【CFA®︎ L1 Corporate Finance LM3】Corporate Governance: Conflicts, Mechanisms, Risks, and Benefits を要点解説|エージェンシー問題・ガバナンスの仕組み・リスクと便益

Learning Module 3「Corporate Governance: Conflicts, Mechanisms, Risks, and Benefits(コーポレート・ガバナンス)」は、プリンシパル・エージェント関係とステークホルダー間の利益相反、利害を調整しリスクを軽減するコーポレート・ガバナンスの仕組み、不十分なガバナンスのリスクと効果的なガバナンスの便益を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM3のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM3には3つのLOSがあります。
- LOS 1:プリンシパル・エージェント関係と、ステークホルダー・グループ間で生じ得る利益相反を説明するdescribe the principal-agent relationship and conflicts that may arise between stakeholder groups
- LOS 2:コーポレート・ガバナンスと、ステークホルダーとの関係を管理し関連するリスクを軽減する仕組みを説明するdescribe corporate governance and mechanisms to manage stakeholder relationships and mitigate associated risks
- LOS 3:不十分なコーポレート・ガバナンスとステークホルダー管理の潜在的なリスク、および効果的なコーポレート・ガバナンスとステークホルダー管理の便益を説明するdescribe potential risks of poor corporate governance and stakeholder management and benefits of effective corporate governance and stakeholder management
LM3のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- プリンシパル・エージェント関係は、一方(プリンシパル)が他方(エージェント)に業務を委託することで生じ、契約の有無を問わない。エージェントはプリンシパルの最善の利益のために行動することが期待される
- エージェントがより多くの情報を持つことが多く、両者の利害が一致しないときに利益相反が生じる
- 企業では、株主(プリンシパル)が取締役(エージェント)を選任し、取締役が経営陣(さらなるエージェント)を任命して株主価値の最大化を託す
- ガバナンスの構造は、各ステークホルダーの権利・責任・権限のバランスを取りながら企業目的を達成するように設計する必要がある
- 健全なガバナンスの仕組みには、財務報告、定時・臨時株主総会、報酬、財務制限条項などが含まれる
- 弱いガバナンスや管理されない利益相反は競争上の不利につながり、強いガバナンスは競争力・業務効率・統制・業績の向上につながる
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:プリンシパル・エージェント関係と利益相反
株主(プリンシパル)と経営者(エージェント)の間では、情報の非対称性と利害の不一致からエージェンシー問題が生じます。株主と経営者の対立のほか、支配株主と少数株主、株主と債権者などの対立も押さえます。
- 株主と経営者:努力不足、帝国建設(過度な規模拡大)、保身、リスクの過大・過小な取得、過大な報酬
- 支配株主と少数株主:関連当事者取引、種類株式(複数議決権)による支配
- 株主と債権者:株主はリスクの高い投資・高配当を好み、債権者は不利益
- 株主と取締役:独立性の欠如、経験・知識の不足
- その他:顧客、サプライヤー、従業員、政府との利害の対立
LOS 2:コーポレート・ガバナンスの仕組み
コーポレート・ガバナンスは、企業を統制・管理する仕組みと手続きです。株主の仕組み、債権者の仕組み、取締役会と委員会、報酬、従業員・顧客・サプライヤーとの契約、規制などを組み合わせて利害を調整します。
- 株主の仕組み:財務報告と透明性、株主総会(普通決議・特別決議)、委任状による議決権行使、株主アクティビズム、代表訴訟、敵対的買収
- 累積投票:少数株主が取締役を選任しやすくなる投票方式
- 債権者の仕組み:社債契約(インデンチャー)、財務制限条項(コベナンツ)、担保
- 取締役会の委員会:監査、ガバナンス、報酬、指名、リスク、投資
- 報酬の仕組み:業績連動報酬、株式報酬による利害の一致
- その他:労働法・雇用契約、顧客・サプライヤーとの契約、規制当局
LOS 3:ガバナンスのリスクと便益
不十分なガバナンスは、統制の弱さ、非効率な意思決定、法的・規制・評判リスク、デフォルトや倒産のリスクを高めます。効果的なガバナンスは、業務効率・統制の改善、業績の向上、資本コストの低下につながります。
- リスク:内部統制の弱さによる不正や不適切な報告
- リスク:経営者に有利な意思決定、株主価値の毀損
- リスク:訴訟・規制上の処分・評判の低下
- リスク:債務不履行・倒産の可能性の上昇
- 便益:業務効率と統制プロセスの改善、競争力と業績の向上
- 便益:デフォルト・リスクと負債コストの低下、企業価値の向上
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