Learning Module 3「Analyzing Balance Sheets(貸借対照表の分析)」は、無形資産とのれんの会計処理と開示、金融商品の分類と測定、非流動負債の報告、共通サイズ貸借対照表と流動性・支払能力の比率を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM3のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM3には5つのLOSがあります。

  1. LOS 1:無形資産に関する財務報告と開示を説明するexplain the financial reporting and disclosures related to intangible assets
  2. LOS 2:のれんに関する財務報告と開示を説明するexplain the financial reporting and disclosures related to goodwill
  3. LOS 3:金融商品に関する財務報告と開示を説明するexplain the financial reporting and disclosures related to financial instruments
  4. LOS 4:非流動負債に関する財務報告と開示を説明するexplain the financial reporting and disclosures related to non-current liabilities
  5. LOS 5:共通サイズ貸借対照表と関連する財務比率を計算・解釈するcalculate and interpret common-size balance sheets and related financial ratios

LM3のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 資産・負債には公正価値で測定されるものと、償却原価・取得原価で測定されるものがあり、注記は企業間の測定基礎の比較可能性を評価する手がかりとなる
  • 無形資産は物理的実体のない識別可能な非貨幣性資産(特許・ライセンス・商標など)。耐用年数が確定か非確定かを資産ごとに判断する
  • 耐用年数が確定した無形資産は最善の見積耐用年数にわたって規則的に償却し、償却方法と耐用年数は少なくとも年1回見直す。非確定の無形資産は償却せず、少なくとも年1回減損テストを行う
  • IFRSでは自己創設の無形資産について、研究段階の支出は費用処理、開発段階の支出は技術的実現可能性などの要件を満たせば資産計上できる
  • 個別に識別できない代表的な無形資産は企業結合で生じるのれん。償却せず、少なくとも年1回減損テストを行う
  • 金融商品は主に公正価値か償却原価で測定され、公正価値の変動は純損益として認識する場合とその他の包括利益(OCI)として認識する場合がある
  • 代表的な長期負債は銀行借入、社債などの債券、リース、退職後給付債務で、通常は償却原価か公正価値で計上される
  • 垂直的な共通サイズ分析では貸借対照表の各項目を総資産に対する比率で表す。比率には短期債務の支払能力を測る流動性比率と、長期債務などの支払能力を測る支払能力(ソルベンシー)比率がある

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:無形資産の会計処理と開示

無形資産は取得の仕方(個別購入・自己創設・企業結合)と耐用年数が確定か非確定かで処理が変わります。確定耐用年数のものは償却し、非確定のものは償却せずに毎年減損テストを行います。

  • 定義:物理的実体のない識別可能な非貨幣性資産
  • 確定耐用年数:規則的に償却、方法と耐用年数を少なくとも年1回見直し
  • 非確定耐用年数:償却せず、少なくとも年1回減損テスト
  • 自己創設:IFRSでは研究費は費用、開発費は要件を満たせば資産計上。US GAAPは原則として研究開発費とも費用(一部のソフトウェア開発費を除く)
  • 測定:IFRSは原価モデルか再評価モデル(活発な市場がある場合)、US GAAPは原価モデルのみ
  • 開示:種類別の帳簿価額、償却方法・耐用年数、減損損失

LOS 2:のれんの会計処理と開示

のれんは、企業結合で取得対価が識別可能な純資産の公正価値を上回る部分として計上されます。IFRS・US GAAPとも償却は行わず、少なくとも年1回の減損テストで価値の下落を反映し、一度計上した減損損失の戻入れは認められません。

  • のれん = 取得対価 − 識別可能な純資産の公正価値
  • 償却しない(IFRS・US GAAPとも)、少なくとも年1回の減損テスト
  • IFRS:資金生成単位(CGU)ごとに帳簿価額と回収可能価額を比較
  • US GAAP:報告単位ごとに公正価値と帳簿価額を比較し、超過額を減損(のれんの額が上限)
  • のれんの減損の戻入れは不可(両基準とも)
  • 分析上は、比率計算の際にのれんを資産から除いて調整することがある
のれん = 取得対価 − 識別可能な純資産の公正価値

LOS 3:金融商品の分類と測定

金融商品は、ある企業の金融資産と他の企業の金融負債または資本性金融商品を同時に生じさせる契約です。測定は償却原価公正価値で、公正価値で測定する場合は変動を純損益(P/L)に計上するかその他の包括利益(OCI)に計上するかが分かれます。

  • IFRS 9:償却原価、FVOCI(公正価値・OCI)、FVPL(公正価値・純損益)の3区分
  • US GAAPの負債性証券:満期保有目的(償却原価)、売却可能(公正価値・OCI)、売買目的(公正価値・純損益)
  • 持分証券:原則として公正価値・純損益。IFRSでは売買目的でない持分証券にFVOCIを選択可能(取消不能)
  • デリバティブ:公正価値で測定
  • 償却原価の資産は市場価格の変動が貸借対照表に反映されない

LOS 4:非流動負債の報告と開示

主な非流動負債は、借入金・社債・リース負債・退職後給付債務などです。多くは償却原価(実効金利法)で計上され、注記では返済予定、金利、担保、財務制限条項(コベナンツ)などの情報が得られます。

  • 社債:発行時の手取額で計上し、実効金利法で償却原価測定
  • 公正価値オプションを選択すると公正価値で測定
  • 1年以内に返済予定の部分は流動負債に振り替え
  • リース負債:借手はリース料の現在価値で計上
  • 退職後給付債務:確定給付制度の積立不足は負債
  • 注記:満期構成、利率、担保、コベナンツ、負債の公正価値

LOS 5:共通サイズ貸借対照表と関連比率

垂直的共通サイズ分析では、貸借対照表の各項目を総資産に対する比率で表し、資産構成や資金調達構造を企業間・期間で比較します。あわせて流動性比率と支払能力比率で短期・長期の支払能力を評価します。

  • 各項目 ÷ 総資産で表示
  • 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債
  • 当座比率 =(現金+短期有価証券+売掛金)÷ 流動負債
  • 現金比率 =(現金+短期有価証券)÷ 流動負債
  • 負債比率:負債÷総資産、負債÷総資本、負債÷自己資本
  • 財務レバレッジ比率 = 総資産 ÷ 自己資本
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債

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