Learning Module 3「Investments in Real Estate through Publicly Traded Securities(上場証券を通じた不動産投資)」は、上場不動産証券の種類、NAVPS(1株当たり純資産価値)による評価、FFOとAFFOの使い方、NAV・相対価値(P/FFO、P/AFFO)・DCFによるREIT株式の評価、私募形態と比べた上場証券による不動産投資の長所・短所を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM3のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM3には5つのLOSがあります。

  1. LOS 1:上場不動産証券の種類を論じるdiscuss types of publicly traded real estate securities
  2. LOS 2:上場不動産証券の評価におけるNAVPS(1株当たり純資産価値)の利用を正当化し、予想現金NOIに基づいてNAVPSを推定するjustify the use of net asset value per share (NAVPS) in valuation of publicly traded real estate securities and estimate NAVPS based on forecasted cash net operating income
  3. LOS 3:REITの評価におけるFFO(funds from operations)とAFFO(adjusted funds from operations)の使い方を説明するdescribe the use of funds from operations (FFO) and adjusted funds from operations (AFFO) in REIT valuation
  4. LOS 4:純資産価値アプローチ、相対価値アプローチ(P/FFO、P/AFFO)、DCFアプローチを用いてREIT株式の価値を計算・解釈するcalculate and interpret the value of a REIT share using the net asset value, relative value (price-to-FFO and price-to-AFFO), and discounted cash flow approaches
  5. LOS 5:私募形態と比較した、上場証券を通じた不動産投資の長所と短所を説明するexplain advantages and disadvantages of investing in real estate through publicly traded securities compared to private vehicles

LM3のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 上場不動産証券の主な種類はREIT、REOC(不動産事業会社)、RMBS、CMBS
  • REITは他の上場株式に比べて配当利回りが高く、収益とリターンが安定しやすい。保有不動産に活発な私募市場があるため純資産価値アプローチによる評価になじむ
  • REITはREOCに比べ配当利回りが高く法人税の免除を受けられる一方、事業の柔軟性が低く、高い配当性向のため内部留保による成長余地が小さい
  • REITの分析では景気、小売売上、雇用、人口、需給の動向に加え、稼働率、賃料水準、残存リース期間、テナントの財務健全性、レバレッジ、経営の質などを重視する
  • 取得原価ベースの財務諸表を調整し、FFO・AFFOといった収益指標や資産の時価に基づく純資産価値を求める
  • REIT株式の評価手法はNAVPS、P/FFOやP/AFFOによる相対評価、配当割引モデルなどのDCF

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:上場不動産証券の種類

上場不動産証券には、不動産を保有・運営し法人税の免除と引き換えに高い配当を行うREIT、通常の課税会社であるREOC、住宅ローン・商業用ローンを裏付けとするRMBS・CMBSがあります。REITは保有資産の種類によりエクイティREITとモーゲージREITに分けられます。

  • エクイティREIT:オフィス、リテール、住宅、物流、ヘルスケアなどの物件を保有・運営
  • モーゲージREIT:不動産ローンやMBSに投資
  • REITの要件:収益の大部分を配当として分配、資産・収益の大半が不動産関連
  • REOC:配当義務がなく、開発や再投資の自由度が高いが法人税が課される

LOS 2:NAVPSによる評価

REITの保有不動産には活発な私募市場があるため、資産を時価で評価して負債を差し引くNAVPSが評価の基準として使われます。予想現金NOIをキャップレートで還元して不動産価値を求め、その他資産を加え負債を控除して株数で割ります。

  • 簿価(取得原価 − 減価償却)は不動産の経済価値を反映しにくい
  • 現金NOI:賃料の定額化(ストレートライン)などの非現金項目を調整
  • 翌期の予想NOIをキャップレートで割って不動産の価値を推定
  • NAVPSに対するプレミアム/ディスカウントで割高・割安を判断
  • 無形資産や繰延項目などは通常控除する
NAVPS =(予想現金NOI ÷ キャップレート + 現金等その他資産 − 負債)÷ 発行済株式数

LOS 3:FFOとAFFO

REITの収益力の指標として、純利益から非現金の減価償却を足し戻し、不動産売却損益を除いたFFOが使われます。さらに維持的な資本支出と賃料の定額化調整を差し引いたAFFOは、配当に回せる現金収益により近い指標です。

  • FFO = 純利益 + 減価償却費 − 不動産売却益(+売却損)
  • AFFO = FFO − 賃料の定額化による非現金賃料 − 維持的資本支出
  • AFFOは持続的な配当能力の目安になるが、算出には推定が伴う
  • FFOは標準化されており比較しやすい
AFFO = FFO − 非現金賃料 − 維持的資本支出

LOS 4:REIT株式の評価手法

REIT株式はNAVアプローチ相対価値アプローチ(P/FFO、P/AFFO)、DCFアプローチで評価します。相対価値では同種のREITの倍率を当てはめ、DCFでは配当などの将来キャッシュフローを割り引きます。

  • P/FFO・P/AFFO:同業REITの倍率 × 対象REITの1株当たりFFO(AFFO)
  • 倍率は成長見通しやリスク、レバレッジ、物件タイプで調整して解釈
  • DCF:数年間の配当を予測し、最終年の価値(倍率や成長モデル)を加えて割り引く
  • NAVは私募不動産市場の価格、倍率はREIT市場の相対評価を反映
1株当たり価値 = 比較対象のP/FFO × 対象REITの1株当たりFFO

LOS 5:上場証券による不動産投資の長所・短所

上場証券による不動産投資は流動性、少額での分散投資、専門家による運営、ガバナンスと情報開示の点で有利です。一方、株式市場による価格変動、事業の柔軟性の制約、税制上の不利などの短所があります。

  • 長所:高い流動性、少額での投資、分散、専門的運営、REITの非課税(二重課税の回避)
  • 長所:上場企業としての情報開示・ガバナンス
  • 短所:株式市場のボラティリティの影響、直接保有に比べ投資家のコントロールが小さい
  • 短所:高い配当性向による内部成長の制約、直接保有の税制上の利点の一部を享受できない
  • 私募不動産より株式市場との相関が高くなりやすい

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