【CFA®︎ L3 Derivatives and Risk Management LM1】Options Strategies を要点解説|合成ポジション・カバード・コール・プロテクティブ・プット・スプレッド・ボラティリティ・スキュー

Learning Module 1「Options Strategies(オプション戦略)」は、オプションによる資産リターンの複製、カバード・コールとプロテクティブ・プット、デルタの比較、ショート・ポジションのヘッジ、ブル・スプレッド、ベア・スプレッド、ストラドル、カラー、カレンダー・スプレッド、ボラティリティ・スキューとスマイル、目的に合った戦略の選択を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM1のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM1には10個のLOSがあります。
- LOS 1:オプションを使って資産のリターンをどのように複製できるかを示すdemonstrate how an asset’s returns may be replicated by using options
- LOS 2:カバード・コールの投資目的、構成、ペイオフ、リスク、満期時価値、損益、最大利益、最大損失、満期時の損益分岐点を論じるdiscuss the investment objective(s), structure, payoff, risk(s), value at expiration, profit, maximum profit, maximum loss, and breakeven underlying price at expiration of a covered call position
- LOS 3:プロテクティブ・プットの投資目的、構成、ペイオフ、リスク、満期時価値、損益、最大利益、最大損失、満期時の損益分岐点を論じるdiscuss the investment objective(s), structure, payoff, risk(s), value at expiration, profit, maximum profit, maximum loss, and breakeven underlying price at expiration of a protective put position
- LOS 4:カバード・コールとプロテクティブ・プットのデルタを、資産のロングと原資産のフォワードのショートを組み合わせたポジションと比較するcompare the delta of covered call and protective put positions with the position of being long an asset and short a forward on the underlying asset
- LOS 5:原資産のショート・ポジションに対し、コールを買う効果とプットを売る効果を比較するcompare the effect of buying a call on a short underlying position with the effect of selling a put on a short underlying position
- LOS 6:ブル・スプレッド、ベア・スプレッド、ストラドル、カラーについて、投資目的、構成、ペイオフ、リスク、満期時価値、損益、最大利益、最大損失、満期時の損益分岐点を論じるdiscuss the investment objective(s), structure, payoffs, risk(s), value at expiration, profit, maximum profit, maximum loss, and breakeven underlying price at expiration of the following option strategies: bull spread, bear spread, straddle, and collar
- LOS 7:カレンダー・スプレッドの用途を説明するdescribe uses of calendar spreads
- LOS 8:ボラティリティ・スキューとスマイルを論じるdiscuss volatility skew and smile
- LOS 9:与えられた投資目的に合ったオプション戦略を特定・評価するidentify and evaluate appropriate option strategies consistent with given investment objectives
- LOS 10:目標とする株式リスク・エクスポージャーを実現するためのオプションの利用を示すdemonstrate the use of options to achieve targeted equity risk exposures
LM1のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 同じ原資産・行使価格・満期のコールの買いとプットの売りで合成ロング(フォワードの買いと同等)、コールの売りとプットの買いで合成ショートが作れる
- デルタは原資産価格に対するオプション価格の感応度、ガンマは原資産価格に対するデルタの感応度、ベガはボラティリティ、セータは時間の経過に対するオプション価格の感応度
- カバード・コールは利回りの向上や目標価格での売却に使われ、最大損失は株式単体より小さいが、株価急騰時の機会損失がある
- プロテクティブ・プットは値上がりの可能性を残しつつ下落を限定する保険。継続的に買うとコストが大きい
- スプレッドは同種のオプションを買いと売りで組み合わせ、コストを下げる代わりに最大利益を限定する。ブル・スプレッドとベア・スプレッドは最大利益・最大損失とも限定
- ロング・ストラドルはボラティリティの上昇を、ショート・ストラドルは安定を見込む戦略。カラーは値上がり益を手放して下落に備える
- インプライド・ボラティリティはオプションの市場価格から逆算される。株式ではOTMプットのインプライド・ボラティリティが高いスキューが一般的
- オプション戦略は明確な投資目的に基づき、原資産の方向性とインプライド・ボラティリティの変化の見通しを持って選ぶ
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:オプションによるリターンの複製
同じ原資産・行使価格・満期のコールの買い+プットの売りは合成ロング(フォワードの買い)、コールの売り+プットの買いは合成ショートになります。プット・コール・パリティから合成コール・合成プットも作れます。
- 合成ロング・フォワード:+C − P
- 合成ショート・フォワード:−C + P
- 合成プット:株式のショート+コールの買い+無リスク債の買い(行使価格の現在価値)
- 合成コール:株式のロング+プットの買い+借入れ(行使価格の現在価値)
- ギリシャ文字:デルタ、ガンマ、ベガ、セータで感応度を把握
LOS 2:カバード・コール
カバード・コールは株式を保有しつつコールを売る戦略です。プレミアム収入で利回りを高めたり、目標価格での売却に使ったりしますが、株価上昇の利益は行使価格までに限定されます。
- 構成:株式のロング+コールのショート
- 目的:インカムの向上、目標価格での売却、ポジションの縮小
- 最大利益:X − S₀ + c₀
- 最大損失:S₀ − c₀(株価がゼロの場合)
- 損益分岐点:S₀ − c₀
- リスク:株価急騰時の機会損失(右側のテールを買い手に渡す)
LOS 3:プロテクティブ・プット
プロテクティブ・プットは株式を保有しつつプットを買う戦略で、下落に対する保険の役割を果たします。値上がりの可能性を残せますが、プレミアムのコストがかかります。
- 構成:株式のロング+プットのロング
- 最大利益:無限(S_T − S₀ − p₀)
- 最大損失:S₀ − X + p₀
- 損益分岐点:S₀ + p₀
- 継続的に買うと高コスト。短期的に弱気な局面での一時的な利用は合理的
LOS 4:カバード・コール・プロテクティブ・プットのデルタ
カバード・コールのデルタは1からコールのデルタを引いた値、プロテクティブ・プットのデルタは1にプットのデルタ(負)を加えた値で、どちらも1未満になります。これは資産のロングにフォワードのショートを一部組み合わせたポジションと似た効果です。
- カバード・コールのデルタ:1 − Δ_c(0〜1)
- プロテクティブ・プットのデルタ:1 + Δ_p(Δ_pは負)
- 資産のロング+フォワードのショート:エクスポージャーを確定的に減らす
- オプションを使うと、原資産価格の変化に応じてデルタが変化する(ガンマ)
LOS 5:ショート・ポジションに対するコールの買いとプットの売り
原資産のショートにコールを買うと、価格上昇時の損失を限定できます(保険)。プットを売るとプレミアム収入を得られますが、上昇時の損失は限定されず、下落時の利益が限定されます。
- ショート+コール買い:最大損失を限定、プレミアムの支払い
- ショート+プット売り:プレミアム収入、下落時の利益は行使価格まで
- デルタ:どちらもショートのマイナスのデルタを小さくする方向
- プット売りは上昇リスクを減らさない点に注意
LOS 6:ブル・スプレッド、ベア・スプレッド、ストラドル、カラー
ブル・スプレッドとベア・スプレッドは方向性の見通しを低コストで表現し、最大利益・最大損失とも限定されます。ストラドルはボラティリティの見通し、カラーは保有株式の結果の幅を限定する戦略です。
- ブル・コール・スプレッド:低い行使価格X₁のコール買い+高いX₂のコール売り、最大利益 X₂ − X₁ − 純プレミアム、損益分岐点 X₁ + 純プレミアム
- ベア・プット・スプレッド:高いX₂のプット買い+低いX₁のプット売り、最大利益 X₂ − X₁ − 純プレミアム、損益分岐点 X₂ − 純プレミアム
- ロング・ストラドル:同じ行使価格のコールとプットを買う、損益分岐点 X ± (c₀ + p₀)
- ショート・ストラドル:ボラティリティの低下・安定を見込み、損失は大きくなり得る
- カラー:株式のロング+OTMプット買い+OTMコール売り(ゼロコストにすることも可能)
LOS 7:カレンダー・スプレッドの用途
カレンダー・スプレッドは、同じ行使価格・種類で満期の異なるオプションを組み合わせます。短期と長期の時間価値の減り方の差や、将来のボラティリティの見通しを利用します。
- ロング:長期のオプションを買い、短期のオプションを売る
- ロングは短期的に値動きが小さく、将来は大きな動きを見込む場合
- ショート:長期を売り、短期を買う(短期の変動が大きく、その後は落ち着くと見込む場合)
- 短期オプションの方が時間価値の減少(セータ)が速い
LOS 8:ボラティリティ・スキューとスマイル
インプライド・ボラティリティはオプションの市場価格から逆算したボラティリティで、行使価格によって異なります。OTMのインプライド・ボラティリティがATMより高い形がスマイル、OTMプット側が高くOTMコール側が低い形がスキューです。
- スマイル:両側のOTMでインプライド・ボラティリティが高い
- スキュー:OTMプットが高く、OTMコールが低い(株式で一般的)
- スキューは下落リスクへの保険需要を反映
- インプライド・ボラティリティ・サーフェス:満期と行使価格ごとのインプライド・ボラティリティを3次元で表示
- 期間構造:満期ごとのインプライド・ボラティリティの違い
LOS 9:投資目的に合ったオプション戦略の選択
戦略は、原資産の方向性の見通しとインプライド・ボラティリティの変化の見通しの組み合わせで選びます。オプションは明確な投資目的と結びつけて使うことが前提です。
- 強気+ボラティリティ上昇予想:コールの買い
- 強気+ボラティリティ低下予想:プットの売り
- 弱気+ボラティリティ上昇予想:プットの買い
- 弱気+ボラティリティ低下予想:コールの売り
- 方向感なし+ボラティリティ上昇予想:ロング・ストラドル、低下予想:ショート・ストラドル
LOS 10:目標とする株式リスク・エクスポージャーの実現
オプションを使うと、保有株式を売買せずに下落リスクの限定、エクスポージャーの縮小・拡大などを実現できます。コストと、手放す値上がり益のバランスを考えて構成を決めます。
- プロテクティブ・プットやプット・スプレッドで下落を限定
- カラーでコストを抑えつつ結果の幅を限定
- カバード・コールで目標価格での売却やインカム向上
- コールの買いで少ない資金で上昇へのエクスポージャー
- 集中した保有株式のリスク管理や、税・規制上の理由で売却できない場合に有効
効率よく学ぶには FA-Academy
CFA®︎の協会テキストは英語で分量も多く、1つひとつの単元を英語だけで理解していくのは大きな負担です。
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