Learning Module 1「Overview of Equity Portfolio Management(株式ポートフォリオ運用の概要)」は、ポートフォリオにおける株式の役割、株式ユニバースの区分方法、株式運用に伴う収益とコスト、株主エンゲージメント、アクティブ運用のスペクトラム、ベンチマークの選び方を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM1のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM1には6つのLOSがあります。

  1. LOS 1:ポートフォリオ全体における株式の役割を説明するdescribe the roles of equities in the overall portfolio
  2. LOS 2:株式運用者の投資ユニバースをどのように区分できるかを説明するdescribe how an equity manager’s investment universe can be segmented
  3. LOS 3:株式ポートフォリオの保有・運用に伴う収益とコストの種類、およびそれらがパフォーマンスに与え得る影響を説明するdescribe the types of income and costs associated with owning and managing an equity portfolio and their potential effects on portfolio performance
  4. LOS 4:株主エンゲージメントの潜在的なメリットと、その中で株式運用者が果たし得る役割を説明するdescribe the potential benefits of shareholder engagement and the role an equity manager might play in shareholder engagement
  5. LOS 5:アクティブ運用のスペクトラム全体にわたる株式投資の根拠を説明するdescribe rationales for equity investment across the active management spectrum
  6. LOS 6:株式ポートフォリオのベンチマーク選択における考慮事項を論じるdiscuss considerations in choosing a benchmark for an equity portfolio

LM1のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 株式はポートフォリオの中で、値上がり益、配当収入、他資産との分散効果、インフレ・ヘッジの可能性といった役割を担う
  • 株式を組み入れるかどうかは、リスク・リターン目標、流動性、投資期間、税金、法規制、固有の事情といった顧客の目標と制約から判断する
  • 株式ユニバースは、規模とスタイル、地域、経済活動(セクター・業種)の3つの軸で区分されることが多い
  • 株式ポートフォリオの収益源は配当、貸株料と担保運用の利息、配当取り、カバード・コール、キャッシュ担保付きプット売り。コストは運用報酬、成功報酬、管理報酬、販売・マーケティング費用、売買コスト
  • 株主エンゲージメントは企業のガバナンス向上と業績改善を通じて株主に利益をもたらし得る一方、費用・時間、短期志向への圧力、選択的開示、利益相反といった欠点もある
  • 株主総会での議決権行使は、エンゲージメントの中で最も影響力の大きい手段の一つ。アクティビストは株式を取得して変化を促し、利益を狙う
  • アクティブかインデックスかは二者択一ではなく、アクティブ運用のスペクトラム上のどこに位置取るかを選ぶ問題
  • ベンチマークは運用戦略と投資ユニバースを反映し、投資可能で透明性が高いものを選ぶ。指数のウェイト付け方法によってリスク特性が変わる

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:ポートフォリオにおける株式の役割

株式は値上がり益(capital appreciation)の主な源泉であり、配当収入、他資産との分散、インフレ・ヘッジの役割も担います。どの役割を重視するかは顧客の目標と制約で変わります。

  • 値上がり益:企業の成長を反映した長期的なリターンの源泉
  • 配当収入:安定した配当を出す銘柄はインカム源となる
  • 分散効果:債券など他資産との相関が1未満であることによるリスク低減
  • インフレ・ヘッジ:効果は限定的・時期により不安定
  • 組入れ判断の軸:リスク・リターン目標、流動性、投資期間、税金、法規制、固有の事情

LOS 2:投資ユニバースの区分

株式ユニバースは規模とスタイル地域経済活動(セクター・業種)で区分されます。区分の仕方はベンチマーク選択や分散の考え方に直結します。

  • 規模とスタイル:大型・中型・小型 × バリュー・グロース・ブレンド
  • 地域:先進国・新興国・フロンティアなど、市場の発展度で区分
  • 経済活動:GICSなどのセクター・業種分類
  • 生産指向型(何を作るか)と市場指向型(誰に売るか)の分類アプローチ
  • 区分ごとにリスク特性や流動性が異なる

LOS 3:株式ポートフォリオの収益とコスト

収益には配当のほか、貸株(securities lending)の手数料・担保運用益や、オプションを使ったインカム戦略があります。一方で運用報酬や売買コストなどがリターンを押し下げます。

  • 収益:配当、貸株料と担保の再投資収益、配当取り(dividend capture)
  • オプション:カバード・コール、キャッシュ担保付きプット売りでプレミアム収入
  • コスト:運用報酬、成功報酬、管理報酬、販売・マーケティング費用
  • 売買コスト:手数料・税金などの明示的コストと、スプレッド・マーケット・インパクトなどの暗黙的コスト
  • 貸株には相手方リスクや担保運用のリスクが伴う

LOS 4:株主エンゲージメントと運用者の役割

株主エンゲージメントは、株主と企業が議決権行使や対話を通じて関わり合うプロセスです。ガバナンスや業績の改善が期待できる一方、コストや利益相反などのデメリットもあります。

  • メリット:ガバナンス文化の向上、業績改善、企業の情報理解の深化
  • デメリット:費用と時間、短期的な株価・利益目標への圧力、選択的開示、利益相反
  • フリーライダー問題:エンゲージメントの成果は関与しない株主も享受
  • アクティビスト:株式を取得して変化を促し、投資利益を狙う投資家
  • 議決権行使(代理人行使を含む)は最も影響力の大きい手段の一つ

LOS 5:アクティブ運用スペクトラムにおける投資の根拠

運用はパッシブ(インデックス)から高いアクティブ・リスクをとる運用までのスペクトラム上に位置づけられます。どこを選ぶかは、運用者の能力への確信、顧客の選好、コストや税などで判断します。

  • アクティブ運用の根拠:運用者のスキルへの確信、市場の非効率性、顧客固有の要件(ESGなど)
  • パッシブ運用の根拠:低コスト、市場の効率性、透明性
  • 判断要素:顧客の選好、適切なベンチマークの有無、リスク、コスト、税効率

LOS 6:株式ベンチマークの選択

ベンチマークは運用戦略と投資ユニバースを反映し、投資可能・透明・ルールベースであることが求められます。指数のウェイト付け方法(時価総額加重、浮動株調整、等金額、価格加重、ファンダメンタル加重など)によって特性が異なります。

  • 運用者のスタイル・規模・地域と整合していること
  • 投資可能性、透明性、構成ルールの明確さ
  • 時価総額加重:大型株への集中が起こりやすい
  • 等金額加重:小型株寄り、リバランス頻度が高くコスト増
  • リバランスの頻度や銘柄集中度もリスク特性に影響

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