【CFA®︎ L1 Corporate Finance LM4】Working Capital and Liquidity を要点解説|キャッシュ・コンバージョン・サイクル・流動性・運転資本管理

Learning Module 4「Working Capital and Liquidity(運転資本と流動性)」は、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの意味と発行体間の比較、流動性の源泉と流動性水準の比較、運転資本と流動性を管理する目的と方法を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM4のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM4には3つのLOSがあります。
- LOS 1:キャッシュ・コンバージョン・サイクルを説明し、発行体間のキャッシュ・コンバージョン・サイクルを比較するexplain the cash conversion cycle and compare issuers’ cash conversion cycles
- LOS 2:流動性を説明し、発行体間の流動性の水準を比較するexplain liquidity and compare issuers’ liquidity levels
- LOS 3:運転資本と流動性の管理における発行体の目的を説明し、その管理方法を比較するdescribe issuers’ objectives and compare methods for managing working capital and liquidity
LM4のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- キャッシュ・コンバージョン・サイクルは、サプライヤーへの支払いから顧客からの現金回収までの期間
- キャッシュ・コンバージョン・サイクルは在庫日数と売上債権回転日数の合計から買入債務回転日数を差し引いて求め、短いほど在庫への投資を早く現金化できる
- 顧客からの回収を早める、サプライヤーへの支払いを遅らせる、売上に対する在庫を減らすことで、サイクルは短縮される
- 運転資本は短期資産から短期負債を差し引いたもの。純運転資本は現金・有価証券・短期借入金などの非営業項目を調整したもので、その対売上比率はサイクルの長さと密接に関係する
- 流動性は主に短期資産と短期負債の相対的な大きさと流動性で決まり、それはビジネスモデルに左右される。長期的な主な流動性の源泉は営業キャッシュフロー
- 株式発行、契約の再交渉、資産売却、破産保護の申請などの二次的な流動性の源泉は、主に危機時に使われ大きなコストを伴う
- 回収不能な債権や陳腐化した在庫などの流動性のドラッグと、支払いの早期化や与信の中断などの流動性のプルが流動性に影響する
- 運転資本管理には保守的・中庸・積極的なアプローチがあり、保有する運転資本の量、外部資金への依存、短期・長期資金の構成が異なる
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:キャッシュ・コンバージョン・サイクル
キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)は、仕入の支払いから販売代金の回収までの日数です。在庫日数(DOH)と売上債権回転日数(DSO)の合計から買入債務回転日数(DPO)を引いて求め、短いほど運転資本の負担が小さくなります。
- DOH = 在庫 ÷(売上原価 ÷ 365)
- DSO = 売掛金 ÷(売上高 ÷ 365)
- DPO = 買掛金 ÷(仕入高 ÷ 365)
- 短縮の方法:回収の早期化、支払いの繰り延べ、在庫の削減
- CCCが長いほど純運転資本の対売上比率は高い
- 比較は業種・ビジネスモデルの違いを踏まえて行う
LOS 2:流動性の源泉と水準の比較
流動性は、短期の支払い義務を期日どおりに履行できる能力です。一次的な源泉(手元現金、短期の資金、営業キャッシュフロー)と、コストの大きい二次的な源泉を区別し、流動性のドラッグとプルにも注意します。
- 一次的な源泉:現金・短期投資、銀行の与信枠、営業キャッシュフロー
- 二次的な源泉:株式発行、契約の再交渉、資産売却、破産保護の申請
- ドラッグ:現金流入の減少(回収不能な債権、陳腐化した在庫など)
- プル:現金流出の加速(支払いの早期化、与信の中断など)
- 流動性比率:流動比率、当座比率、現金比率
LOS 3:運転資本と流動性の管理方法
運転資本管理の目的は、十分な流動性を確保しつつ、運転資本の保有と資金調達のコストを抑えることです。アプローチは保守的・中庸・積極的に分かれ、短期資金の調達手段にも複数の選択肢があります。
- 保守的:運転資本を多く保有し、長期資金で賄う(流動性は高いがコスト高)
- 積極的:運転資本を少なく保有し、短期資金への依存が大きい(コストは低いが借換えリスク)
- 中庸:両者の中間
- 短期の資金調達:与信枠(非コミット型・コミット型・リボルビング)、コマーシャル・ペーパー、ファクタリング、担保付き借入
- 仕入先の早期支払い割引を利用しない場合の実質的なコストの評価
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