【CFA®︎ L1 Corporate Finance LM5】Capital Investments and Capital Allocation を要点解説|NPV・IRR・ROIC・リアル・オプション

Learning Module 5「Capital Investments and Capital Allocation(設備投資と資本配分)」は、設備投資の種類、資本配分のプロセスとNPV・IRR・ROICの計算と使い分け、資本配分の原則とよくある落とし穴、設備投資に関連するリアル・オプションの種類を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM5のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM5には4つのLOSがあります。
- LOS 1:設備投資の種類を説明するdescribe types of capital investments
- LOS 2:資本配分のプロセスを説明し、正味現在価値(NPV)、内部収益率(IRR)、投下資本利益率(ROIC)を計算し、資本配分におけるそれらの使い方を対比するdescribe the capital allocation process, calculate net present value (NPV), internal rate of return (IRR), and return on invested capital (ROIC), and contrast their use in capital allocation
- LOS 3:資本配分の原則と、資本配分でよくある落とし穴を説明するdescribe principles of capital allocation and common capital allocation pitfalls
- LOS 4:設備投資に関連するリアル・オプションの種類を説明するdescribe types of real options relevant to capital investments
LM5のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 企業は事業の維持・拡大のために設備投資を行い、リスクとリターンの特徴から、事業継続、規制・コンプライアンス対応、拡張、その他の4つに分類される
- 資本配分は、経営陣と取締役会が株主価値への貢献やESGなどを考慮して投資機会を評価するプロセス。単独では利益が出ても、代替案や全社戦略と比べて不経済な案件は見送り、資本を株主に還元すべき
- NPVはプロジェクトによる企業価値の増加を、IRRはプロジェクトの収益率を推定し、IRRはハードル・レートと比較される
- ROICはNPV・IRRと異なり全社ベースの指標で、外部のアナリストも入手できるデータで計算でき、投資家の要求収益率と比較される
- プロジェクトの評価では、税引後のキャッシュフローで測る、二重計上を避ける、既存事業への影響(コスト削減や既存製品の売上減少など)を含めるといった原則に従う
- 資本配分は行動バイアスや認知の誤りの影響を受けやすく、財務の時系列・比較分析やガバナンス・役員報酬の検討で発見できる
- リアル・オプションは、将来プロジェクトの時期・規模・価格設定・生産能力などを変更する権利(義務ではない)
- リアル・オプションを含むプロジェクトは、オプション価値からコストを差し引いた値をNPVに加えて評価するのが一般的で、より高度な方法に決定木やオプション価格モデルがある
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:設備投資の種類
設備投資は、リスクとリターンの特徴に基づいて事業継続プロジェクト、規制・コンプライアンス対応プロジェクト、拡張プロジェクト、その他の4つに分類されます。
- 事業継続:既存事業の維持・更新(老朽設備の取替えなど)、リスクは比較的低い
- 規制・コンプライアンス対応:規制当局などの要請による投資で、それ自体の収益性は低いことが多い
- 拡張:新製品・新市場など成長のための投資で、不確実性が高い
- その他:本業と関連の薄い投資など、分析が難しい
LOS 2:資本配分のプロセスとNPV・IRR・ROIC
資本配分は、アイデアの創出、投資案の分析、全社的な計画、事後監査などの段階で進みます。個別プロジェクトの評価にはNPVとIRR、全社の資本効率の評価にはROICを使います。
- NPV > 0 なら採用。NPVは企業価値の増加額
- IRR:NPVをゼロにする割引率。IRR > ハードル・レートなら採用
- 独立プロジェクトでは両者の判断は一致、相互排他的プロジェクトでは規模やタイミングの違いで食い違い得る。その場合はNPVを優先
- IRRの限界:IRRでの再投資を暗黙に仮定、複数のIRRや存在しない場合がある
- ROIC:税引後営業利益 ÷ 平均投下資本。資本コストを上回れば価値を創出
- ROICは会計数値に基づき、全社平均のため個別投資の評価には不向き
LOS 3:資本配分の原則と落とし穴
プロジェクトは会計利益ではなく税引後のキャッシュフローで評価し、タイミングや機会費用、既存事業への影響も反映します。資本配分は行動バイアスや認知の誤りによる落とし穴に陥りやすい点も押さえます。
- 税引後のキャッシュフローとそのタイミングで評価。機会費用は含め、埋没費用は含めない
- 資金調達コストは割引率に反映し、キャッシュフローからは除く
- 外部性:共食い(カニバリゼーション)など既存事業への影響を含める
- 落とし穴:前年とほぼ同じ予算配分を続ける惰性、資金の出所による判断の偏り
- 落とし穴:代替案や別の状況を検討しない、経営者のお気に入り案件(ペット・プロジェクト)
- 落とし穴:競合の反応など経済的な反応を分析に織り込まない
LOS 4:リアル・オプションの種類
リアル・オプションは、将来の状況に応じてプロジェクトを変更できる経営上の柔軟性で、権利であって義務ではありません。オプションを含めると、プロジェクトの価値は通常のNPVより高く評価されます。
- タイミング・オプション:投資の実行を遅らせる
- 規模のオプション:拡張オプションと撤退(放棄)オプション
- 柔軟性オプション:価格設定オプション、生産の柔軟性オプション
- 基本的オプション:プロジェクト全体がオプションの性格を持つ(資源価格に依存する鉱山など)
- 評価方法:オプション込みのNPV、決定木、オプション価格モデル
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