【CFA®︎ L1 Portfolio Construction LM4】Basics of Portfolio Planning and Construction を要点解説|投資方針書(IPS)・リスク許容度・投資制約・アセット・アロケーション・ESG

Learning Module 4「Basics of Portfolio Planning and Construction(ポートフォリオの計画と構築の基礎)」は、投資方針書(IPS)の目的と構成要素、リスク・リターン目標、リスクを取る意思と能力、投資制約、資産クラスの定義、ポートフォリオ構築の原則とアセット・アロケーションの役割、そしてESGの組み込み方を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM4のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM4には8つのLOSがあります。
- LOS 1:文書化された投資方針書(IPS)が必要な理由を説明するdescribe the reasons for a written investment policy statement (IPS)
- LOS 2:IPSの主要な構成要素を説明するdescribe the major components of an IPS
- LOS 3:リスク目標とリターン目標を説明し、顧客のためにそれらをどのように設定するかを説明するdescribe risk and return objectives and how they may be developed for a client
- LOS 4:投資家の財務的なリスク許容度の分析において、リスクを取る意思とリスクを取る能力(キャパシティ)の違いを説明するexplain the difference between the willingness and the ability (capacity) to take risk in analyzing an investor’s financial risk tolerance
- LOS 5:流動性、投資期間、税金、法的・規制上の要因、固有の事情という投資制約と、それらがポートフォリオの資産選択に与える影響を説明するdescribe the investment constraints of liquidity, time horizon, tax concerns, legal and regulatory factors, and unique circumstances and their implications for the choice of portfolio assets
- LOS 6:アセット・アロケーションとの関連で、資産クラスの定義を説明するexplain the specification of asset classes in relation to asset allocation
- LOS 7:ポートフォリオ構築の原則と、IPSとの関係におけるアセット・アロケーションの役割を説明するdescribe the principles of portfolio construction and the role of asset allocation in relation to the IPS
- LOS 8:環境・社会・ガバナンス(ESG)の考慮をポートフォリオの計画と構築にどのように組み込めるかを説明するdescribe how environmental, social, and governance (ESG) considerations may be integrated into portfolio planning and construction
LM4のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- IPSはポートフォリオ・マネジメント・プロセスの出発点で、顧客の状況と要件を十分に理解しなければ良い結果は得にくい
- IPSの形式はさまざまだが、典型的には顧客の投資目的と、ポートフォリオに適用される制約を記載する
- 顧客の目的はリスク許容度とリターン要件で表され、リスク目標・リターン目標はいずれも絶対的、相対的、またはその組み合わせで定められる
- 全体のリスク許容度は、リスクを取る能力とリスクを取る意思(リスクに対する態度)の両方で決まる
- 制約には、流動性、投資期間、法規制、税務上の地位、固有のニーズがあり、ESGに関する顧客の考えにより特定の企業・国・証券を投資対象やベンチマークから除外することもある
- 資産クラスはアセット・アロケーションの構成要素で、特徴・性質・リスクとリターンの関係が似た資産の区分。戦略的アセット・アロケーションは、IPSの目的と制約に資産クラスの資本市場予想を組み合わせて決まる
- 時間とともに配分は目標から乖離するため、許容乖離幅とリバランス方針を定める。投資委員会は、システマティック・リスクに加えて戦術的アセット・アロケーションや証券選択のリスクを取ることもある
- ESGは、ネガティブ・スクリーニング、ポジティブ・スクリーニング、ESGインテグレーション、テーマ投資、エンゲージメント(積極的な株主行動)、インパクト投資といった方法でポートフォリオの計画と構築に組み込める
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:IPSを文書化する理由
投資方針書(IPS)は、顧客と運用者の間で投資の目的・制約・運用方針を明文化した文書です。IPSにより顧客のニーズを明確にし、運用の一貫性を保ち、運用者が交代しても方針を引き継ぐことができます。
- ポートフォリオ・マネジメント・プロセスの出発点
- 顧客の目的と制約を明確化し、共通理解を形成
- 運用の規律と一貫性の確保
- パフォーマンス評価の基準を提供
- 定期的(または状況変化時)に見直す
LOS 2:IPSの主要な構成要素
典型的なIPSは、目的の記述、当事者の責任、手続き、投資目的(リスク・リターン)、投資制約、投資ガイドライン、評価と見直しの方法などから構成されます。中心となるのは目的と制約の2つです。
- はじめに(顧客の概要)と目的の記述
- 顧客・運用者などの義務と責任
- 手続き(IPSの改訂手順など)
- 投資目的:リターン目標とリスク目標
- 投資制約:流動性、投資期間、税金、法規制、固有の事情
- 投資ガイドライン、評価と見直し、付録(戦略的アセット・アロケーション、リバランス方針など)
LOS 3:リスク目標とリターン目標の設定
リスク目標は顧客のリスク許容度を反映したポートフォリオのリスクの指定で、絶対的(例:標準偏差や最大損失)にも相対的(例:トラッキング・エラー)にも定められます。リターン目標も絶対的または相対的に定め、リスク目標と整合している必要があります。
- 絶対的リスク目標:標準偏差、バリュー・アット・リスク、損失の限度
- 相対的リスク目標:ベンチマークに対するトラッキング・エラー
- 絶対的リターン目標:例 名目・実質で一定の利回り
- 相対的リターン目標:ベンチマークを一定幅上回る
- リターン目標は、必要なリターンとリスク許容度の両面から現実的に設定
LOS 4:リスクを取る意思と能力
リスクを取る能力(capacity)は、投資期間、資産に対する支出ニーズ、資産規模、収入の安定性など客観的な状況で決まります。リスクを取る意思(willingness)は顧客の心理的な態度で、両者が食い違う場合は通常、低い方に合わせます。
- 能力:投資期間の長さ、資産規模、支出ニーズに対する余裕、収入の安定性
- 意思:心理的なリスク選好、質問票や面談で評価
- 能力も意思も高い:高いリスク許容度
- 意思が能力を上回る:能力に合わせ、低い方を採用
- 能力が意思を上回る:意思に合わせつつ、顧客への説明(教育)を検討
LOS 5:投資制約
投資制約は、流動性、投資期間、税金、法的・規制上の要因、固有の事情の5つです。これらは、投資できる資産や配分の選択肢を狭める条件として働きます。
- 流動性:ポートフォリオから現金を引き出す必要性、非流動資産の比率を制限
- 投資期間:長いほどリスク資産や非流動資産を持ちやすい、複数段階の場合もある
- 税金:課税・非課税の地位、税効率の高い資産・口座の選択
- 法的・規制上の要因:年金・保険会社などへの規制、インサイダーの売買制限
- 固有の事情:宗教・倫理上の制約、ESGに基づく除外、特定の資産の集中
LOS 6:資産クラスの定義
資産クラスは、特徴やリスク・リターンの関係が似た資産のまとまりで、アセット・アロケーションの構成単位です。資産クラスは、クラス内では相関が高く、クラス間では相関が低いように定義するのが望ましいとされます。
- 伝統的な資産クラス:現金、株式、債券
- クラス内の資産は類似し、相関が高い
- クラス間の相関は低く、分散効果がある
- 重複せず、合わせて投資可能な全体をカバー
- 細分化:国内・海外株式、国債・社債、オルタナティブなど
LOS 7:ポートフォリオ構築の原則とアセット・アロケーション
戦略的アセット・アロケーション(SAA)は、IPSの目的・制約と資本市場予想を組み合わせて決める長期的な資産配分です。そこから意図的に乖離させる戦術的アセット・アロケーションや証券選択は、アクティブ・リスクとして管理されます。
- SAA:システマティック・リスクの取り方を決める長期的な目標配分
- リバランス方針:許容乖離幅(コリドー)と見直しのルール
- 戦術的アセット・アロケーション:短期的な見通しに基づく配分の調整
- 証券選択:資産クラス内でのアクティブ運用
- リスク・バジェット:アクティブ・リスクの総量と配分
- コア・サテライト:パッシブ運用のコアとアクティブ運用のサテライトの組み合わせ
LOS 8:ESGの組み込み
ESGの考慮は、IPSの固有の事情などに記載され、投資対象の選定、議決権などの株主権の行使、投資戦略の選択に反映されます。代表的な手法には、除外・選別型のスクリーニングから、エンゲージメントやインパクト投資まで複数の方法があります。
- ネガティブ・スクリーニング:特定の企業・業種・国を除外
- ポジティブ・スクリーニング(ベスト・イン・クラス):ESG評価の高い企業を選択
- ESGインテグレーション:ESG要因を財務分析に体系的に組み込む
- テーマ投資:気候変動などのテーマに沿った投資
- エンゲージメント(積極的な株主行動):対話や議決権行使を通じて企業に働きかける
- インパクト投資:財務リターンとともに測定可能な社会・環境面の効果を目指す
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CFA®︎の協会テキストは英語で分量も多く、1つひとつの単元を英語だけで理解していくのは大きな負担です。
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