Learning Module 3「Portfolio Management: An Overview(ポートフォリオ・マネジメントの概要)」は、ポートフォリオで投資する意義、ポートフォリオ・マネジメントのプロセス、個人・機関投資家の種類と特徴、確定拠出年金と確定給付年金、資産運用業界の構造、そして投資信託と他の集団投資商品の比較を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM3のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM3には6つのLOSがあります。

  1. LOS 1:投資へのポートフォリオ・アプローチを説明するdescribe the portfolio approach to investing
  2. LOS 2:ポートフォリオ・マネジメント・プロセスの各段階を説明するdescribe the steps in the portfolio management process
  3. LOS 3:投資家の種類と、それぞれの特徴とニーズを説明するdescribe types of investors and distinctive characteristics and needs of each
  4. LOS 4:確定拠出年金制度と確定給付年金制度を説明するdescribe defined contribution and defined benefit pension plans
  5. LOS 5:資産運用業界の諸側面を説明するdescribe aspects of the asset management industry
  6. LOS 6:投資信託を説明し、他の集団投資商品と比較するdescribe mutual funds and compare them with other pooled investment products

LM3のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 個別証券に投資するより、ポートフォリオとして投資するアプローチの方が望ましい場合が多い
  • 個別証券だけに注目すると、すべての卵を1つのかごに盛ることになりかねない
  • ポートフォリオは重要な分散効果をもたらし、リターンを必ずしも損なわずにリスクを減らせる
  • 顧客のニーズを理解し投資方針書(IPS)を作成することがポートフォリオ・マネジメント・プロセスの最初の段階で、アセット・アロケーション、証券分析、ポートフォリオ構築、モニタリングとリバランス、パフォーマンスの測定と報告がそれに続く
  • 投資家には個人投資家と機関投資家があり、機関投資家には確定給付年金、エンダウメントと財団、銀行、保険会社、政府系ファンドなどが含まれる
  • 資産運用業界は世界の金融サービスに欠かせない構成要素で、運用会社はアクティブ運用、パッシブ運用、またはその両方を提供する。伝統的運用会社とオルタナティブ運用会社の境界は曖昧になっている
  • 業界の主要なトレンドは、パッシブ運用の拡大、運用プロセスでのビッグデータの活用、ウェルス・マネジメントにおけるロボ・アドバイザーの普及
  • 投資家は、投資信託、個別口座(SMA)、ETF、ヘッジファンド、プライベート・エクイティ・ベンチャー・キャピタル・ファンドなど多様な投資商品を利用する

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:ポートフォリオ・アプローチ

個別証券の良し悪しだけで判断するのではなく、ポートフォリオ全体のリスクとリターンで投資を考えるのがポートフォリオ・アプローチです。分散によって、期待リターンを大きく損なわずにリスクを下げられます。

  • 分散により個別リスクを低減
  • 分散比率=ポートフォリオの標準偏差 ÷ 個別証券の(平均的な)標準偏差
  • 分散効果は市場の急落時には弱まり得る(相関の上昇)
  • 市場の急落時の損失を必ずしも防げない
  • 近代ポートフォリオ理論(MPT)が理論的な基礎

LOS 2:ポートフォリオ・マネジメント・プロセス

ポートフォリオ・マネジメントは、計画実行フィードバックの3段階から成ります。計画段階で顧客を理解してIPSを作成し、実行段階でアセット・アロケーションと証券選択を行い、フィードバック段階でモニタリング・リバランスとパフォーマンス評価を行います。

  • 計画:顧客のニーズの理解、投資方針書(IPS)の作成
  • 実行:アセット・アロケーション、証券分析、ポートフォリオ構築
  • フィードバック:モニタリングとリバランス、パフォーマンスの測定と報告
  • IPSは顧客の目的(リスク・リターン)と制約を明記
  • トップダウンとボトムアップの証券分析

LOS 3:投資家の種類と特徴

投資家は個人機関投資家に分かれ、機関投資家には年金、エンダウメント・財団、銀行、保険会社、政府系ファンドなどがあります。それぞれリスク許容度、投資期間、流動性ニーズ、収入ニーズ、規制が異なります。

  • 個人:ライフステージに応じてニーズが変化、リスク許容度・期間はさまざま
  • 確定給付年金:投資期間が長く、流動性ニーズは加入者の年齢構成に依存
  • エンダウメント・財団:投資期間が非常に長い、支出ルールに基づく支払い
  • 銀行:短期・流動性重視、負債とのマッチング、リスク許容度は低い
  • 保険会社:損保は短期・流動性重視、生保は長期、いずれもリスク許容度は低め
  • 政府系ファンド:長期、目的に応じて多様

LOS 4:確定拠出年金と確定給付年金

確定拠出年金(DC)は拠出額が決まっていて給付は運用成果に依存し、運用リスクは加入者(従業員)が負います。確定給付年金(DB)は将来の給付額が約束され、運用リスクはスポンサー(企業)が負います。

  • DC:拠出額が確定、加入者が運用を選択しリスクを負う
  • DC:持ち運び(ポータビリティ)が容易
  • DB:給付額が確定、スポンサーが積立不足のリスクを負う
  • DB:年金資産を一括して運用、長期の投資期間
  • DBの積立状況は資産と負債(給付債務)の比較で判断

LOS 5:資産運用業界

資産運用会社は、アクティブ運用パッシブ運用の提供や、伝統的オルタナティブの区分で分類されます。業界では、パッシブ運用の拡大、ビッグデータの活用、ロボ・アドバイザーの普及が主要なトレンドです。

  • バイサイド(運用会社)とセルサイド(証券会社など)
  • アクティブ運用:ベンチマークを上回ることを目指す、報酬が高い
  • パッシブ運用:指数に連動、低コスト、市場シェアが拡大
  • 伝統的運用会社とオルタナティブ運用会社の境界は曖昧化
  • 業界の集約化(規模の経済)
  • ロボ・アドバイザー:自動化された低コストの助言サービス

LOS 6:投資信託と他の集団投資商品

投資信託(ミューチュアル・ファンド)は多数の投資家の資金を集めて専門家が運用する商品で、オープンエンド型クローズドエンド型があります。ほかにETF個別口座(SMA)、ヘッジファンド、プライベート・エクイティ・ファンドなどがあり、流動性・コスト・透明性・カスタマイズ性が異なります。

  • オープンエンド型:純資産価値(NAV)で随時設定・解約
  • クローズドエンド型:口数が固定、市場で売買、NAVから乖離し得る
  • ロード(販売手数料あり)とノーロード
  • ETF:取引所で売買、低コスト、税務上の効率が高い傾向
  • SMA:投資家ごとに個別運用、カスタマイズ・税務管理が可能、最低投資額が高い
  • ヘッジファンド・PEファンド:私募、流動性が低い、報酬が高い

効率よく学ぶには FA-Academy

CFA®︎の協会テキストは英語で分量も多く、1つひとつの単元を英語だけで理解していくのは大きな負担です。

FA-Academy(Financial Analyst Academy)は、日本語で学べる数少ないCFA®︎試験サポートです。これまで Level 1 から Level 3 まで多くの合格者を輩出しており、合格者の方々との対談も数多く公開しています。どんな方が、どのように合格されたのかは合格者対談・合格体験談の一覧からご覧いただけます。