【CFA®︎ L1 Equities LM12】The Capital Asset Pricing Model, Market Model, and Other Factor-Based Equity Models を要点解説|CAPM・ベータ・カントリー・リスク・プレミアム・マルチファクター・モデル

Learning Module 12「The Capital Asset Pricing Model, Market Model, and Other Factor-Based Equity Models(CAPMとファクターモデル)」は、CAPMとマーケットモデルを用いた株主資本の要求収益率(株主資本コスト)の推定、ベータと市場リスク・プレミアムの推定方法、カントリー・リスク・プレミアム、そして裁定価格理論(APT)とマルチファクター・モデルの重要性を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM12のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM12には2つのLOSがあります。
- LOS 1:企業の株主資本の要求収益率を推定するためのCAPMとマーケットモデルの使用を説明するexplain the use of the CAPM and the market model to estimate a company’s required return on equity
- LOS 2:裁定価格理論と、株式投資で用いられるマルチファクター・モデルの重要性を説明するdescribe the arbitrage pricing theory and the importance of multi-factor models used in equity investing
LM12のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 期待収益率のモデルは、企業の株主資本の要求収益率(株主資本コスト)の推定に使える
- CAPMはシングル・ファクター・モデルで、個別株式やポートフォリオの期待収益率を、リスクフリー・レートに、市場の動きに対するリスク・エクスポージャーを表すベータと期待市場リスク・プレミアム(MRP)の積を加えたものとして説明する
- 新興市場では、MRPにカントリー・リスク・プレミアム(CRP)を加える。CRPは観察または推定した国債の利回りスプレッドと、その国の株式市場と債券市場の標準偏差の比から求める
- ベータの推定値と期待MRPはいずれも異なる方法で推定でき、それぞれに長所と短所がある
- マルチファクター・モデルは複数のシステマティック・リスクの源泉で期待収益率を説明し、CAPMと同じ株式市場リスクをファクターの1つとして含めることができる。ほかのファクターにはマクロ経済や企業のデータが使われる
- マルチファクター・モデルが示す個別株式の期待収益率は、追加のリスク・ファクターへのエクスポージャー次第で、シングル・ファクターのCAPMより高くも低くもなり得る
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:CAPMとマーケットモデルによる株主資本コスト
CAPMでは、期待収益率=リスクフリー・レート+ベータ×市場リスク・プレミアム(MRP)で、これが株主資本の要求収益率(株主資本コスト)になります。ベータは回帰分析で推定し、実務では超過リターンではなく銘柄リターンを市場リターンに回帰するマーケットモデルがよく用いられます。
- ベータ=Cov(rᵢ, rₘ)÷ σₘ² = ρᵢₘ × σᵢ ÷ σₘ
- 回帰推定:週次・月次リターンを1〜5年分。マーケットモデルはリスクフリー・レートのデータが不要
- 調整ベータ=w × 生ベータ +(1 − w)× 1.0:ベータの1への平均回帰を反映
- 比較企業法:同業のレバード・ベータをアンレバーし、対象企業の負債比率で再レバー(上場直後や非上場の企業に有用)
- MRPの推定:過去の株式と国債のリターン差(ヒストリカル)、または現在の指数水準と予想配当成長率からの逆算(インプライド)
- 新興市場:MRPにCRPを加算。CRP=国債の利回りスプレッド ×(株式市場の標準偏差 ÷ 債券市場の標準偏差)
LOS 2:APTとマルチファクター・モデル
裁定価格理論(APT)は、複数のシステマティック・リスクの源泉で期待収益率を説明するマルチファクター・モデルの一般的な枠組みで、ファクターの内容や数は特定しません。代表例は市場・規模・バリュー・モメンタムの4ファクター・モデルで、追加ファクターへのエクスポージャー次第で期待収益率はCAPMより高くも低くもなります。
- βᵢ,ₖ はファクターkへの感応度、E(fₖ) はファクターkの期待リスク・プレミアム
- ファクターの例:株式市場リスク、マクロ経済変数、企業データ(規模、簿価時価比率など)
- 規模(SMB):小型株ロング・大型株ショート。バリュー(HML):簿価時価比率の高い株ロング・低い株ショート。モメンタム(UMD):上昇株ロング・下落株ショート
- 市場ベータの平均は1.0、他のファクターのベータの平均はゼロで、負の値も珍しくない
- マルチファクター・モデルの市場ベータはCAPMのベータと一致するとは限らない
- ベータ推定値とファクター・リスク・プレミアムは推定期間やリターンの間隔に左右される
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