【CFA®︎ L1 Derivatives LM4】Arbitrage, Replication, and the Cost of Carry in Pricing Derivatives を要点解説|裁定・複製・キャリーコスト・フォワード価格

Learning Module 4「Arbitrage, Replication, and the Cost of Carry in Pricing Derivatives(裁定・複製・キャリーコストによる価格決定)」は、無裁定と複製の考え方によるデリバティブの価格決定、原資産のスポット価格と期待将来価格の違い、そして原資産を保有するコストと便益(キャリーコスト)を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM4のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM4には2つのLOSがあります。
- LOS 1:デリバティブの価格決定において、裁定と複製の概念がどのように用いられるかを説明するexplain how the concepts of arbitrage and replication are used in pricing derivatives
- LOS 2:原資産のスポット価格と期待将来価格の違い、および原資産の保有に伴うキャリーコストを説明するexplain the difference between the spot and expected future price of an underlying and the cost of carry associated with holding the underlying asset
LM4のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- フォワード・コミットメントは原資産のロングやショートを取る代替手段であり、現物とデリバティブの間の裁定機会を防ぐように、フォワード価格とスポット価格は結びついている
- フォワード・コミットメントは、原資産の現物ロング(またはショート)と無リスク金利での借入(または貸付)で複製でき、スポット・フォワード・無リスク資産の組み合わせでさまざまなポジションを再現可能
- 保有に追加のコストや便益がない原資産では、無リスク金利がスポット価格とフォワード価格を結ぶ基本的なリンク
- キャリーコストは一定期間原資産を保有することに伴うコストと便益の純額で、スポット価格とフォワード価格の差に反映
- キャリーコストには、コモディティの保管料・保険料などのコストや、株式の配当・債券の利息などの便益が含まれ、為替では2通貨間の金利差がキャリーコストに相当
- フォワード価格は、原資産のキャリーコストによってスポット価格より高くも低くもなり得る
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:裁定と複製による価格決定
裁定とは、同じキャッシュフローを持つ資産が異なる価格で取引されているときに、リスクなしで利益を得る取引です。デリバティブは原資産と無リスク資産の組み合わせで複製でき、無裁定の条件から価格が決まります。
- 一物一価:同じ将来キャッシュフローを持つものは同じ価格
- ロング・フォワード=原資産ロング+無リスク借入
- 原資産=ロング・フォワード+無リスク債券(貸付)
- フォワード価格が理論値より高い:原資産を借入で買いフォワードを売る(キャッシュ・アンド・キャリー)
- フォワード価格が理論値より低い:原資産を空売りして運用しフォワードを買う(リバース)
- 無裁定価格は投資家のリスク選好や期待に依存しない
LOS 2:スポット価格・期待将来価格とキャリーコスト
原資産の期待将来価格にはリスク・プレミアムが含まれますが、フォワード価格はそれではなく、スポット価格とキャリーコストから無裁定で決まります。キャリーコストは保有に伴うコスト(保管料・保険料など)と便益(配当・利息・コンビニエンス・イールドなど)の純額です。
- フォワード価格≠期待将来スポット価格(リスク・プレミアムは価格決定に不要)
- コストはフォワード価格を押し上げ、便益(インカム)は押し下げる
- コモディティ:保管料・保険料(コスト)、コンビニエンス・イールド(便益)
- 株式・債券:配当・利息が便益
- 為替:2通貨の無リスク金利の差がキャリーコストに相当
- 連続複利表記:F₀(T) = S₀e^((r + c − i)T)(c:コスト率、i:便益率)
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