ひとことで言うと

  • 債券発行市場は、発行体が新しく債券を発行して投資家から資金を集める市場(プライマリー市場)です。
  • 国債は財務省による入札で、社債は証券会社の引受を通じて発行されるのが基本です。
  • 社債では、主幹事証券会社が投資家の需要を調べて(ブックビルディング)発行条件を決めるのが一般的です。

この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「日本の債券発行市場」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/債券分析
大分類 (1) 債券の種類・特性と債券市場の仕組み
協会の学習ポイント 日本の債券発行市場の仕組みについて理解する。

日本の債券発行市場とは

債券市場は、新しく発行された債券が発行体から投資家へ渡る発行市場と、既に発行された債券を投資家同士が売買する流通市場に分けられます。発行市場は、発行体にとっては資金調達の場、投資家にとっては新発債を取得する場です。

国債の発行:財務省の入札

国債の多くは、財務省が実施する入札によって発行されます。代表的なのが、参加者が希望する価格(利回り)と金額を提示し、高い価格から順に落札する価格競争入札です。落札者がそれぞれの入札価格で購入するコンベンショナル方式と、落札者全員が同じ価格で購入するダッチ方式があり、国債の種類によって使い分けられています。また、国債の安定的な消化のため、一定の応札・落札の責任を負う代わりに優遇を受ける国債市場特別参加者制度(プライマリー・ディーラー制度)が設けられています。なお、日本銀行が新発国債を直接引き受けることは、財政法により原則として禁止されています。

社債の発行:証券会社の引受

公募社債は、発行会社が主幹事証券会社を選び、証券会社が社債をいったん引き受けて投資家に販売する形で発行されます。主幹事は、仮の条件を示して機関投資家などの需要を積み上げるブックビルディング(需要積上げ方式)を行い、その結果をもとに利率や発行価格を決めます。発行に際しては、格付の取得や、有価証券届出書などの開示が求められます。継続的に発行する会社は、発行登録制度を使って機動的に発行することもあります。

社債管理者と財務代理人

社債には、社債権者のために債権の保全や回収を行う社債管理者を置くのが原則ですが、各社債の金額が大きく機関投資家向けである場合などには設置が不要とされます。その場合は、発行会社の代理人として元利金の支払事務などを行う財務代理人を置く社債(FA債)が多く見られます。

整理しておきたいポイント

項目 国債 公募社債
主な発行方法 財務省による入札 証券会社の引受・販売
条件の決まり方 入札結果(価格競争) ブックビルディングで需要を確認して決定
主な関係者 財務省・日本銀行(事務取扱い)・国債市場特別参加者 発行会社・主幹事証券会社・格付会社・社債管理者または財務代理人

具体例で確認

ある事業会社が、設備投資のために5年の社債を公募で発行するケースを考えます。

  1. 主幹事証券会社を選び、格付会社から格付を取得する
  2. 主幹事が同格付の社債や国債の利回りを参考に、利率の仮条件(国債利回り+一定のスプレッドの範囲など)を示す
  3. 機関投資家から「この利率なら○億円買う」という需要を積み上げる
  4. 需要が十分に強ければ仮条件の低めの利率で、弱ければ高めの利率で発行条件を決定する
  5. 引受シンジケートを通じて投資家に販売し、払込みを受ける

このように、社債の利率は発行会社の信用力と、そのときの投資家の需要の両方で決まります。

試験で問われやすいポイント

  • 国債は入札、社債は引受という発行方法の違いが問われやすいです。
  • コンベンショナル方式(各自の入札価格で購入)とダッチ方式(均一価格で購入)の違いを取り違えないようにしましょう。
  • ブックビルディングの意味(需要を積み上げて条件を決める)と、主幹事証券会社の役割が問われやすいです。
  • 社債管理者と財務代理人の違い(社債権者のためか、発行会社のためか)に注意しましょう。
  • 日本銀行による国債の直接引受が原則禁止されている点もひっかけに使われやすいです。

要点まとめ

  • 発行市場=新しく発行された債券が投資家に渡る市場
  • 国債は財務省の入札(コンベンショナル方式・ダッチ方式)で発行
  • 社債は主幹事証券会社の引受と、ブックビルディングによる条件決定が基本
  • 社債管理者は社債権者のため、財務代理人は発行会社のために事務を行う

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。