Learning Module 10「Interest Rate Risk and Return(金利リスクとリターン)」は、固定利付債のリターンの3つの源泉、保有期間リターンと投資期間・マコーレー・デュレーションの関係(再投資リスクと価格リスクの相殺)、そしてマコーレー・デュレーションの定義と計算を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM10のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM10には3つのLOSがあります。

  1. LOS 1:固定利付債への投資から得られるリターンの源泉を計算・解釈するcalculate and interpret the sources of return from investing in a fixed-rate bond;
  2. LOS 2:債券の保有期間リターン、マコーレー・デュレーション、投資期間の関係を説明するdescribe the relationships among a bond’s holding period return, its Macaulay duration, and the investment horizon;
  3. LOS 3:マコーレー・デュレーションを定義・計算・解釈するdefine, calculate, and interpret Macaulay duration.

LM10のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 固定利付債の投資家のリターンの源泉は、(1)クーポンと元本の受取り、(2)クーポンの再投資、(3)満期前に売却した場合の売却損益の3つ
  • 固定利付債投資のリターンは、保有期間、受け取ったクーポンの将来価値、売却価格、購入価格を用いて、複利の年率リターンとして求める
  • すべてのキャッシュフローが予定どおり受け取られ、クーポンがYTMと同じ利率で再投資され、満期まで保有した場合、年率の実現リターンはYTMと一致する。いずれかの前提が崩れるとリターンは変わる
  • 再投資リスクと価格リスクはどちらも金利リスクで、逆方向に働く。金利低下時には再投資収益が減り、金利上昇時には価格が下落する
  • 投資期間が長いほど、価格リスクに比べて再投資リスクの重要性が増す。投資期間がマコーレー・デュレーションと等しければ、両者は互いに相殺される
  • マコーレー・デュレーションは、各キャッシュフローの現在価値がフル・プライスに占める割合をウエイトとした、キャッシュフロー受取時点の加重平均
  • 投資期間がマコーレー・デュレーションより長い(短い、等しい)とき、クーポンの再投資リスクは価格リスクより大きい(小さい、等しい)

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:固定利付債のリターンの源泉

固定利付債のリターンは、クーポンと元本の受取り・クーポンの再投資収益・売却損益の3つから生まれます。期末に手元にある総額(再投資後のクーポンの将来価値+売却価格)と購入価格から、複利の年率リターンを求めます。

  • 満期保有・予定どおりの元利金受取り・YTMでの再投資の3条件がそろえば実現リターン=YTM
  • 購入後に金利が上がると再投資収益は増えるが、満期前の売却価格は下がる
  • 購入後に金利が下がると売却価格は上がるが、再投資収益は減る
  • キャピタル・ゲイン/ロスは、購入時のYTMに基づく償却後の簿価(キャリング・バリュー)と売却価格の差で測る
実現リターン r = (期末総額 ÷ 購入価格)^(1/n) − 1

LOS 2:保有期間リターン・デュレーション・投資期間の関係

再投資リスク価格リスクは金利変化に対して逆方向に働きます。投資期間が長いほど再投資リスクが、短いほど価格リスクが支配的になり、投資期間=マコーレー・デュレーションのとき、小さな金利の平行移動に対して両者がほぼ相殺されます。

  • 投資期間>マコーレー・デュレーション:再投資リスクが優位(金利低下が不利)
  • 投資期間<マコーレー・デュレーション:価格リスクが優位(金利上昇が不利)
  • デュレーション・ギャップ = マコーレー・デュレーション − 投資期間
  • 投資期間とデュレーションを一致させることがイミュニゼーション(免疫化)の考え方の基礎
デュレーション・ギャップ = マコーレー・デュレーション − 投資期間

LOS 3:マコーレー・デュレーションの定義と計算

マコーレー・デュレーションは、各キャッシュフローの受取時点を、その現在価値がフル・プライスに占める割合で加重平均した値で、単位は「期間(年)」です。キャッシュフローを回収するまでの平均的な時間を表します。

  • ウエイト = 各キャッシュフローの現在価値 ÷ 債券のフル・プライス
  • ゼロ・クーポン債のマコーレー・デュレーションは満期と等しい
  • 利付債のマコーレー・デュレーションは満期より短い
  • 期単位で計算した値を年あたりの支払回数で割ると年単位になる
MacDur = Σ [t × PV(CFₜ)] / PV_Full

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