ひとことで言うと

  • 外貨建ての売上や仕入れなどの取引は、原則として取引が発生した時点の為替相場(取引発生時レート)で円に換算して記録します。
  • 日本基準は、取引とその代金決済を別の取引と考える二取引基準を採用しており、決済時のレートとの差額は為替差損益として処理します。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「外貨建取引の換算」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (9) 外貨換算会計
協会の学習ポイント 外貨建取引の換算方法を理解する。

外貨建取引の換算とは

外貨建取引とは、売買価格などの取引価額がドルやユーロなどの外国通貨で表示されている取引です。財務諸表は円で作成するため、外貨で表示された金額を円に直す(換算する)必要があります。

取引発生時の換算

外貨建取引は、原則として取引発生時の為替相場で円換算した額で記録します。実務では、取引ごとのレートを使う代わりに、前月や前週の平均相場、前月末の相場など、合理的な基礎に基づいて算定された相場を使うことも認められています。

二取引基準と一取引基準

商品を掛けで輸出し、後日代金を受け取る場合、取引日と決済日で為替相場が変わると円での受取額も変わります。この差額をどう扱うかには2つの考え方があります。

  • 二取引基準:輸出(売上)と代金決済を別々の取引とみなします。売上高は取引発生時のレートで確定し、決済までの為替変動による差額は為替差損益(財務上の損益)とします。日本基準はこちらを採用しています。
  • 一取引基準:取引と決済を一体の取引とみなし、決済時のレートで売上高などを修正します。

決算日をまたぐ場合

取引日と決済日の間に決算日がある場合、外貨建ての売掛金や買掛金などの金銭債権債務は決算時のレートで換算し直し、差額を為替差損益とします(詳しくは外貨建金銭債権債務の項目で扱います)。一方、前渡金・前受金や棚卸資産、固定資産などは、取引発生時のレートのまま換算し直しません。

整理しておきたいポイント

項目 二取引基準(日本基準) 一取引基準
取引と決済の関係 別々の取引とみなす 一つの取引とみなす
売上高・仕入高 取引発生時のレートで確定 決済時のレートで修正
決済時の差額 為替差損益(営業外損益) 売上高・仕入高の修正

具体例で確認

3月1日に商品を10,000ドルで輸出し(代金は掛け)、そのときの為替相場は1ドル=150円でした。4月10日に代金10,000ドルを受け取り、そのときの相場は1ドル=145円でした(決算日は考慮しません)。

  • 3月1日:売上高・売掛金を 10,000ドル × 150円 = 150万円で計上
  • 4月10日:受取額は 10,000ドル × 145円 = 145万円
  • 差額:145万円 − 150万円 = −5万円 → 為替差損5万円

二取引基準では、売上高は150万円のまま変わらず、為替差損5万円が営業外費用に計上されます。一取引基準であれば、売上高が145万円に修正され、為替差損は生じません。

試験で問われやすいポイント

  • 外貨建取引は原則として「取引発生時の為替相場」で換算する点が基本です。平均相場など合理的な相場の使用も認められています。
  • 日本基準は二取引基準で、決済差額は売上高の修正ではなく為替差損益とする点が問われやすいです。
  • 円高(1ドルあたりの円が減る)になると、外貨建債権を持つ側には為替差損が生じます。方向を取り違えないようにしましょう。
  • 前渡金・前受金や棚卸資産は、決算時に換算し直さない項目である点も確認しましょう。

要点まとめ

  • 外貨建取引は原則として取引発生時の為替相場で円換算する。
  • 日本基準は取引と決済を別々に考える二取引基準を採用している。
  • 決済時の相場との差額は為替差損益として処理し、売上高は修正しない。
  • 決算日をまたぐ金銭債権債務は決算時レートで換算し直す。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。