Learning Module 2「Equity Jurisdictions, Classes, and the Voting Process(株式の法域・種類株と議決権行使)」は、外国株式への直接投資と預託証券による間接投資、デュアル・リスティング、議決権や経済的権利が異なる種類株式(デュアル・クラス株式)、そして株主の議決権行使プロセスと関係者の役割を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM2のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM2には2つのLOSがあります。

  1. LOS 1:法域や株式の種類による経済的権利・議決権その他の特性の違いを説明するdescribe differences in economic and voting rights and other characteristics among different jurisdictions and equity classes
  2. LOS 2:議決権行使のプロセスと、発行体の経営陣、取締役会、議決権行使助言会社、アセット・マネジャー、アセット・オーナーの役割を説明するdescribe the voting process and roles of the issuer’s management, board, proxy advisors, asset managers, and asset owners in the process

LM2のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 発行体は国外の株式市場にアクセスするためにデュアル・リスティングを選ぶことができ、投資家は外国株式の持分を自国通貨建てで表す預託証券を購入できる
  • デュアル・クラス株式構造は、経済的権利と議決権の配分を変えることで、株式が広く保有される前からの既存株主と新たな株主の利害を調整する仕組み
  • 議決権行使プロセスは、株主の特定と、取締役の選任や監査人の選定などの経営陣提案、および株主提案への投票の勧誘から成る
  • 議決権は基準日時点の株主に帰属し、基準日後に株式を売却した株主も議決権を行使できる
  • 株主提案は通常拘束力を持たないが、可決された場合や否決でも相当の支持を集めた場合には、発行体が対応を求められやすい
  • 機関投資家は議決権行使を通じて発行体に影響力を及ぼし、投資方針に沿ったスチュワードシップとガバナンスの原則を示す。調査と推奨を得るため議決権行使助言会社を起用することが多い

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:法域・株式の種類による権利の違い

外国株式へのアクセスには、現地市場で直接売買する直接投資と、預託証券(DR)を使う間接投資があります。またデュアル・クラス株式のように、株式の種類によって議決権や経済的権利の配分が異なる構造も存在します。

  • 直接投資:現地の口座、取引時間、決済・税務、言語、現地通貨での取引などの負担。主に大手機関投資家
  • デュアル・リスティング:2つ以上の市場に同時に上場
  • DR:外国企業の株式を国内の預託銀行に預け、それを表す証書を発行。価格はDR比率と為替レートで決まり、現地株価とほぼ連動
  • ADR(米国市場・米ドル建て)、EDR(欧州市場・ユーロ建て)、GDR(本国外かつ米国外で発行、本国の外資規制・資本移動規制を受けない)
  • スポンサー付きDR:発行企業が関与し、議決権・配当権は直接保有と同等で報告義務が重い。スポンサーなしDR:議決権は預託銀行に残る
  • デュアル・クラス:創業者等が1株複数議決権の株式を保有し、少ない経済的持分で支配を維持。無議決権株や、議決権を減らす代わりに配当を上乗せする株式もある

LOS 2:議決権行使プロセスと関係者の役割

株主は年次総会や臨時総会で、取締役選任、役員報酬、配当、独立監査人の承認などの経営陣提案株主提案に投票します。プロセスは提案の収集・精査、株主の特定、議決権の確認、資料の配布、委任状による投票の集計から成り、機関投資家は議決権行使助言会社を活用することが多いです。

  • 発行体の取締役会・経営陣:提案を精査し、委任状説明書(proxy statement)で議題、候補者情報、各提案への賛否の推奨と理由を示す
  • 資料は通常、株式を名義上保有するカストディアン経由で実質株主(beneficial owner)に届く
  • 議決権は基準日(record date)時点の株主に帰属:基準日後に売却しても投票可、基準日後の購入者は投票不可
  • 議決権行使助言会社:情報収集、ガバナンス原則の比較、投票の推奨、行使記録の管理
  • アセット・オーナーは議決権をアセット・マネジャーに委ねる場合と、投資方針の一環として自ら積極的に関与する場合がある
  • 規制当局も透明性と株主保護を強化(EUの株主権利指令による電子的な投票確認、遠隔での議決権行使、仲介者の義務強化など)

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