Learning Module 4「The Time Value of Money in Finance(ファイナンスにおける貨幣の時間価値)」は、将来のキャッシュフローを現在価値に引き直す考え方で、債券・株式の価格、価格から逆算するリターンや成長率、そして無裁定の考え方によるフォワード金利・フォワード為替・オプションの価値を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM4のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM4には3つのLOSがあります。

  1. LOS 1:将来の期待キャッシュフローに基づいて、債券と株式の現在価値を計算・解釈するcalculate and interpret the present value of fixed-income and equity instruments based on expected future cash flows
  2. LOS 2:現在価値とキャッシュフローから、債券のインプライド・リターン、株式の要求収益率とインプライド成長率を計算・解釈するcalculate and interpret the implied return of fixed-income instruments and required return and implied growth of equity instruments given their present value and cash flows
  3. LOS 3:キャッシュフロー加法性の原則と無裁定条件における重要性、インプライド・フォワード金利・フォワード為替レート・オプション価値の計算への応用を説明するexplain the cash flow additivity principle and its importance for the condition of no arbitrage, and explain its use in calculating implied forward interest rates, forward exchange rates, and option values

LM4のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 金融資産の価値は、将来キャッシュフローを、時間価値とリスクを反映した適切な割引率で割り引いた現在価値で決まる
  • 割引率には通常、金利(要求収益率)を使う。金利は通常プラスだが、まれにマイナスになることもある
  • 債券の価格は、利息と満期の額面の現在価値の合計。割引債は額面の現在価値だけで決まる。利回りは、価格と将来キャッシュフローの現在価値を一致させる金利
  • 株式の価値は、配当の成長に関する仮定に基づく将来配当の現在価値で決まる。株価がわかれば、要求収益率や配当成長率を逆算できる
  • キャッシュフロー加法性:一連のキャッシュフローの現在価値は、個々の現在価値の合計に等しい
  • 無裁定:リスク調整後のキャッシュフローが同じ資産は同じ価格でなければならない。この原則は債券・株式だけでなく、フォワードやオプションなどのデリバティブの価格付けにも適用される

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:将来キャッシュフローから債券・株式の現在価値を計算・解釈する

債券は利息と元本、株式は配当という将来キャッシュフローを割り引いて合計すれば価格になります。債券は割引債・利付債・変動利付債・永久債、ローンや年金(アニュイティ)の返済額まで同じ考え方で扱います。株式は配当が一定・一定成長・途中で成長率が変わる(多段階)の各ケースを計算します。

  • 割引債:PV = 額面 ÷ (1+r)^N(マイナス金利では額面を上回る)
  • 利付債:利息の年金現価+元本の現在価値(半年払いは期数と利率を調整)
  • 永久債:PV = 利息 ÷ r
  • 元利均等返済(住宅ローンなど)の毎期の返済額
  • 配当一定:PV = D ÷ r / 一定成長:PV = D₁ ÷ (r − g)
  • 多段階:高成長期の配当+ターミナル・バリューを割り引く
P₀ = D₁ / (r − g) (r > g が条件)

LOS 2:価格とキャッシュフローからインプライド・リターンとインプライド成長率を求める

現在価値の計算を逆方向に使います。債券なら価格から利回り(インプライド・リターン)を、株式なら株価と配当から要求収益率や市場が織り込む成長率を逆算します。PER(株価収益率)からも、市場が前提にしている成長率を読み取れます。

  • r = D₁ ÷ P₀ + g(配当利回り+成長率)
  • g = r − D₁ ÷ P₀(株価が織り込む成長率)
  • 割引債のインプライド・リターン = (額面 ÷ 価格)^(1/N) − 1

LOS 3:キャッシュフロー加法性と無裁定:フォワード金利・フォワード為替・オプション価値

同じ将来キャッシュフローを生む2つの方法は、今の価値も同じでなければなりません(違えば、リスクを負わずに利益を得る裁定取引が可能になる)。このキャッシュフロー加法性から、インプライド・フォワード金利フォワード為替レート、そして株と借入の組み合わせでペイオフを複製したオプションの価値を導きます。

  • (1+r₂)² = (1+r₁)(1+f₁,₁) からフォワード金利を求める
  • フォワード為替 = スポット × (1+価格通貨の金利) ÷ (1+基準通貨の金利)
  • 1期間モデル:株と借入でオプションのペイオフを複製して価値を出す
F = S × (1 + i_price) / (1 + i_base)

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