【CFA®︎ L1 Fixed Income LM18】Asset-Backed Security (ABS) Instrument and Market Features を要点解説|カバード・ボンド・信用補完・クレジット・カード債権ABS・CDO

Learning Module 18「Asset-Backed Security (ABS) Instrument and Market Features(資産担保証券(ABS))」は、カバード・ボンドの特徴とリスクおよび他のABSとの違い、証券化で使われる信用補完の構造、オート・ローンやクレジット・カード債権などの非モーゲージABSの種類とキャッシュフロー・リスク、そして債務担保証券(CDO)の仕組みとリスクを扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM18のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM18には4つのLOSがあります。
- LOS 1:カバード・ボンドの特徴とリスク、および他の資産担保証券との違いを説明するdescribe characteristics and risks of covered bonds and how they differ from other asset-backed securities
- LOS 2:証券化で用いられる典型的な信用補完の構造を説明するdescribe typical credit enhancement structures used in securitizations
- LOS 3:非モーゲージ資産担保証券の種類と特徴を、それぞれのキャッシュフローとリスクを含めて説明するdescribe types and characteristics of non-mortgage asset-backed securities, including the cash flows and risks of each type
- LOS 4:債務担保証券(CDO)について、そのキャッシュフローとリスクを含めて説明するdescribe collateralized debt obligations, including their cash flows and risks
LM18のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- カバード・ボンドは金融機関がシニア債務として発行し、商業用・住宅用モーゲージや公的部門向け資産などからなる分別管理された資産プールを裏付けとするが、これらの資産は発行体のバランスシートに残る
- 非モーゲージABSは資産プールを元の発行体のバランスシートから切り離す証券化で、クレジット・カード債権のような非償却型の債権を裏付けとすることが多い
- 非償却型の債権は、満期前の一定期間(ロックアウト期間、リボルビング期間)は元の債権額を維持し、この間に返済された元本は資産プールの補充に再投資される
- CDOは債券やローンなど非モーゲージ債務の分散されたプールを裏付けとし、分割されたキャッシュフローを投資家に再配分する証券化の総称。トランシェは優先順位に従って支払を受け、シニアは債券に近い低めの支払、ジュニアは高いが変動の大きいリターンとなる
- 最も一般的なCDOの形態はローン担保証券(CLO)で、担保資産のデフォルト時には非線形の複雑なリスクを伴う
- シニアと劣後の債券クラス(トランシェ)を作るクレジット・トランシングは、上位クラスに信用補完を提供する。シニアは劣後より先に支払を受け、劣後は資産プールのデフォルトによる損失を先に負担する
- 複数の債券クラスを作ることで、投資家は好みのリスク、予想満期、リターンを選べる。各クラスは通常、担保の質とクラスの優先順位の両方に基づいて格付される
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:カバード・ボンドと他のABSとの違い
カバード・ボンドは、金融機関がシニア債務として発行し、分別管理された資産プール(カバー・プール)で担保される債券です。資産が発行体のバランスシートに残る点と、発行体とカバー・プールの両方に請求できる二重の償還請求権(デュアル・リコース)がある点が、一般的なABSとの大きな違いです。
- カバー・プール:商業用・住宅用モーゲージや公的部門向け資産
- ABSは資産をSPEに移してバランスシートから外すが、カバード・ボンドは外さない
- デュアル・リコース:発行体への請求に加え、発行体の破綻時はカバー・プールに請求
- 動的なプール:不良化した資産は適格資産に入れ替えられる
- 満期の構造:ハード・ブレット、ソフト・ブレット、条件付きパススルー
- 一般的なABSより信用リスクが低く、利回りも低い傾向
LOS 2:信用補完の構造
信用補完(credit enhancement)は、原資産のデフォルトによる損失から投資家を守る仕組みで、証券化の構造内部で行う内部信用補完と、第三者の保証などによる外部信用補完に分かれます。代表的な内部信用補完が、劣後トランシェが先に損失を吸収する優先劣後構造です。
- 優先劣後構造(クレジット・トランシング):損失は劣後トランシェから先に負担(ウォーターフォール)
- 超過担保(overcollateralization):発行する証券の額面を上回る担保資産を保有
- 超過スプレッド:原資産の利息収入が証券の利払と費用を上回る部分を損失吸収に充てる
- リザーブ口座:損失に備えて現金などを積み立てる
- 外部信用補完:金融保証、銀行の信用状など。保証提供者の信用リスクが残る
LOS 3:非モーゲージABSの種類とリスク
非モーゲージABSには、オート・ローンABSのように元本が償却していく償却型と、クレジット・カード債権ABSのように一定期間元本が維持される非償却型があります。非償却型では、ロックアウト(リボルビング)期間中に回収された元本は新たな債権の購入に再投資されます。
- オート・ローンABS:毎月の元利返済に加え期限前返済があり、信用補完として優先劣後構造・超過担保・リザーブ口座などを利用
- クレジット・カード債権ABS:ロックアウト期間中は投資家に利息のみ支払い、元本は再投資
- ロックアウト期間終了後は元本が投資家に支払われ始める
- 早期償還条項:一定の事由が起きると早期に元本の返済が始まる
- 主なリスク:原資産の信用リスク、期限前返済による支払時期の不確実性
LOS 4:債務担保証券(CDO)
CDOは、社債やローンなどの分散された非モーゲージ債務のプールを裏付けとし、キャッシュフローを優先順位の異なるトランシェに配分する証券化です。最も一般的な形態は、レバレッジド・ローンを裏付けとするローン担保証券(CLO)で、担保資産を運用するコラテラル・マネジャーが関与します。
- トランシェ:シニア、メザニン、エクイティ(劣後)の順に支払を受ける
- シニアは債券に近い安定した支払、エクイティは高いが変動の大きいリターン
- コラテラル・マネジャーが担保資産を売買・管理
- 担保資産のデフォルトが重なると損失が下位トランシェから非線形に波及
- 担保資産間のデフォルトの相関がトランシェのリスクを大きく左右する
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