Learning Module 8「The Return and Risk of a Financial Portfolio(金融ポートフォリオのリターンとリスク)」は、資産を組み合わせたポートフォリオのリターンとリスク、最小分散ポートフォリオと効率的フロンティア、投資家のリスク回避度に応じた最適ポートフォリオの選び方(資本配分線・資本市場線)を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM8のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM8には3つのLOSがあります。

  1. LOS 1:ポートフォリオ・リターンの期待値・分散・標準偏差・共分散・相関を計算・解釈・評価するcalculate, interpret, and evaluate the expected return, variance, standard deviation, covariance, and correlation of portfolio returns
  2. LOS 2:最小分散ポートフォリオと効率的フロンティア上のポートフォリオを記述・計算・解釈するdescribe, calculate, and interpret the minimum-variance portfolio and portfolios that lie on the efficient frontier
  3. LOS 3:投資家のリスク回避度と資本配分線に基づく最適ポートフォリオの選択と、それが市場ポートフォリオと資本市場線にどう拡張されるかを説明するexplain the selection of an optimal portfolio, given an investor’s risk aversion and the capital allocation line, and how this extends to the market portfolio and the capital market line

LM8のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • リターン・分散・共分散などのポートフォリオの統計量は、ポートフォリオ運用の基礎になる
  • 銘柄数を増やすと分散投資の効果は大きくなるが、一定の銘柄数を超えると追加的な効果は小さくなる
  • 最小分散ポートフォリオは、実現可能なポートフォリオの中で分散が最も小さく、効率的フロンティアの最下点にあたる
  • 効率的フロンティアは、各リスク水準で期待リターンが最大となるポートフォリオの集まりで、実現可能な領域の上側の境界にある
  • 投資家のリスクに対する態度は、リスク回避・リスク中立・リスク愛好に分けられ、リスク回避係数で表される
  • 資本配分線(CAL)はリスクフリー資産とリスク資産の組み合わせで得られるリスクとリターンの関係、資本市場線(CML)はそのリスク資産を市場ポートフォリオにした特別なケース
  • CAPMでは、資産の期待リターンはベータで測ったシステマティック・リスクだけで決まる
  • 伝統的なポートフォリオ理論には、正規分布の仮定、分散・共分散が安定しているという仮定、取引コストや税金などの現実の制約を考慮しない点といった限界がある

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:ポートフォリオの期待リターン・分散・標準偏差・共分散・相関を計算・解釈・評価する

期待リターンは各資産の加重平均ですが、リスク(分散)は加重平均になりません。資産どうしの共分散(相関)の項が加わり、相関が1未満なら組み合わせるだけでリスクが下がります。資産数を増やした等金額ポートフォリオの分散は、平均的な共分散に近づいていきます。

  • E(R_p) = Σ wᵢ E(Rᵢ)
  • σ²_p = w₁²σ₁² + w₂²σ₂² + 2w₁w₂ρσ₁σ₂
  • Cov = ρ σ₁ σ₂
  • 相関が高まるほど分散投資の効果は小さくなる
σ²_p = w₁²σ₁² + w₂²σ₂² + 2w₁w₂ρσ₁σ₂

LOS 2:最小分散ポートフォリオと効率的フロンティアを記述・計算・解釈する

ある期待リターンを達成する中でリスクが最小の組み合わせを結んだ線が最小分散フロンティア、その中でリスクが一番小さい点がグローバル最小分散ポートフォリオ、そこより上側の部分が効率的フロンティアです。合理的な投資家は効率的フロンティア上からしか選びません。

  • 効率的フロンティア:同じリスクで期待リターンが最大、同じリターンでリスクが最小
  • 2資産の最小分散の配分は相関と標準偏差で決まる
  • 効率的フロンティアの下側の部分は選ばれない

LOS 3:リスク回避度と資本配分線から最適ポートフォリオを選び、市場ポートフォリオと資本市場線に拡張する

投資家の好みは効用 U = E(r) − ½Aσ²(A=リスク回避度)で表し、同じ効用の組み合わせを結んだのが無差別曲線です。リスクフリー資産とリスク資産を組み合わせた直線が資本配分線(CAL)で、CALと無差別曲線の接点が最適ポートフォリオになります。全員が同じ見通しを持つと、最適なリスク資産は市場ポートフォリオになり、CALは資本市場線(CML)になります。

  • リスクフリー資産は分散0なので、効用は期待リターンだけで決まる(リスク回避度に関係ない)
  • CALの傾き=シャープ・レシオ。CAL上のどの点もシャープ・レシオは同じ
  • リスク回避度が高い投資家ほど、リスクフリー資産の比率を高める
  • CAPM:E(Rᵢ) = R_f + βᵢ[E(R_m) − R_f](SML)
U = E(r) − ½ A σ²

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