2027年のCFA®︎ Level 1は、EquityとQuantitative Methodsが大きく組み替えられ、AI(大規模言語モデル)に関する内容が加わるなど、3つのレベルの中で最も変化の大きい年になります。

そんな中、海外の大手予備校IFTのYouTubeチャンネルで、CFA協会(CFA Institute)のChief Product Advocate、Rob Langrick氏へのインタビュー動画「Q&A with CFA Institute: Succeed at Level I」が公開されました。聞き手は投資銀行のVPでCFA®︎チャーターホルダーのHarris Zamir氏です。

試験を作る側の人が、カリキュラム変更の狙い、合格ラインの決まり方、合格する人の共通点まで率直に語っている、とても貴重な内容です。本記事では、英語の動画を見る時間がない皆さんのために、内容を日本語で整理し、FA-Academyとしての補足も加えてご紹介します。

※本記事は動画の内容を日本語で要約・再構成したものです(逐語訳ではありません)。正確なニュアンスは元の動画でご確認ください。

参照動画(YouTubeリンク)

出典:IFT「Q&A with CFA Institute: Succeed at Level I」(2026年10月公開・英語・約33分)

この動画のポイントまとめ

  • QuantとEquityを強化したのは「AI時代の統計力」と「就活で求められる株式分析力」のため
  • 難しさは「ほぼ変わらない」が、数学的な色合いは少し強くなった
  • 合格ラインは受験者の出来で上下する相対評価ではなく、あらかじめ決めた基準による「固定バー」
  • テキストを読むのは2回まで。CFA協会の内部データでは練習問題に2,000問正解すると合格する可能性が高くなる
  • 公式模試(Practice Pack)は本試験と同じチームが作成しており、難易度を最も忠実に再現している
  • 合格する人の共通点は「学習計画を立て、それを守り抜くこと」

2027年 Level 1のカリキュラム変更の狙い

Quantitative Methods:AIの土台は統計

Rob氏によると、出張先のどの会議でも話題の中心はAIだそうです。そしてAIの土台にあるのは統計学です。今後は金融の現場でも統計ツールを使う場面が増えるため、Level 1でQuantの比重を高めた、というのが変更の理由です。

Rob氏が特に気に入っているのが、新たに加わった大規模言語モデル(LLM)の入門リーディング。LLMとは何か、どう動くのかを、CFA®︎プログラムの最初の段階で学べるようにしたとのことです。

Equity:Level 1で「株式のプレゼン」ができるように

最近は就職の準備として、学生が株式の売買推奨を発表する「ストックピッチ大会」に参加するケースが増えています。ところが、これまで株式のバリュエーションの多くはLevel 2で学ぶ内容でした。そこで、Level 1の段階からストックピッチに対応できるよう、バリュエーションの内容をLevel 2からLevel 1へ移したそうです。

Ethics:構成の整理とGIPSの扱い

Ethicsは、Standards of Practice Handbookに沿う形で、より細かく区切られた構成に整理されました。期待される水準自体に大きな変化はないとのことです。

一方でRob氏は、AI時代になって倫理の重要性はむしろ高まっていると強調しています。例えば、顧客との面談をAIツールで録音・議事録化してよいのか。見込み客の情報を大量に集めて分析するとき、どこからは開示すべきなのか。こうした「グレーゾーン」で判断するための倫理のフレームワークは、これからますます価値を持つという考え方です。

2027年のLevel 1の具体的な変更点は、こちらの記事で詳しく解説しています。

▶ 【CFA レベル1】大幅改定!EquityとQuantsの変更点を徹底解説

Level 1は難しくなったのか?

Rob氏の答えは「簡単にも難しくにもなっていない。主に中身の組み替えだが、少し深くなった部分はある」というものでした。

受験者が毎年「難しい」と挙げる分野は、デリバティブ、債券(Fixed Income)、Quantの3つ。理由は単純で、数学に苦手意識を持つ人が多いからです。ただしCFA協会としては、そこを譲るつもりはないとのこと。ファイナンスの仕事はそもそも数学的であり、Level 1が少し数学寄りになったことは、むしろ雇用主に対する「この人は数字に強い」というシグナルを強める、という考え方です。

聞き手のHarris氏も「CFA®︎は以前ほど厳しくないのでは、という声もあった中で、求める水準を上げたのはむしろ良いこと」とコメントしていました。

Ethicsの点数は合否を左右する?

受験者の間では昔から「合格ライン付近では、Ethicsの得点で合否が決まる」という噂があります。この点についてRob氏は、自分も同じ噂を聞いたことがあるとしたうえで、「タイブレーク(同点時の決め手)のようなもの」と表現しました。

つまり、ボーダーライン上にいる受験者にとって、Ethicsが最後の決め手になり得るということです。Ethicsは配点以上に大切に扱うべき分野だと考えておくのが安全でしょう。

予備校は必要か?独学との違い

CFA®︎プログラムは本来、自分のペースで進める独学型の資格です。ただRob氏自身は、2000年にロンドンの予備校に通い、毎週火曜の夜に約25人と一緒に講義を受けていたそうです。

Rob氏が挙げた予備校のメリットは次のとおりです。

  • 規律が生まれる:ジムにトレーナーがいると通う回数が増えるのと同じで、決まった講義があると学習計画を守りやすい
  • 別の角度からの説明で理解が進む:独学では腑に落ちなかったことが、講師の説明で「わかる」に変わる
  • 孤独にならない:過去の受験生や講師の体験談が聞ける
  • 人脈ができる:一緒に学んだ仲間は、将来の転職などで力になる「弱いつながり(ウィークタイ)」になる

もちろん、予備校を使わずに独学で合格する人もたくさんいます。大切なのは「自分はどんなタイプの学習者で、どんなモチベーションが必要か」を見極めることだと、Rob氏は話しています。

また、申し込んだら同僚や友人に「CFA®︎を受ける」と宣言することもすすめていました。周りから「受かった?」と聞かれる状況を自分で作ることで、やめられなくなり、それがモチベーションになるという考え方です。

▶ 関連記事:CFA®予備校・通信講座を徹底比較!独学の限界とFA-Academyが選ばれる10の理由

合格に必要な演習量:「2,000問正解」が目安

この動画で最も具体的だったのが、演習量についての話です。

Rob氏がいつも伝えているのは、テキスト(カリキュラム)を読むのは2回までということ。3回読むと時間がかかりすぎて、問題演習に使うべき時間を削ってしまうからです。Level 1は180問の三択問題の試験であり、勝負は問題を解く力で決まります。

そしてCFA協会の内部データでは、練習問題で2,000問に正解したあたりから、合格する可能性のほうが高くなるそうです。「何問解いたか」ではなく「何問正解したか」という点がポイントです。

聞き手のHarris氏も、テキストを繰り返し読むだけの受け身の学習では、自分の本当の理解度がわからないと指摘していました。問題を解いて間違えることで初めて弱点がはっきりし、そこを補強できるというわけです。

Ethicsについても、試験では基本的な知識をそのまま問う問題は出ず、細かな違いやグレーゾーンを見極める問題が中心になるとのこと。テキストを読んだだけでは対応しにくく、演習が欠かせない分野です。

一番難しい分野はデリバティブ

Rob氏は現在も定期的にCFA®︎試験を受けているそうですが、個人的に最も難しいと感じる分野はデリバティブだと答えています。何段階もの計算が必要で、時間が経つと公式を忘れてしまうからです。10分野の中で最も「純粋な数学」に近い分野だといえます。

公式は暗記しない:「キャッシュフローの仕組み」で考える

では、数学的な分野をどう攻略すればよいのか。Rob氏の答えは、CFA®︎プログラムが教えているのは、一言でいえば「キャッシュフローの仕組み」だというものでした。

株式も債券もデリバティブも、「誰が、いつ、いくら受け取るか」を決めた契約にすぎません。そこにお金の時間価値(金利)を組み込んで、キャッシュフローどうしの関係を考える。この見方を持つと、例えば株式のDCF法やIRRと、債券の最終利回り(YTM)は、本質的に同じ計算だとわかります。

この仕組みが理解できれば、たくさんの公式を一つひとつ暗記する必要はなくなります。公式は、特定の契約やルールに合わせて形を変えたものにすぎないからです。Rob氏自身、試験を受けるときは公式を暗記せず、毎回基本原理から考えているそうです。

Harris氏も、Level 1でQuantと「お金の時間価値」が最初に来るのは理にかなっていると話しています。ここをしっかり理解できれば、Level 1の半分近くの内容に応用できるからです。

暗記するなら「公式」より「定義」

どの公式がよく出るかについては「言えない」としたうえで、Rob氏は公式より定義を覚えるほうが大切だとアドバイスしていました。例として挙げたのが為替先渡(Currency Forwards)の通貨の表示方法(クオーテーション)です。表示のルールさえ正確に押さえておけば、為替の問題も基本原理から解けるとのことです。

▶ 関連記事:CFA Level 1は難しい?合格率・必要な勉強時間と受験の流れ

合格ラインはどう決まる?「固定バー」の仕組み

Level 1の過去の平均合格率は約40%です。では、合格ライン(カットスコア)はどのように決まっているのでしょうか。Rob氏の説明は次のとおりです。

  1. CFA協会には、各レベルの合格者に求める水準を定めた「Just Qualified Candidate(JQC:ギリギリ合格に値する受験者)」という非公開の文書がある
  2. 試験期間が終わると、ボランティアの金融専門家が集まり、その期間に出題されたすべての問題を「易しい順」に並べる
  3. JQC文書を基準に「どの難しさの問題までなら、ギリギリ合格の人は正解できるべきか」を判断し、合格に必要な正答率(カットスコア)を決める

つまり、合格ラインは受験者全体の出来によって上下する相対評価ではなく、あらかじめ決まった基準を越えたかどうかで判定する「固定バー」方式です。そのため、試験の難しさ(求められる水準)は変わらず、カットスコアや合格率は回ごとに変わり得ます。

Rob氏は「合格率と難易度を混同しないで」と強調しています。合格率が低いから難しかった、高いから易しかった、とは限りません。受験者の顔ぶれも出題される問題も回ごとに違うからです。

コロナ禍に合格率が大きく下がったのも、この仕組みで説明できるそうです。受験を延期した人は合格率が低くなる傾向があり、コロナ禍で延期が相次いだことが、そのまま合格率の低下として表れたということです。もし「毎回◯%を合格させる」という相対評価なら、合格率はいつもほぼ同じ水準になっていたはずだ、とRob氏は話しています。

▶ 関連記事:【合格発表】2026年8月レベル1の合格率は43%!

公式模試と章末問題、本番に近いのはどっち?

よくある質問が「CFA協会の練習問題は、本番より難しいのか」というものです。Rob氏によると、公式模試(Practice Pack)は本試験と同じチームが作っており、問題を作る時点では本番に使うか模試に使うか決まっていないそうです。そのため、公式模試は本番の難易度を最も忠実に再現しています。

一方、各リーディングの章末問題は、カリキュラムを執筆したチームが作っています。学んだ内容の理解を深めるための問題なので、1問に5〜10分かかるような形式もあり、本番とは性質が違います。本番と同じ形式で練習できるのは公式模試だと覚えておきましょう。

合格する人と落ちる人の違い

Rob氏の答えはシンプルで、「学習計画を立て、それを守り抜くこと」でした。

カリキュラムは約3,000ページ。申込受付が始まってから試験までは約10ヶ月しかなく、一夜漬けはまず通用しません。だからこそ、結果を分けるのは「プロセス」と「時間の配分」です。1〜2時間早く起きる人、週末に3時間ではなく5時間勉強する人が、合格に近づきます。結局は「どれだけ本気か」というインプットの問題だ、とRob氏は話しています。

問題演習だけで合格できる?公式模試は全8回分を

テキストを読まずに、いきなり問題を解いて逆算的に理解しようとする「近道」についても質問がありました。Rob氏は「成功する人もいるかもしれないが、おすすめしない」との立場です。Level 1で学ぶのは金融市場・債券・株式・デリバティブの基礎であり、それをしっかり身につけること自体がCFA®︎の価値だからです。

その代わりに強くすすめていたのが、公式模試をすべて解くことです。動画内では、申込時に2回分がつき、追加購入で合計8回分まで利用できると説明されていました。8回分を順に解いていくと、多少の上下はあっても、得点はだいたい右肩上がりになるそうです。

さらに心理面の効果もあります。本番前に8回模試を解いておけば、本番は「9回目の模試」のように感じられ、緊張せずに臨めます。緊張しないことは、それだけで数点分の価値がある、とRob氏は話しています。時間配分や、わからない問題に印をつけて後で戻るといった試験の進め方も、模試を重ねるほど上達します。

Level 1だけ合格しても意味はある?

最後の質問は、「Level 2・3まで続けられるか不安」「Level 1で止まったら時間の無駄になるのでは」と悩む人へのメッセージでした。

Rob氏は、Level 1に合格しただけでも価値はあると答えています。CFA®︎試験は運だけで合格できるものではなく、合格したということは約3,000ページを読み込んだ証明になるからです。短い動画に慣れ、長い文章を読む人が減っている今の時代、一つの分野に何百時間も集中できる若手は、採用する側から見て非常に貴重だといいます。

ただし「CFA®︎」の称号を名前の後ろにつけられるのは、チャーターを取得してから。Level 1だけでも価値はあるものの、本当の価値はその先にある、というニュアンスでした。

聞き手のHarris氏も、CFA®︎を通じて得られる最大の財産の一つは、長期間にわたって努力を続けられる力そのものであり、「試験を始める前と終えた後では別の人間になっている」と振り返っていました。

FA-Academyから:動画の内容を日本語で学ぶ皆さんへ

試験を作る側の話を聞くと、FA-Academyが受講生の皆さんにお伝えしていることと重なる点が多いと感じます。

  • インプットは早めに切り上げ、演習に時間を回す:テキストを何周もするより、問題を解いて間違えて覚えるほうが、合格に直結します
  • 公式は「なぜそうなるか」で理解する:特にQuantの時間価値は、Level 1全体の土台になります
  • Ethicsは最後まで手を抜かない:ボーダーライン上での決め手になり得る分野です
  • 計画を立てて、続けられる仕組みを作る:一人で続けるのが不安な方は、講座や勉強仲間をうまく使いましょう

一方で、日本語で学ぶ方にとっては「英語の3,000ページを2回読む」こと自体が大きな負担です。FA-Academyでは、日本語の要点集と動画講義でインプットの時間を短くし、そのぶん問題演習に時間を回せるようにしています。2027年のLevel 1改定にも対応していますので、学習計画で迷っている方はお気軽にご相談ください。

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