と、その国際版にあたるCFA®です。

銀行・証券・保険・アセマネで働く人が、外務員の次にどんな資格を取っているかは、こちらでまとめています。
【金融機関×CFA】銀行・証券・保険・アセマネ勤務の方がCFA®試験に挑む理由

よくある質問

Q. 証券外務員の資格は誰でも受験できますか?

A. はい。受験資格の制限はなく、学生や金融機関に勤めていない人も受けられます。一般の受験者はプロメトリックに申し込み、受験料は12,169円(税込)です。

Q. 試験に合格すれば、すぐに株や投資信託を販売できますか?

A. できません。証券会社や銀行などの勤務先を通じて日本証券業協会に外務員登録を受けて、はじめて勧誘・販売ができます。個人で登録することはできません。

Q. 一種と二種の違いは何ですか?

A. 一種は信用取引・デリバティブを含むすべての有価証券を扱えます。二種は現物株式・債券・投資信託などに限られ、信用取引・デリバティブは扱えません。試験は一種が100問・440点満点、二種が70問・300点満点で、どちらも7割で合格です。

Q. 二種を持っていないと一種は受けられませんか?

A. 受けられます。二種の合格は一種の受験条件ではありません。

Q. 転職したら外務員資格はなくなりますか?

A. 転職しても資格は自動的には取り消されません。ただし登録から180日以内、その後は5年ごとに資格更新研修を修了しないと、資格が停止・取消になります。

参考(2026年9月19日確認):日本証券業協会「外務員」「外務員資格試験」「外務員資格更新研修」「よくある質問」、e-Gov法令検索「金融商品取引法」第64条・第64条の3、プロメトリック「外務員資格試験」。受験料・合格率などは変わることがあるため、受験前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。