Learning Module 3「Equity Issuance and Trading(株式の発行と取引)」は、株式の発行市場と流通市場の機能、取引所・取引所外・店頭(OTC)での取引の比較、上場株式の流動性指標(浮動株・平均日次出来高・回転率)、そして株価指数の種類を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM3のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM3には4つのLOSがあります。

  1. LOS 1:株式の発行市場と流通市場およびその機能を説明するdescribe primary and secondary public equity markets and their functions
  2. LOS 2:取引所取引、取引所外取引、店頭取引を比較するcompare exchange, off-exchange, and over-the-counter equities trading
  3. LOS 3:上場株式の流動性指標を説明し、浮動株と平均日次出来高を計算するdescribe liquidity measures for a publicly listed security and calculate float and average daily volume
  4. LOS 4:株価指数の種類を説明するdescribe types of equity indexes

LM3のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 発行市場では発行体が新しい証券や既発行証券の追加株式を投資家に売却し、流通市場では既存の株式が投資家の間で売買される
  • 通常取引時間中の取引所取引は一般に流動性が最も高いが、ごく小口やごく大口(ブロック・トレード)の取引はブローカーを通じて取引所外で執行されることが多い
  • クォート・ドリブン型の店頭取引は小規模企業で多く、一般に流動性が低い
  • 流通市場の流動性は、ビッド・アスク・スプレッドなどの取引コストやその他の市場特性で測られる。売買可能な株式数と平均日次出来高の比較が一般的な評価方法
  • 広範な株価指数によって、株式市場全体や一部のリスクとリターンを把握し、個別銘柄や投資家のポートフォリオと相対比較できる
  • 規模やセクターなどに基づく指数は投資商品や運用戦略の基礎となり、運用者のパフォーマンス評価にも用いられる

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:発行市場と流通市場の機能

発行市場は発行体が新株を売却して資本を調達する(または既存の私的持分を公開株式に転換する)市場、流通市場は既発行株式が投資家の間で売買される市場です。流通市場は流動性の提供に加え、価格発見と経営陣・利害関係者へのフィードバックという重要な機能を持ちます。

  • 株式公開の手段:IPO(引受あり)、SPAC、ダイレクト・リスティング(引受なしで既存株式を上場)、裏口上場
  • IPOでは目論見書の作成・承認とブックビルディング。引受人の誘因によりIPOのアンダープライシング(初日の値上がり)が生じやすい
  • SPAC:IPO資金を信託口座に置き、一定期限内(通常2年程度)に非上場企業を買収(de-SPAC)、できなければ資金を返還
  • 公募増資(seasoned/follow-on offering):新株発行は希薄化型、既存株主の売出しは非希薄化型
  • 発行市場は株価上昇局面で活発、流通市場は上昇・下落どちらの局面でも重要
  • 流通市場価格の用途:リターンの測定、評価の比較基準、経営成果の評価、株式報酬(RSU)の基準

LOS 2:取引所・取引所外・店頭取引の比較

取引所取引は、会員のブローカー・ディーラーが注文を持ち込み、注文照合システムで売買を成立させるオーダー・ドリブン型の市場です。大口のブロック・トレードなどは取引所外で執行され、店頭(OTC)市場は複数のマーケット・メーカーが気配を提示するクォート・ドリブン型の市場です。

  • 取引所:定められた取引時間、100株単位の売買、指定マーケット・メーカー、上場要件
  • 明示的コスト(手数料)と暗黙的コスト(ビッド・アスク・スプレッド、マーケット・インパクト、遅延コスト、機会費用)
  • 成行注文は最良価格で即時執行、指値注文は買いの上限価格・売りの下限価格を指定
  • 取引所外:流動性の低い株式、ごく小口の取引、ブロック・トレード(大口の一括取引)。分割執行などで暗黙的コストを抑える
  • OTC:小規模企業が中心。執行の確実性は高いが透明性が低く、最良価格での執行の保証がない
  • VWAP(出来高加重平均価格):日中の値動きの把握に利用
ビッド・アスク・スプレッド(%)=(最低売り気配 − 最高買い気配)÷ 最低売り気配

LOS 3:流動性指標と浮動株・平均日次出来高

株式の流動性は、コストとタイミングの両面から見た売買のしやすさです。代表的な指標は浮動株(market float)平均日次出来高で、両者の比率である回転率は1日に浮動株のどれだけが売買されるかを示します。

  • 浮動株=発行済株式数 − 譲渡制限株式など売買できない株式
  • 平均日次出来高=一定期間(n日)の日次売買株数の平均
  • 回転率=平均日次出来高 ÷ 浮動株
  • 保有株の売却に要する日数の目安になり、小型株の大口保有で特に重要
  • 市場の厚み(depth):最良気配付近の注文量、市場の幅(breadth):最良気配前後の価格帯の注文数
  • 市場の回復力(resiliency):ショック後に市場清算価格へ素早く戻る能力。厚みと幅はショックの初期影響を和らげる
回転率 = 平均日次出来高 ÷ 浮動株(浮動株 = 発行済株式数 − 売買できない株式)

LOS 4:株価指数の種類

株価指数はリスク・リターンの把握、パフォーマンス評価、ベンチマーク、インデックス運用の基礎として使われます。広範な指数の多くは大型上場企業を対象に浮動株調整後の時価総額加重で算出され、ほかにセクター指数テーマ指数代替的なウェイトの指数があります。

  • 広範な指数:規模で階層化。市場価値の大部分をカバーする総合(composite)指数を大型・中型・小型に分割
  • 時価総額加重指数は最大手企業や値上がりした銘柄、集中した業種の影響を強く受ける
  • セクター指数:同業他社との比較、特定業種へのエクスポージャーを持つ商品の基礎
  • テーマ指数:国内消費、インフラ、シャリア適合、ESGスクリーニングなど
  • 代替ウェイト:均等加重、ファンダメンタル・ファクター(売上高・利益・配当・簿価、クオリティなど)に基づく加重

効率よく学ぶには FA-Academy

CFA®︎の協会テキストは英語で分量も多く、1つひとつの単元を英語だけで理解していくのは大きな負担です。

FA-Academy(Financial Analyst Academy)は、日本語で学べる数少ないCFA®︎試験サポートです。これまで Level 1 から Level 3 まで多くの合格者を輩出しており、合格者の方々との対談も数多く公開しています。どんな方が、どのように合格されたのかは合格者対談・合格体験談の一覧からご覧いただけます。