ひとことで言うと

  • 在外子会社の財務諸表は決算日レート法で換算します。資産・負債は決算日レート、資本は発生時(取得時)のレート、収益・費用は原則として期中平均レートです。
  • レートがそろわないことで生じる差額は為替換算調整勘定として、連結貸借対照表の純資産(その他の包括利益累計額)に計上します。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅱ「財務分析」の学習ポイントのひとつ「在外子会社の換算」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (9) 外貨換算会計
協会の学習ポイント 在外子会社の財務諸表項目の換算方法を理解する。

在外子会社の換算とは

海外子会社(在外子会社)は、親会社とは別の法人として現地通貨で独立して事業を行っています。親会社が連結財務諸表を作るには、子会社の外貨建ての財務諸表を円に換算する必要があります。在外支店が「本店と同じ方法」で換算するのに対し、在外子会社は独立した事業体であることから、財務諸表全体をおおむね決算日の相場で換算する方法(決算日レート法)がとられます。

各項目に使うレート

  • 資産・負債:すべて決算日レート(CR)で換算します。
  • 資本(純資産):親会社が株式を取得した時点の資本項目は株式取得時のレート、取得後に生じた項目(利益剰余金の増加など)はその発生時のレートで換算します。
  • 収益・費用:原則として期中平均レート(AR)で換算し、決算日レートによることも認められます。ただし親会社との取引による収益・費用は、親会社が換算に用いるレートで換算し、その差額は当期の為替差損益とします。

為替換算調整勘定

資産・負債は決算日レート、資本は過去のレートと、使うレートが異なるため、換算後の貸借対照表は貸借が一致しません。この差額が為替換算調整勘定です。当期の損益には含めず、連結貸借対照表の純資産の部(その他の包括利益累計額)に計上し、当期の増減はその他の包括利益(OCI)として包括利益計算書に表示されます。非支配株主がいる場合は、持分比率に応じて非支配株主持分にも按分します。子会社株式を売却したときなどには、対応する為替換算調整勘定が損益に振り替えられます。

押さえておきたい公式

為替換算調整勘定 = 資産(CR) − 負債(CR) − 資本(HR) − 当期純利益(AR)期中に取得(設立)した場合の単純化した形。資本は取得時レート、利益は期中平均レートで換算した額
CR 決算日レート(資産・負債)
HR 取得時・発生時レート(資本項目)
AR 期中平均レート(収益・費用、原則)

具体例で確認

親会社が期首に米国子会社の株式100%を取得したとします(取得時レート1ドル=130円)。期末の子会社の状況は次のとおりで、決算日レートは150円、期中平均レートは145円です。

項目 外貨額 レート・円換算額
資産 1,000ドル CR 150円 → 150,000円
負債 600ドル CR 150円 → 90,000円
資本金(取得時) 300ドル HR 130円 → 39,000円
当期純利益 100ドル AR 145円 → 14,500円

貸借の差額は、150,000 − 90,000 − 39,000 − 14,500 = 6,500円です。これが為替換算調整勘定(貸方残高)になります。円安(130円→150円)で純資産の円換算額が膨らんだ分が、損益を通さずに純資産へ計上されるイメージです。逆に円高が進めば借方残高(マイナス)になります。

試験で問われやすいポイント

  • 項目ごとのレート:資産・負債はCR、資本は取得時・発生時レート、収益・費用は原則AR(CRも可)。
  • 換算差額は為替換算調整勘定として純資産(その他の包括利益累計額)に計上し、当期純利益には含めない点。
  • 在外支店(本店と同様の方法、差額は為替差損益)との違いは、正誤問題で狙われやすい論点です。
  • 為替換算調整勘定の計算は「資産 − 負債 − 資本 − 利益」の差額として求める手順を押さえましょう。
  • 円安なら為替換算調整勘定はプラス方向、円高ならマイナス方向に動きます(子会社の純資産がプラスの場合)。

要点まとめ

  • 在外子会社は決算日レート法で換算する。
  • 資産・負債はCR、資本はHR、収益・費用は原則AR。
  • 換算差額は為替換算調整勘定として純資産に計上し、OCIとして包括利益に含まれる。
  • 非支配株主がいれば持分に応じて按分し、子会社売却時などに損益へ振り替える。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。