ひとことで言うと

  • 信用格付は、格付会社が債務の返済能力(信用力)の高さをAAA、AA、A、BBB…といった記号で示したものです。
  • 会社全体の信用力を示すのが発行体格付、個々の社債ごとの信用力を示すのが銘柄格付(個別債務格付)です。
  • 比較しやすく情報収集の手間を減らせる一方、変更が遅れがちなどの限界もあります。

この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「信用格付の仕組み」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/債券分析
大分類 (7) 社債投資と信用リスクの分析
協会の学習ポイント 信用格付の仕組み、発行体格付と銘柄格付、その利点と限界について理解する。

信用格付とは

信用格付は、格付会社が発行体や債券について、約束どおり元利金を支払えるかどうかの確実性を評価し、簡単な記号で表したものです。日本ではR&I、JCR、海外ではS&P、ムーディーズ、フィッチなどが代表的な格付会社です。格付会社は財務データの分析に加えて、業界の状況、経営陣との面談、事業の競争力などを総合的に判断して格付を決めます。

格付記号と投資適格

一般的な記号では、最上位のAAAから、AA、A、BBB、BB、B…と下がっていきます(ムーディーズはAaa、Aa、A、Baa…の表記)。BBB(Baa)以上を投資適格、BB(Ba)以下を投機的格付(ハイイールド)と呼び、この境界をまたぐ格下げは、投資家の運用ルールで保有できなくなるケースもあるため、市場への影響が大きくなりがちです。

発行体格付と銘柄格付

発行体格付は、発行体が負う債務全体について、返済能力を総合的に評価したものです。一方の銘柄格付は、個別の社債について評価したもので、発行体の信用力に加えて、その社債の弁済順位や担保、保証などの条件が反映されます。そのため、同じ発行体でも、劣後債は発行体格付より低く、担保や保証がある社債は高く付けられることがあります。

格付の利点と限界

格付の利点は、投資家が自分で詳しく分析しなくても信用力の目安が分かり、多数の発行体を同じ物差しで比較できることです。発行体にとっても、格付を取得することで幅広い投資家から資金を調達しやすくなります。

一方で限界もあります。格付の変更は財務情報などを確認してから行われるため、市場の価格(スプレッド)の動きより遅れることがあります。格付はデフォルトの可能性の相対的な順位を示すもので、特定のデフォルト確率や、価格変動・流動性のリスクを保証するものではありません。格付会社によって評価が分かれることもあり、また発行体が手数料を払う仕組みでは利益相反の懸念も指摘されます。格付だけに頼らず、自分でも分析することが大切です。

整理しておきたいポイント

項目 発行体格付 銘柄格付
対象 発行体(会社)全体の債務 個別の社債
反映される要素 発行体の総合的な返済能力 発行体の信用力 + 弁済順位・担保・保証など
同じ発行体での違い 1つ 社債の条件によって上下することがある

具体例で確認

B社は発行体格付Aを取得しています。B社が発行した普通社債(無担保・一般債権と同順位)の銘柄格付はAとされましたが、同時に発行した劣後債は、弁済順位が低く回収率が下がると考えられるため、Aより低い格付となりました。

その後、B社の業績が悪化し、市場ではB社の社債のスプレッドが大きく拡大しましたが、格下げが発表されたのは決算発表を受けた数か月後でした。市場価格が先に動き、格付が後から追いかける「格付の遅行性」の典型的な例です。

試験で問われやすいポイント

  • 発行体格付と銘柄格付の違い、劣後債や担保付社債で銘柄格付が上下する理由。
  • BBB(Baa)以上が投資適格、BB(Ba)以下が投機的格付という境界。
  • 格付はデフォルトの可能性の相対的な順位を示すもので、価格変動リスクや流動性リスクを評価するものではない点。
  • 格付変更が市場価格より遅れがちであること、格付会社間で評価が異なりうることなどの限界。
  • 格付が低いほどスプレッドが大きいという一般的な関係。

要点まとめ

  • 信用格付は返済能力の確実性を記号で示した、格付会社の意見である。
  • 発行体格付は会社全体、銘柄格付は個別の社債の条件も反映する。
  • BBB(Baa)以上が投資適格。
  • 比較が容易という利点と、遅行性や評価範囲の限定という限界がある。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。