ひとことで言うと

  • GDPは「国内」で生み出された付加価値、GNI(国民総所得)は「国民(居住者)」が受け取った所得の合計です。
  • GNI = GDP + 海外からの所得の純受取で、この純受取は国際収支統計の第一次所得収支にほぼ対応します。
  • 輸出入は貿易・サービス収支を通じてGDPに、海外投資の収益は第一次所得収支を通じてGNIに表れます。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「国際収支とGDP・GNI」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (3) 国民経済計算の仕組み
協会の学習ポイント 国際収支統計とGDP・GNIとの関係、経済活動が国際収支統計に及ぼす影響について説明できる。

国際収支とGDP・GNIの関係とは

国際収支統計は、一定期間における居住者と非居住者の間のあらゆる経済取引を記録したもので、日本では財務省と日本銀行が作成しています。GDPやGNIを計算する国民経済計算とは作成の目的が異なりますが、海外との取引を通じて密接に結びついています。

GDPとGNIの違い

GDPは、国内で生産された付加価値の合計で、生産者の国籍は問いません。外資系企業が日本国内で生み出した付加価値もGDPに含まれます。これに対しGNIは、日本の居住者が受け取った所得の合計です。日本企業の海外子会社からの配当や、海外の債券・株式から得た利子・配当は、日本国内の生産ではないのでGDPには入りませんが、日本の居住者の所得なのでGNIには含まれます。かつて使われていたGNP(国民総生産)は、GNIとほぼ同じ概念です。

国際収支統計の構成

経常収支は、財・サービスの取引を表す貿易・サービス収支、投資収益や雇用者報酬の受け払いを表す第一次所得収支、対価を伴わない援助や送金などを表す第二次所得収支からなります。このほか、資本移転等収支と、対外資産・負債の増減を表す金融収支があり、「経常収支 + 資本移転等収支 − 金融収支 + 誤差脱漏 = 0」という関係が成り立ちます。

GDP・GNIとのつながり

支出面のGDPに含まれる純輸出(X − M)は、国際収支の貿易・サービス収支に対応します。GDPに第一次所得収支(海外からの所得の純受取)を加えるとGNIになります。つまり、輸出の増加はGDPとGNIの両方を増やしますが、海外子会社からの配当の増加はGDPを変えずにGNIだけを増やします。

押さえておきたい公式

GNI = GDP + 海外からの所得の受取 − 海外への所得の支払海外からの所得の純受取は第一次所得収支に対応
経常収支 = 貿易・サービス収支 + 第一次所得収支 + 第二次所得収支
経常収支 + 資本移転等収支 − 金融収支 + 誤差脱漏 = 0

具体例で確認

ある国のGDPが550兆円、輸出100兆円・輸入105兆円(貿易・サービス収支 −5兆円)、第一次所得収支 +30兆円、第二次所得収支 −3兆円だったとします。

  1. GNI:550 + 30 = 580兆円
  2. 経常収支:−5 + 30 − 3 = 22兆円の黒字

貿易・サービス収支は赤字でも、海外投資からの収益が大きいため経常収支は黒字になっています。次に、ある企業が国内工場を閉じて生産を海外子会社に移したとします。国内での生産と輸出が減るのでGDPと貿易収支は減少しますが、海外子会社からの配当が増えれば第一次所得収支とGNIは増加します。生産の海外移転は、GDPとGNIに異なる影響を与えるのです。

試験で問われやすいポイント

  • GDPは「国内」、GNIは「国民(居住者)」が基準という違いがよく問われます。
  • GNIとGDPの差は第一次所得収支(海外からの所得の純受取)であり、第二次所得収支ではない点に注意しましょう。
  • 経常収支の3つの構成項目と、それぞれにどんな取引が入るかを押さえましょう(配当・利子は第一次、無償援助や送金は第二次)。
  • 海外子会社からの配当増加はGDPは不変・GNIは増加という判断問題が狙われます。
  • 外国人が国内で得た所得はGDPには含まれるが、日本のGNIからは差し引かれる点もひっかけになりやすいです。

要点まとめ

  • GDP=国内で生産された付加価値、GNI=居住者が受け取った所得
  • GNI=GDP+海外からの所得の純受取(第一次所得収支)
  • 経常収支=貿易・サービス収支+第一次所得収支+第二次所得収支
  • 生産の海外移転はGDPを減らしてもGNIを増やすことがある

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。