Learning Module 2「Swaps, Forwards, and Futures Strategies(スワップ・フォワード・先物の戦略)」は、金利・通貨・株式のスワップ、フォワード、先物によるポートフォリオのリスク・リターンの調整、ボラティリティ・デリバティブと分散スワップ、目標エクスポージャーの実現、アセット・アロケーションとリバランス、デリバティブからの市場予想の推定を扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM2のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM2には6つのLOSがあります。

  1. LOS 1:金利スワップ、フォワード、先物を使ってポートフォリオのリスクとリターンを調整する方法を示すdemonstrate how interest rate swaps, forwards, and futures can be used to modify a portfolio’s risk and return
  2. LOS 2:通貨スワップ、フォワード、先物を使ってポートフォリオのリスクとリターンを調整する方法を示すdemonstrate how currency swaps, forwards, and futures can be used to modify a portfolio’s risk and return
  3. LOS 3:株式スワップ、フォワード、先物を使ってポートフォリオのリスクとリターンを調整する方法を示すdemonstrate how equity swaps, forwards, and futures can be used to modify a portfolio’s risk and return
  4. LOS 4:ボラティリティ・デリバティブと分散スワップの利用方法を示すdemonstrate the use of volatility derivatives and variance swaps
  5. LOS 5:目標とする株式・金利のリスク・エクスポージャーを実現するためのデリバティブの利用を示すdemonstrate the use of derivatives to achieve targeted equity and interest rate risk exposures
  6. LOS 6:アセット・アロケーション、リバランス、市場予想の推定におけるデリバティブの利用を示すdemonstrate the use of derivatives in asset allocation, rebalancing, and inferring market expectations

LM2のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 金利・通貨・株式のスワップ、フォワード、先物は、ポートフォリオのキャッシュフローの特性を変えることでリスクとリターンを調整できる
  • 金利スワップでは固定金利と変動金利を交換し、固定(変動)のリスクや債務を実質的に変動(固定)に転換できる
  • 債券先物で金利リスクをヘッジする場合、ポートフォリオと目標のBPV、最割安銘柄(CTD)のBPVと交換比率(CF)から必要枚数を求める
  • クロス・カレンシー・ベーシス・スワップを使えば、自国通貨で有利に資金調達し、必要な外貨に交換できる
  • 株式スワップには株式リターン受け・固定払い、株式リターン受け・変動払い、株式リターン受け・他の株式リターン払いの3種類がある。トータル・リターン・スワップは配当も含む
  • キャッシュ・エクイタイゼーションは、意図せず保有している現金を株価指数先物などで株式化してリターンを高める戦略
  • VIX先物・オプションや分散スワップで、インプライド・ボラティリティや実現ボラティリティへの見通しを表現できる
  • CPIスワップはインフレ予想、VIX先物はボラティリティ予想、FF金利先物は次回FOMCでの政策金利変更の確率の推定に使える

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:金利デリバティブによるリスク・リターンの調整

金利スワップで固定受けにするとポートフォリオのデュレーションが伸び、固定払いにすると短くなります。短期の金利先物やFRA、長期の債券先物でも金利エクスポージャーを調整できます。

  • 固定受け・変動払いスワップ:デュレーションを延ばす
  • 固定払い・変動受けスワップ:デュレーションを縮める
  • 債券先物:ポートフォリオと目標のBPVの差を、CTDのBPVと交換比率(CF)で先物枚数に換算
  • 短期金利先物・FRA:短期金利の変動をヘッジ
BPVHR = (BPV_T − BPV_P) / BPV_CTD × CF

LOS 2:通貨デリバティブによるリスク・リターンの調整

通貨フォワード・先物で外貨建て資産の為替リスクをヘッジできます。クロス・カレンシー・ベーシス・スワップは、元本と金利を異なる通貨で交換し、外貨の資金調達や為替リスクの管理に使います。

  • 通貨フォワード:外貨の売り予約で為替リスクをヘッジ
  • クロス・カレンシー・ベーシス・スワップ:期初と期末に元本を交換し、期中は各通貨の変動金利を交換
  • 自国通貨で有利に調達し、必要な外貨に交換できる
  • ベーシス:カバー付き金利平価からの乖離を反映

LOS 3:株式デリバティブによるリスク・リターンの調整

株式スワップ株価指数先物を使えば、現物を売買せずに株式エクスポージャーを増減できます。先物の必要枚数はベータの差と先物価格から求めます。

  • 株式スワップの3種類:株式リターン受け・固定払い、株式リターン受け・変動払い、株式リターン受け・他の株式リターン払い
  • トータル・リターン・スワップ:配当も含めたリターンを交換
  • 株価指数先物:取引所上場・標準化、満期時は現金決済
  • ベータを目標値に調整するための枚数計算
N_f = (β_T − β_S) / β_f × (S / F)

LOS 4:ボラティリティ・デリバティブと分散スワップ

VIX先物・オプションはインプライド・ボラティリティの変化に対する見通しを表現します。分散スワップは、実現分散と契約時の分散ストライクの差を、分散ノーショナルに掛けて決済します。

  • VIXオプションの価格はVIX先物から決まる
  • VIX先物で、インプライド・ボラティリティの変化の時期と大きさに対する見通しを表現
  • 分散スワップの買い手:実現分散がストライクを上回れば利益
  • 分散ノーショナル = ベガ・ノーショナル ÷(2×ボラティリティ・ストライク)
  • インプライドと実現ボラティリティの差に賭けられる
分散スワップの決済額 = 分散ノーショナル × (σ²_実現 − σ²_ストライク)

LOS 5:目標とする株式・金利エクスポージャーの実現

デリバティブを使えば、現物を大きく売買することなく、ポートフォリオのベータやデュレーションを目標値に調整できます。取引コストが低く、実行が速いことが利点です。

  • 株価指数先物でベータを引き上げ・引き下げ
  • 金利スワップ・債券先物でデュレーションを調整
  • キャッシュ・エクイタイゼーション:意図しない現金を株価指数先物などで株式化
  • 現物の売却に伴う取引コストや課税を回避できる

LOS 6:アセット・アロケーション、リバランス、市場予想の推定

株価指数先物と債券先物を組み合わせれば、現物を動かさずに資産配分の変更やリバランスができます。また、デリバティブの価格から市場参加者の予想を読み取れます。

  • 資産配分の変更:株式先物の売り+債券先物の買いなど
  • リバランス:目標配分からの乖離を先物で調整
  • CPIスワップ:インフレ予想
  • VIX先物:市場のボラティリティ予想
  • FF金利先物:次回FOMCでの政策金利変更の確率
変更確率 = (先物インプライド金利 − 現在の実効金利) / (変更後の金利 − 現在の実効金利)

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