【CFA®︎ L2 Equities LM1】Equity Valuation: Applications and Processes を要点解説|本源的価値・継続企業価値と清算価値・絶対評価と相対評価・SOTP評価

Learning Module 1「Equity Valuation: Applications and Processes(株式評価:応用とプロセス)」は、評価と本源的価値の定義、ミスプライシングの源泉、継続企業価値と清算価値、価値の定義、株式評価の用途、産業・競争分析、絶対評価モデルと相対評価モデル、部分の合計による評価、評価手法の選択基準を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM1のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM1には8つのLOSがあります。
- LOS 1:評価と本源的価値を定義し、ミスプライシングと認識されるものの源泉を説明するdefine valuation and intrinsic value and explain sources of perceived mispricing
- LOS 2:継続企業の前提を説明し、継続企業価値と清算価値を対比するexplain the going concern assumption and contrast a going concern value to a liquidation value
- LOS 3:価値の諸定義を記述し、上場企業の評価に最も関連する価値の定義を正当化するdescribe definitions of value and justify which definition of value is most relevant to public company valuation
- LOS 4:株式評価の用途を記述するdescribe applications of equity valuation
- LOS 5:産業分析と競争分析を行う際に検討すべき問いを記述するdescribe questions that should be addressed in conducting an industry and competitive analysis
- LOS 6:絶対評価モデルと相対評価モデルを対比し、それぞれの例を記述するcontrast absolute and relative valuation models and describe examples of each type of model
- LOS 7:部分の合計(sum-of-the-parts)評価とコングロマリット・ディスカウントを記述するdescribe sum-of-the-parts valuation and conglomerate discounts
- LOS 8:ある企業を評価するのに適切なアプローチを選ぶための大まかな基準を説明するexplain broad criteria for choosing an appropriate approach for valuing a given company
LM1のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 評価とは、将来の投資リターンに関係する変数や、類似資産との比較に基づいて資産の価値を推定すること
- 本源的価値は資産の投資特性を完全に理解したと仮定したときの価値で、市場価格が本源的価値から乖離し得るという前提がアクティブ運用を支える
- 本源的価値は継続企業の前提に立つ一方、清算価値は会社を解散し資産を個別に売却した場合の価値
- 公正価値は、強制されない十分な情報を持つ当事者間で資産が取引される価格
- 評価は銘柄選択のほか、市場の期待の推測、企業イベントの評価、フェアネス・オピニオン、事業戦略の評価、非上場企業の評価に使われる
- 評価のプロセスは、事業の理解、業績予想、評価モデルの選択、予想の評価額への変換、結論と推奨の5ステップ
- 評価モデルは、本源的価値を直接求める絶対評価モデルと、類似資産と比べる相対評価モデルに大別される
- 評価手法は、企業の特徴、データの入手可能性と質、評価目的と視点に整合するものを選ぶ
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:評価・本源的価値とミスプライシングの源泉
本源的価値は資産の投資特性を完全に理解した場合の価値です。アナリストが認識するミスプライシング(本源的価値の推定値−市場価格)は、真のミスプライシングと本源的価値の推定誤差の和として分解できます。
- 評価:将来リターン関連変数や類似資産比較による価値推定
- アクティブ運用の前提:価格と本源的価値の乖離
- 推定誤差の可能性を常に考慮
- 価格が本源的価値へ収束する契機(カタリスト)
LOS 2:継続企業価値と清算価値
継続企業の前提は、企業が予見可能な将来にわたって事業を続けるという仮定です。清算価値は企業を解散して資産を個別に売却した場合の価値で、秩序ある清算か投げ売りかで異なります。
- 継続企業価値:将来キャッシュフローに基づく
- 清算価値:資産の個別売却価値
- 清算価値が継続企業価値を上回る場合は解散が合理的
- 秩序ある清算と強制的な清算の違い
LOS 3:価値の定義と上場企業評価
価値には本源的価値、公正市場価値、公正価値(財務報告目的)、投資価値(特定の買い手にとっての価値)などがあります。上場企業の銘柄選択では本源的価値が最も関連が深いです。
- 公正市場価値:強制されない情報を持つ当事者間の取引価格
- 投資価値:シナジーなど特定投資家にとっての価値
- 公正価値:会計・法的な文脈で使用
- 上場株式の分析では本源的価値が中心
LOS 4:株式評価の用途
株式評価は銘柄選択だけでなく、株価に織り込まれた市場の期待の推測、M&Aなどの企業イベントの評価、フェアネス・オピニオン、事業戦略の評価、非上場企業の評価などに使われます。
- 銘柄選択
- 市場の期待の推測(逆算)
- 企業イベント(M&A、分割、LBO)の評価
- フェアネス・オピニオン
- 事業戦略・モデルの評価
- 非上場企業・株式報酬の評価
LOS 5:産業分析と競争分析で検討すべき問い
事業の理解では、産業の魅力度、企業の競争上の地位、企業戦略とその実行を検討します。ポーターのファイブ・フォースなどで産業の収益性を、コスト・リーダーシップや差別化などで競争戦略を評価します。
- 産業の見通しと構造(ファイブ・フォース)
- 企業の競争上の地位(コスト・リーダーシップ、差別化、集中)
- 戦略の実行力と過去の実績
- 財務報告の分析と利益の質の評価
LOS 6:絶対評価モデルと相対評価モデル
絶対評価モデルは資産の本源的価値を直接推定するモデルで、割引キャッシュフロー・モデルや資産ベースの評価が代表例です。相対評価モデルは株価倍率などを類似企業と比較して相対的な割高・割安を判断します。
- 絶対評価:DDM、FCFモデル、残余利益モデル、資産ベース評価
- 相対評価:P/E、P/B、EV/EBITDAなどのマルチプル
- 相対評価は比較対象全体の誤評価の影響を受ける
- 両者を併用して結論の頑健性を確認
LOS 7:部分の合計評価とコングロマリット・ディスカウント
部分の合計(SOTP)評価は事業部門ごとに価値を評価して合算する方法です。市場価格がSOTP価値を下回る状態をコングロマリット・ディスカウントと呼び、その原因として内部資本市場の非効率、分析の難しさ、測定上の問題などが挙げられます。
- 事業部門ごとに評価して合算
- 分割評価値:部門を独立企業とみなした価値
- コングロマリット・ディスカウントの説明:内部資本市場の非効率、内生的要因、調査上の測定誤差
- 分割・スピンオフの価値を判断する際に有用
LOS 8:評価アプローチ選択の基準
評価モデルは、評価対象企業の特徴、データの入手可能性と質、評価の目的と視点(少数株主か支配株主か)に整合するものを選びます。
- 企業の特徴との整合(配当の有無、資産の性質、成長段階)
- データの入手可能性と質
- 評価目的・視点との整合
- 複数モデルの併用と感応度分析
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