Learning Module 8「Topics in Long-Term Liabilities and Equity(長期負債と資本のトピック)」は、借手と貸手それぞれの立場からのリース会計、確定拠出制度・確定給付制度・株式報酬の財務報告、長期負債と株式報酬に関する表示と開示を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM8のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM8には3つのLOSがあります。

  1. LOS 1:貸手と借手の立場から、リースの財務報告を説明するexplain the financial reporting of leases from the perspectives of lessors and lessees
  2. LOS 2:確定拠出制度、確定給付制度、株式報酬制度の財務報告を説明するexplain the financial reporting of defined contribution, defined benefit, and stock-based compensation plans
  3. LOS 3:長期負債と株式報酬に関する財務諸表の表示と開示を説明するdescribe the financial statement presentation of and disclosures relating to long-term liabilities and share-based compensation

LM8のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • リースには、資産を購入する場合に比べて初期の現金負担が少ない、資金調達コストが低いことが多い、陳腐化など所有に伴うリスクが小さいといった利点がある
  • リースはファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類される(IFRSの借手は分類せず単一モデルを適用)。ファイナンス・リースは資産の購入・売却に、オペレーティング・リースは賃貸借に近い
  • リースの会計処理は、借手か貸手か、IFRSかUS GAAPか、ファイナンスかオペレーティングかによって決まる。貸手の処理は両基準でほぼ同じだが、借手の処理はIFRSが単一モデル、US GAAPが分類ごとのモデルという点で異なる
  • 確定拠出制度では企業の拠出額が定められ、退職者が受け取る年金額は制度資産の運用成果に左右される。確定給付制度では受け取る年金額が給付算定式などで定められる
  • 確定拠出制度では従業員が運用リスクと数理リスクを負い、確定給付制度では企業が両方のリスクを負う。確定拠出制度では拠出額がそのまま年金費用となる
  • 確定給付制度では、確定給付債務と制度資産の公正価値の差額を資産または負債として計上し、積立不足は非流動負債となる。勤務費用と純利息は純損益、再測定はその他の包括利益に計上し、US GAAPでは一部の取扱いが異なる
  • 株式報酬は従業員と株主の利害を一致させる手段で、当期の現金支出を伴わない。付与日の公正価値で測定し、権利確定期間にわたって報酬費用として認識する
  • オプションの公正価値の算定に用いる評価モデルと主要インプット(行使価格、株価ボラティリティ、予想期間、失効見込み数、配当利回り、リスクフリー・レート)は注記で開示される

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:借手と貸手のリース会計

借手は原則として使用権資産とリース負債を貸借対照表に計上します。IFRSは借手に単一モデルを適用して減価償却費と支払利息を計上し、US GAAPではオペレーティング・リースについて定額のリース費用を単一の項目で計上します。貸手の処理は両基準で共通で、ファイナンス・リースでは資産の認識を中止してリース債権を計上します。

  • リースの要件:特定された資産、経済的便益のほぼすべてを得る権利、使用を指図する権利
  • ファイナンス・リースの判定例:所有権移転、購入オプションの行使が合理的に確実、リース期間が経済的耐用年数の大部分、リース料の現在価値が公正価値のほぼすべて、特殊な資産
  • 借手・IFRS:単一モデル(短期リースと少額資産リースは免除可)。減価償却費+支払利息
  • 借手・US GAAPのオペレーティング・リース:使用権資産とリース負債を計上し、定額のリース費用を計上、支払いは全額営業CF
  • 借手のファイナンス・リース:元本返済は財務CF、利息はUS GAAPでは営業CF
  • 貸手:ファイナンス・リースはリース債権と受取利息、オペレーティング・リースは資産を保有し続けてリース収益と減価償却費を計上

LOS 2:確定拠出・確定給付・株式報酬の会計

確定拠出制度では拠出額が年金費用となるだけですが、確定給付制度では確定給付債務と制度資産の差額(積立状況)を資産・負債として計上し、その変動を費用とOCIに分けて認識します。株式報酬は付与日の公正価値で測定し、権利確定期間にわたって費用化します。

  • 確定拠出:年金費用=当期の拠出額。リスクは従業員が負担
  • 確定給付:純年金負債(資産)=確定給付債務の現在価値 − 制度資産の公正価値。リスクは企業が負担
  • IFRS:勤務費用・純利息は純損益、再測定(数理計算上の差異、制度資産の実際収益と利息部分の差など)はOCI(組替調整なし)
  • US GAAP:制度資産の期待運用収益を用いるなどの違いがあり、OCIに計上した数理計算上の差異などは後に純損益へ償却されうる
  • 株式付与:付与日の株価で測定
  • ストック・オプション:オプション評価モデル(ブラック・ショールズ・モデル、二項モデルなど)で公正価値を算定
純年金負債 = 確定給付債務の現在価値 − 制度資産の公正価値

LOS 3:長期負債と株式報酬の表示・開示

長期負債については、返済予定・利率・担保・財務制限条項・公正価値などが開示され、リースについては満期分析などが示されます。株式報酬については評価モデルと前提条件、未認識の報酬費用などが開示され、将来の費用や株式の希薄化を評価する材料となります。

  • 負債:満期構成、利率、担保、コベナンツ、公正価値
  • リース:使用権資産とリース負債の額、将来のリース料の満期分析
  • 年金:積立状況、割引率・昇給率などの数理計算上の仮定、年金費用の内訳
  • 株式報酬:評価モデルと主要インプット、未認識の報酬費用と認識期間、発行済オプション数
  • 割引率を上げると確定給付債務は小さくなるなど、仮定の違いが数値を左右する

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