ひとことで言うと

  • スポットレートは「今から○年間」お金を運用するときの金利、フォワードレートは「将来のある時点から○年間」運用する金利を今の時点で決めたものです。
  • 「2年間続けて運用する」と「1年運用し、その後の1年をフォワードレートで運用する」の結果が等しくなるように、フォワードレートは決まります。
  • 債券価格はスポットレートで割り引いても、フォワードレートを順につないで割り引いても同じ値になります。

この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「スポットとフォワードの関係」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/債券分析
大分類 (2) 金利と債券価格評価
協会の学習ポイント スポットレートとフォワードレートの関係、債券価格との関係を理解する。

スポットレートとフォワードレートとは

スポットレート

スポットレートは、現時点から将来のある時点まで、途中で利払いのない形でお金を運用したときの年率の利回りです。割引債(ゼロクーポン債)の最終利回りと考えるとイメージしやすいでしょう。1年のスポットレートを s1、2年のスポットレートを s2 のように表し、年限ごとに異なる値をとります。

フォワードレート

フォワードレートは、「1年後から2年後までの1年間」のように、将来のある期間に適用される金利を、現時点のスポットレートから逆算したものです。1年後から始まる1年間のフォワードレートを f1,2 のように書きます。今日の時点で契約すれば、将来の運用金利を固定できるイメージです。

2つの金利をつなぐ裁定の考え方

2年間お金を運用する方法は、「2年のスポットレートで2年間運用する」方法と、「1年のスポットレートで1年運用し、その元利合計を1年後からのフォワードレートでさらに1年運用する」方法の2通りがあります。どちらも今日の時点で結果が確定するので、もし結果が違えば、有利な方で運用し不利な方で調達すればリスクなしで利益が出てしまいます(裁定)。そのため、両者の結果が等しくなるようにフォワードレートが決まります。

債券価格との関係

債券価格は、各時点のキャッシュフローをその年限のスポットレートで割り引いて合計したものです。2年後のキャッシュフローの割引率 (1 + s2)2 は (1 + s1)(1 + f1,2) と同じなので、フォワードレートを1年ずつつないで割り引いても、同じ債券価格が得られます。また、スポットレートが年限とともに上がる(右上がりの)ときは、フォワードレートはスポットレートよりも高くなります。

押さえておきたい公式

(1 + s2)2 = (1 + s1) × (1 + f1,2)2年間続けて運用した結果と、1年+1年でつないだ結果が等しい
1 + fn−1,n = (1 + sn)n ÷ (1 + sn−1)n−1一般形:n−1年後から1年間のフォワードレート
債券価格 = C ÷ (1 + s1) + (C + F) ÷ {(1 + s1)(1 + f1,2)}2年債の例。スポットレートで割り引いた価格と一致する
記号 意味
sn n年のスポットレート(年率)
fn−1,n n−1年後からn年後までのフォワードレート
C 毎年のクーポン
F 額面(償還金額)

具体例で確認

1年のスポットレートが1%、2年のスポットレートが2%のとき、1年後から1年間のフォワードレートを求めます。

  • 2年間続けて運用:1.022 = 1.0404
  • 1年運用した後の元利合計:1.01
  • 1 + f1,2 = 1.0404 ÷ 1.01 ≒ 1.03010 より、f1,2 ≒ 3.01%

「2年平均で2%」を実現するには、1年目が1%なので2年目はおよそ3%でなければならない、と考えると直感的です。ざっくり (1% + 3%) ÷ 2 = 2% という関係になっています(正確には複利のため3.01%)。

この金利環境で、クーポン5(年1回)、額面100の2年債の価格は、5 ÷ 1.01 + 105 ÷ 1.0404 と計算しても、5 ÷ 1.01 + 105 ÷ (1.01 × 1.0301) と計算しても同じ値になります。

試験で問われやすいポイント

  • 2つのスポットレートからフォワードレートを求める計算。年数分のべき乗((1 + s2)2 など)を忘れないことが大切です。
  • 右上がりのカーブではフォワードレート > スポットレート、右下がりでは逆になるという大小関係。
  • フォワードレートを使っても、スポットレートを使っても債券価格は同じになるという点。
  • 単純な算術平均((1% + 3%) ÷ 2)で近似すると、選択肢の数値とわずかにずれることがあるので、複利で計算しましょう。
  • 2年後から3年後までなど、期間をずらしたフォワードレートも同じ考え方で求められます。

要点まとめ

  • スポットレートは「今から」の金利、フォワードレートは「将来の期間」の金利。
  • (1 + s2)2 = (1 + s1)(1 + f1,2) が基本式。
  • フォワードレートは裁定が起きないように決まる。
  • どちらの金利で割り引いても債券価格は一致する。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。