Learning Module 2「Overview of Types of Real Estate Investment(不動産投資の種類)」は、評価上重要な不動産投資の特徴、経済的な価値の決定要因とポートフォリオでの役割、商業用不動産の物件タイプごとの特性、デューデリジェンスと評価手法、不動産指数の構築とバイアスを扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM2のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM2には5つのLOSがあります。

  1. LOS 1:評価のために重要な不動産投資の特徴を比較するcompare important real estate investment features for valuation purposes
  2. LOS 2:不動産投資の経済的な価値の決定要因と、ポートフォリオにおける役割を説明するexplain economic value drivers of real estate investments and their role in a portfolio
  3. LOS 3:商業用不動産の物件タイプごとの特徴的な投資特性を論じるdiscuss the distinctive investment characteristics of commercial property types
  4. LOS 4:不動産投資のデューデリジェンスのプロセスと評価手法を説明するexplain the due diligence process and valuation approaches for real estate investments
  5. LOS 5:不動産投資指数について、その構築方法と潜在的なバイアスを含めて論じるdiscuss real estate investment indexes, including their construction and potential biases

LM2のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 居住用・商業用不動産の実際および潜在的な経済的用途が期待価値を決める主要因であり、収益不動産ではNOI(純営業収益)が代表的なリターン指標
  • 不動産の運営・開発会社やREITなどへの投資はエクイティ、MBSやカバード・ボンドへの投資はデットに分類される
  • 不動産の経済的な価値の決定要因は、GDP・雇用・賃金の伸び、不動産サイクルに影響する信用環境、地域経済の要因
  • インカム、値上がり益、インフレ・ヘッジ、分散効果、税制上の利点などの特徴が、ポートフォリオでの不動産の役割を決める
  • 商業用不動産は景気循環的な要因と構造的な要因の両方の影響を受け、物件タイプごとにリスクとリターンが異なる
  • 不動産投資では地域の市場環境、法務・財務、物件の物理的状態について詳細なデューデリジェンスが必要
  • 評価手法は収益還元法(インカム・アプローチ)、原価法(コスト・アプローチ)、取引事例比較法(セールス・コンパリソン・アプローチ)

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:不動産投資の特徴

不動産は異質性(同じ物件は2つとない)、高額で分割しにくい、流動性が低い取引コストや管理コストが高いなどの特徴を持ちます。投資形態は私募/公募エクイティ/デットの組み合わせで整理できます。

  • 私募エクイティ:直接所有、私募不動産ファンドなど
  • 私募デット:銀行ローンなどの商業用モーゲージ
  • 公募エクイティ:REIT、不動産事業会社(REOC)の株式
  • 公募デット:RMBS、CMBSなど
  • 取引頻度が低いため評価は鑑定に依存しやすい

LOS 2:経済的な価値の決定要因とポートフォリオでの役割

不動産の価値はGDP・雇用・賃金の伸び、信用環境、人口動態などの地域経済要因によって動きます。ポートフォリオでは安定したインカム、値上がり益、インフレ・ヘッジ分散効果、税制上の利点などの役割が期待されます。

  • NOI(純営業収益):賃料収入などから営業費用を差し引いた収益
  • 信用の拡大・収縮が不動産サイクルを増幅させる
  • 賃料の見直しやインフレ連動条項によりインフレ・ヘッジ効果がある
  • 株式・債券との相関が相対的に低いことによる分散効果
  • リターンはインカムと値上がり益の両方から成る
NOI = 賃料収入等の総収入 − 空室等損失 − 営業費用

LOS 3:物件タイプ別の投資特性

商業用不動産はオフィス、商業施設(リテール)、物流施設(インダストリアル)、賃貸住宅(マルチファミリー)などのタイプに分かれ、需要を左右する要因や賃貸借契約の形態、リスクの大きさが異なります。

  • オフィス:雇用(特にオフィスワーカー)の動向に左右され、リース期間が長め
  • リテール:個人消費と小売売上に連動し、売上連動賃料を含むこともある
  • 物流施設:貿易・EC・生産活動の影響を受ける
  • 賃貸住宅:人口動態や住宅取得のしやすさに左右され、リース期間が短い
  • 景気循環要因と構造的要因(働き方・消費行動の変化など)を区別

LOS 4:デューデリジェンスと評価手法

不動産投資では、地域市場、法務・財務、物件の物理的状態についてデューデリジェンスを行います。評価手法は収益還元法原価法取引事例比較法の3つが基本です。

  • デューデリジェンス:賃貸借契約・賃料履歴、営業費用、権原、環境、建物の状態の確認など
  • 収益還元法:NOIをキャップレートで還元(直接還元法)、またはDCF法
  • 原価法:土地価格+建物の再調達原価 − 減価
  • 取引事例比較法:類似物件の取引価格を差異調整して比較
  • キャップレートは期待リターンから成長率を差し引いた水準に相当
価値 = NOI₁ ÷ キャップレート

LOS 5:不動産投資指数とバイアス

不動産指数には鑑定評価ベースの指数取引ベースの指数(リピートセールス法・ヘドニック法)、REIT指数があります。鑑定評価ベースの指数は価格の平滑化により、ボラティリティや相関が過小に表れる点に注意が必要です。

  • 鑑定評価ベース:鑑定値の変化から算出。変化が遅れて表れ(ラグ)、ボラティリティが過小
  • リピートセールス指数:同一物件の複数回の取引価格の変化から算出。標本選択バイアスの可能性
  • ヘドニック指数:物件の属性で品質差を調整した回帰に基づく
  • REIT指数:市場価格ベースで即時性が高いが株式市場の変動も反映
  • 平滑化されたデータでは分散効果が過大評価されやすい

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