【CFA®︎ L1 Quants LM5】Statistical Characteristics of Asset Returns を要点解説|標準偏差・歪度と尖度・相関・半偏差

Learning Module 5「Statistical Characteristics of Asset Returns(資産リターンの統計的特性)」は、資産リターンのデータを、中心傾向・ばらつき・分布の形・2変数の連動という角度から数値で要約する方法を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM5のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM5には4つのLOSがあります。
- LOS 1:(1)中心傾向と位置、(2)ばらつき、のさまざまな指標を計算・解釈・評価するcalculate, interpret, and evaluate various measures of (1) central tendency and location and (2) dispersion
- LOS 2:歪度と尖度の指標を記述・解釈・評価するdescribe, interpret, and evaluate measures of skewness and kurtosis
- LOS 3:共分散と相関を計算・解釈・評価するcalculate, interpret, and evaluate covariance and correlation
- LOS 4:半偏差と変動係数を計算・解釈・評価するcalculate, interpret, and evaluate semi-deviation and coefficient of variation
LM5のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 中心傾向・ばらつき・歪度・尖度の指標は、金融データの特徴を表し、分布の性質を推し量る手がかりになる
- 中心傾向の指標(平均・中央値・最頻値)は、データの中心をそれぞれ異なる形で表す
- ばらつきの指標(範囲・平均絶対偏差・分散・標準偏差)は、結果が平均の周りにどれだけ散らばっているかを表す
- 歪度は分布の非対称性(正規分布との比較)、尖度は分布の中心部に対する裾の重さを表す
- 共分散は2変数の連動を表し、相関係数は関係の強さを表す(因果ではなく関連)
- 変動係数は標準偏差を平均と比べた指標で、異なるデータのばらつきを比較できる。半偏差は基準を下回る部分の偏差を測る
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:中心傾向・位置とばらつきの指標を計算・解釈・評価する
データの「真ん中」は平均・中央値・最頻値、「どのあたりか」は四分位・五分位・十分位・パーセンタイルなどの分位数で表します。外れ値があるときは、そのまま残す・除く(トリム平均)・端の値に置き換える(ウィンザー平均)を目的に応じて選びます。ばらつきは範囲・平均絶対偏差・分散・標準偏差で測ります。
- パーセンタイルの位置 L_y = (n + 1) × y ÷ 100
- 箱ひげ図:箱=四分位範囲(IQR)、中の線=中央値
- 標本分散は n − 1 で割る(ベッセル補正:母分散の過小推定を防ぐ)
- 平均絶対偏差は偏差の絶対値を使うため、分散より外れ値の影響を受けにくい
LOS 2:歪度と尖度を記述・解釈・評価する
歪度は分布の左右の偏り、尖度は裾の厚さ(極端な値の出やすさ)です。正規分布は歪度0・尖度3(超過尖度0)。資産リターンは負の歪度・ファットテール(超過尖度>0)を示すことが多く、正規分布を前提にすると大きな損失の確率を過小評価します。
- 正の歪度:平均 > 中央値 > 最頻値(右に長い裾)
- 負の歪度:平均 < 中央値 < 最頻値(左に長い裾=たまに大損)
- 超過尖度 = 尖度 − 3。正ならファットテール、負なら裾が薄い
- 歪度・尖度が大きいデータでは、平均より中央値の方が代表値として適切なことが多い
LOS 3:共分散と相関を計算・解釈・評価する
共分散は2資産のリターンが同じ方向に動くか逆に動くかを示し、それを両者の標準偏差で割って −1〜+1 に標準化したのが相関係数です。相関は直線的な関係しか捉えず、因果関係を意味しません。外れ値や見せかけの相関(spurious correlation)にも注意します。
- 相関 = 共分散 ÷ (σ_X × σ_Y)
- 相関0でも無関係とは限らない(曲線的な関係)
- 偶然の一致や、第3の要因による見せかけの相関がある
LOS 4:半偏差と変動係数を計算・解釈・評価する
標準偏差は上振れも下振れも同じにリスクと数えますが、投資家が気にするのは下振れです。半偏差(目標下方偏差)は平均や目標を下回った観測値だけで計算します。変動係数(CV)=標準偏差 ÷ 平均は、平均の水準が違う資産同士のリスクを比べるときに使います。
- 目標下方偏差:目標を下回った観測値だけで偏差の2乗を合計し、n − 1 で割って平方根
- CV が小さいほど、リターン1単位あたりのリスクが小さい
- 平均がマイナスや0に近いとCVは解釈しにくい
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