Learning Module 1「Pricing and Valuation of Forward Commitments(フォワード・コミットメントの価格と価値)」は、キャリー・アービトラージ・モデルによる株式・金利・債券のフォワードと先物の価格と価値、金利スワップ・通貨スワップ・株式スワップの価格と価値を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM1のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM1には7つのLOSがあります。

  1. LOS 1:株式フォワードと株式先物の価格付けの方法を記述し、それらの無裁定価値を計算・解釈するdescribe how equity forwards and futures are priced, and calculate and interpret their no-arbitrage value
  2. LOS 2:原資産からのキャッシュフローがない場合とある場合のキャリー・アービトラージ・モデルを記述するdescribe the carry arbitrage model without underlying cash flows and with underlying cash flows
  3. LOS 3:金利フォワードと金利先物の価格付けの方法を記述し、それらの無裁定価値を計算・解釈するdescribe how interest rate forwards and futures are priced, and calculate and interpret their no-arbitrage value
  4. LOS 4:債券フォワードと債券先物の価格付けの方法を記述し、それらの無裁定価値を計算・解釈するdescribe how fixed-income forwards and futures are priced, and calculate and interpret their no-arbitrage value
  5. LOS 5:金利スワップの価格付けの方法を記述し、その無裁定価値を計算・解釈するdescribe how interest rate swaps are priced, and calculate and interpret their no-arbitrage value
  6. LOS 6:通貨スワップの価格付けの方法を記述し、その無裁定価値を計算・解釈するdescribe how currency swaps are priced, and calculate and interpret their no-arbitrage value
  7. LOS 7:株式スワップの価格付けの方法を記述し、その無裁定価値を計算・解釈するdescribe how equity swaps are priced, and calculate and interpret their no-arbitrage value

LM1のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • フォワード・コミットメントの価格は、裁定機会が生じないように、原資産を買って保有するコストと便益(キャリー)から決まる
  • フォワード価格は契約時に価値がゼロとなるように設定され、契約後の価値は新しいフォワード価格と当初価格の差の現在価値で表される
  • 原資産に配当や利息などのキャッシュフローがある場合は、その現在価値を差し引いて(または将来価値を差し引いて)価格を求める
  • FRAの固定金利は無裁定のフォワード・レートで、契約後の価値は金利の変化を反映した差額の現在価値
  • 債券先物では経過利息とクーポン、受渡しに使う債券の転換係数を考慮する
  • スワップはフォワード契約の組み合わせとみなせ、スワップ・レートは契約時の価値をゼロにする固定金利
  • 通貨スワップ・株式スワップも、各レッグの現在価値の差として評価する

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:株式フォワード・先物の価格と価値

株式フォワードの価格は、現在の株価に資金調達コストを加え、配当の価値を差し引いて求めます。契約後の価値は、現在の株価から配当の現在価値と当初フォワード価格の現在価値を差し引いたものです。

  • 契約時の価値はゼロ
  • F₀ =(S₀ − PVD)×(1 + r)ᵀ
  • 連続配当利回り:F₀ = S₀ × e^((r − δ)T)
  • ロングの価値:Vₜ = Sₜ − PVDₜ − F₀ ÷(1 + r)^(T−t)
  • 先物は日々値洗いされ、価値はゼロにリセット
Vₜ(ロング)= PV[Fₜ − F₀]=(Fₜ − F₀)÷(1 + r)^(T−t)

LOS 2:キャリー・アービトラージ・モデル

キャリー・アービトラージ・モデルでは、原資産を借入で購入して保有し、フォワードを売ることで無リスクのポジションを作ります。原資産にキャッシュフローがない場合、フォワード価格は現物価格の将来価値です。キャッシュフローがある場合は、その分を差し引きます。

  • キャッシュフローなし:F₀ = S₀ ×(1 + r)ᵀ
  • キャッシュフローあり:F₀ =(S₀ − PV(CF))×(1 + r)ᵀ
  • 保管費用などのコストは加算
  • F₀が高すぎる:現物買い・フォワード売り(キャッシュ・アンド・キャリー)
  • F₀が低すぎる:現物売り・フォワード買い(リバース)
F₀ = S₀ ×(1 + r)ᵀ

LOS 3:金利フォワード(FRA)・金利先物の価格と価値

FRAの固定金利は、スポット・レートから導かれる無裁定のフォワード・レートです。契約後の価値は、新しいFRAレートと当初の固定金利の差に想定元本と期間を掛け、決済日までの金利で割り引いたものです。

  • FRAのロング:変動金利を受け取り固定金利を支払う(金利上昇で利益)
  • FRAレート=期間に対応するフォワード・レート
  • 決済は期初に割引した額で行うのが一般的
  • 金利先物の価格 = 100 − 先物の金利
  • 金利先物とFRAの違い:値洗い、コンベクシティ・バイアス
FRAの価値(ロング)=[(FRAₜ − FRA₀)× 期間 × 想定元本]÷(1 + 割引率 × 期間)

LOS 4:債券フォワード・先物の価格と価値

債券先物の価格は、債券の現在価格(経過利息を含む)の将来価値から、保有期間中のクーポンの将来価値と満期時の経過利息を差し引いて求めます。受渡し可能な債券が複数ある場合は転換係数(CF)で調整した最割安受渡銘柄が基準になります。

  • クリーン価格とダーティ価格(経過利息を含む)
  • 保有期間中のクーポンの将来価値を控除
  • 転換係数で受渡銘柄を調整
  • 最割安受渡銘柄(CTD)
  • 値洗いにより先物の価値は日次でゼロにリセット
Q₀(先物価格)=[1 ÷ CF]×[FV(S₀ + AI₀)− AI_T − FVCI]

LOS 5:金利スワップの価格と価値

金利スワップは一連のFRAの組み合わせとみなせます。スワップ・レートは、固定レッグと変動レッグの現在価値が等しくなる固定金利で、割引係数を使って求めます。契約後の価値は、新旧スワップ・レートの差の年金現在価値です。

  • スワップ・レート =(1 − 最終割引係数)÷ 割引係数の合計
  • 固定払い:金利上昇で価値上昇
  • 固定受け:金利低下で価値上昇
  • 契約時の価値はゼロ
固定受けの価値 = 想定元本 ×(FS₀ − FSₜ)× Σ PVₜ,ᵢ

LOS 6:通貨スワップの価格と価値

通貨スワップの固定金利は、各通貨のスポット・レートから、それぞれの通貨の債券がパーとなる固定金利として求めます。契約後の価値は、各通貨のレッグの現在価値を現在の為替レートで一方の通貨に換算して差をとります。

  • 各通貨の固定金利=その通貨のスワップ・レート
  • 想定元本は契約時の為替レートで交換
  • 元本の交換(期初・満期)
  • 価値 = 受取レッグのPV − 支払レッグのPV(同一通貨換算)
各通貨の固定金利 =(1 − 最終割引係数)÷ 割引係数の合計

LOS 7:株式スワップの価格と価値

株式スワップでは、一方が株式(指数)のリターンを支払い、他方が固定または変動金利を支払います。固定金利は金利スワップと同じ方法で求め、契約後の価値は株式レッグと金利レッグの価値の差です。

  • 株式リターンを受け取り固定金利を支払う形が典型
  • 固定金利は金利スワップのスワップ・レートと同じ
  • 株式レッグの価値 =(Sₜ ÷ Sₜ₋₁)× 想定元本
  • 固定レッグの価値:固定利付債として評価
  • 株価下落時は株式リターンの受け手が支払う
株式受け・固定払いの価値 =(Sₜ ÷ Sₜ₋₁)× 想定元本 − 固定レッグの現在価値

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