45度線分析と乗数効果とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 財市場では、消費・投資・政府支出などの総需要(有効需要)に見合うように総生産(GDP)が決まると考えます(有効需要の原理)。
- 総需要と総生産が等しくなる点を図で求めるのが45度線分析で、均衡GDPは Y = (C0 + I + G) ÷ (1 − c) で表されます。
- 投資や政府支出が増えると、GDPはその1 ÷ (1 − c)倍増えます。これが乗数効果です。
この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「財市場の総需要と総生産」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析 |
|---|---|
| 大分類 | (3) 国民経済計算の仕組み |
| 協会の学習ポイント | 財市場における総需要、総生産の決定について説明できる。 |
45度線分析と乗数効果とは
ケインズ経済学では、物価や金利を一定とし、生産能力には余裕があると考えます。このとき、企業は売れる見込みの分だけ生産するので、経済全体の生産量(GDP)は需要の大きさで決まります。これを有効需要の原理といいます。
消費関数
消費Cは所得Yが増えるほど増えると考え、C = C0 + cYと表します。C0は所得がゼロでも必要な基礎消費、cは所得が1増えたときに消費が増える割合で限界消費性向(0<c<1)と呼びます。所得の増加分のうち貯蓄に回る割合1 − cは限界貯蓄性向です。
45度線分析
横軸にGDP(Y)、縦軸に総需要(C + I + G)をとります。原点を通る45度線は「総需要=総生産」となる点の集まりです。総需要の線(傾きc)と45度線の交点が均衡GDPです。GDPが均衡より大きいと、生産が需要を上回って売れ残り(意図せざる在庫)が生じるので、企業は生産を減らします。逆に均衡より小さいと在庫が減るので生産を増やします。こうした数量の調整を通じて、GDPは均衡に向かいます。
乗数効果
投資が1兆円増えると、まずその分だけ生産と所得が増えます。増えた所得のうちc兆円が消費に回り、それがまた誰かの所得になり、さらにその一部が消費に回る…という連鎖が続きます。合計すると 1 + c + c2 + … = 1 ÷ (1 − c) 倍の所得が生まれます。限界消費性向が大きいほど乗数は大きくなります。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| C0 | 基礎消費(所得に関係なく行われる消費) |
| c | 限界消費性向(1 − cは限界貯蓄性向) |
| I | 投資(ここでは一定) |
| G | 政府支出 |
具体例で確認
消費関数が C = 20 + 0.8Y、投資 I = 60、政府支出 G = 40 の経済を考えます。
- 均衡GDP:Y = (20 + 60 + 40) ÷ (1 − 0.8) = 120 ÷ 0.2 = 600
- 確認:Y = 600 のとき、総需要は 20 + 0.8 × 600 + 60 + 40 = 600 となり、総生産と一致します。
- 乗数:1 ÷ (1 − 0.8) = 5
- 投資が10増えると、GDPは 10 × 5 = 50 増えて650になります。
仮にGDPが550なら、総需要は 20 + 0.8 × 550 + 100 = 560 で生産を10上回ります。在庫が減るので企業は生産を増やし、GDPは600に向かいます。
試験で問われやすいポイント
- 消費関数と均衡条件から均衡GDPを求める計算が典型です。
- 乗数は1 ÷ (1 − 限界消費性向)=1 ÷ 限界貯蓄性向。限界消費性向が大きいほど乗数が大きい点を押さえましょう。
- 総生産が総需要を上回ると意図せざる在庫が増えて生産が減るという調整の向きが問われます。
- この分析は物価・金利が一定で、金利上昇による投資の減少(クラウディング・アウト)を考えていない点に注意しましょう。
- 租税を含むモデルでは、減税の乗数は −c ÷ (1 − c) と政府支出乗数より小さくなることも確認しておきましょう。
要点まとめ
- 有効需要の原理:GDPは総需要の大きさで決まる
- 45度線と総需要線の交点が均衡GDP
- 均衡GDP=(C0+I+G)÷(1−c)
- 投資・政府支出の増加はGDPを1÷(1−c)倍増やす(乗数効果)
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
