Learning Module 7「Estimation and Hypothesis Testing(推定と仮説検定)」は、標本から母集団を推し量る推定(中心極限定理・信頼区間・標本抽出)と、仮説検定の手順、パラメトリック検定とノンパラメトリック検定の使い分けを扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM7のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM7には3つのLOSがあります。

  1. LOS 1:中心極限定理と、信頼区間・標本抽出方法の応用を説明するexplain the central limit theorem and the application of confidence intervals and sampling methodologies
  2. LOS 2:仮説検定とその構成要素(統計的有意性、第1種・第2種の過誤、検出力)を説明し、適切な検定を組み立てて結果を解釈するexplain hypothesis testing and its components, including statistical significance, Type I and Type II errors, and the power of a test; construct appropriate hypothesis tests; and interpret the results
  3. LOS 3:パラメトリック検定とノンパラメトリック検定を比較し、それぞれが適する状況を説明し、適切な検定を組み立てて結果を解釈するcompare and contrast parametric and non-parametric tests, describe situations in which each is the more appropriate type of test, construct appropriate hypothesis tests, and interpret the results

LM7のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 中心極限定理:標本サイズが大きくなると、母集団の分布にかかわらず標本平均の分布は正規分布に近づく
  • 信頼区間は、標本の推定値をもとに、母数が一定の確率で含まれる範囲を示す。層化抽出などの方法で推定の精度を高められる
  • 仮説検定は、標本データをもとに母数についての仮定を評価する。帰無仮説は「効果・差がない(等しい)」、対立仮説は「効果・差がある」を表し、両者で全体を尽くす
  • 有意水準αは、正しい帰無仮説を誤って棄却する確率(第1種の過誤の確率)として検定前に設定する基準
  • 第1種の過誤(偽陽性)は正しい帰無仮説を棄却すること、第2種の過誤(偽陰性)は誤った帰無仮説を棄却できないこと
  • パラメトリック検定はデータが特定の分布(通常は正規分布)に従うことなどを前提とする。ノンパラメトリック検定は分布を前提とせず柔軟だが、真の効果を見つける力が弱い場合がある

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:中心極限定理・信頼区間・標本抽出の方法を説明する

母集団の分布が何であっても、標本サイズが十分大きければ標本平均は正規分布に近づき、そのばらつき(標準誤差)は σ/√n です。これを使って「真の平均はこの範囲にある」という信頼区間を作れます。標本の取り方には単純無作為・層化・クラスター・系統的抽出などがあり、取り方で推定の精度が変わります。

  • 標準誤差 = σ ÷ √n(標本を4倍にすると誤差は半分)
  • 信頼区間 = 標本平均 ± 臨界値 × 標準誤差(σ不明・小標本は t 分布)
  • 層化抽出:層ごとに比例抽出。単純無作為より精度が高くなりやすい
  • クラスター抽出:グループ単位で抽出。安いが誤差は大きめ
信頼区間 = X̄ ± t × s / √n

LOS 2:仮説検定の構成要素を説明し、適切な検定を組み立てて結果を解釈する

証明したい主張は対立仮説に、否定したい「差がない」は帰無仮説に置きます。有意水準α=第1種の過誤(正しい帰無仮説を棄却)の確率検出力=1 − 第2種の過誤(誤った帰無仮説を棄却しない)の確率です。何を検定するかで統計量が決まります。

  • 1つの平均:t 検定(自由度 n − 1)
  • 1つの分散:カイ二乗検定(自由度 n − 1)、2つの分散の比:F 検定(自由度 n₁ − 1, n₂ − 1)
  • 独立した2標本の平均の差:t 検定(等分散ならプールした分散)
  • 対応のある2標本:差の平均の t 検定
  • 相関の検定:t = r√(n − 2) ÷ √(1 − r²)
  • p値 < α なら帰無仮説を棄却。多数の検定を繰り返す p-hacking に注意
t = (X̄ − μ₀) / (s / √n)

LOS 3:パラメトリック検定とノンパラメトリック検定の比較と使い分け

パラメトリック検定は、平均や分散などについて分布の仮定(正規分布など)を置いて行います。分布の仮定が満たされない・外れ値が多い・データが順位しかないときはノンパラメトリック検定を使います。代表例はスピアマンの順位相関の検定と、カテゴリーデータの分割表による独立性のカイ二乗検定です。

  • 分割表の期待度数 = 行合計 × 列合計 ÷ 総数
  • 独立性のカイ二乗検定の自由度 = (行数 − 1)(列数 − 1)
  • データが仮定を満たすなら、パラメトリックの方が検出力が高い

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