ひとことで言うと

  • 損益分岐点とは、売上高と費用が等しくなり、利益がちょうどゼロになる売上高のことです。
  • 費用を変動費固定費に分け、損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率 で求めます。
  • 実際の売上高が損益分岐点をどれだけ上回っているかを示す安全余裕率で、赤字転落への抵抗力を測ります。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「損益分岐点分析」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (10) 財務分析の基礎
協会の学習ポイント 損益分岐点分析ができる。

損益分岐点分析とは

損益分岐点分析(CVP分析:Cost-Volume-Profit分析)は、売上高(営業量)・費用・利益の関係を整理し、「いくら売れば利益が出るのか」「売上が何%減ると赤字になるのか」を明らかにする手法です。企業の収益構造や、業績悪化に対する抵抗力を評価するのに役立ちます。

変動費・固定費と限界利益

損益分岐点分析では、費用を売上高に比例して増減する変動費(原材料費、外注費、販売手数料など)と、売上高にかかわらず一定額発生する固定費(人件費の一部、減価償却費、賃借料など)に分けます。売上高から変動費を差し引いたものを限界利益(貢献利益)、売上高に対する限界利益の割合を限界利益率といいます。限界利益率は「1 - 変動費率」と同じです。

限界利益は、まず固定費を回収するために使われ、固定費を回収しきったあとの残りが利益になります。したがって、限界利益がちょうど固定費と等しくなる売上高が損益分岐点売上高です。

安全余裕率と損益分岐点比率

安全余裕率(経営安全率)は、実際の売上高が損益分岐点売上高をどれだけ上回っているかを割合で示したものです。安全余裕率が25%であれば、売上高が25%減少するまでは赤字にならないことを意味します。一方、実際の売上高に対する損益分岐点売上高の割合を損益分岐点比率といい、安全余裕率と足し合わせると100%になります。損益分岐点比率は低いほど、安全余裕率は高いほど、収益構造が安定しているといえます。

押さえておきたい公式

限界利益率 = (売上高 - 変動費) ÷ 売上高 = 1 - 変動費率
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率= 固定費 ÷ (1 - 変動費 ÷ 売上高)
目標利益を達成する売上高 = (固定費 + 目標利益) ÷ 限界利益率
安全余裕率 = (売上高 - 損益分岐点売上高) ÷ 売上高損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 売上高 = 1 - 安全余裕率

具体例で確認

売上高1,000、変動費600、固定費300の企業を考えます(営業利益は100)。

  • 限界利益:1,000 - 600 = 400、限界利益率:400 ÷ 1,000 = 40%
  • 損益分岐点売上高:300 ÷ 0.4 = 750
  • 安全余裕率:(1,000 - 750)÷ 1,000 = 25%(損益分岐点比率は75%)
  • 営業利益200を達成する売上高:(300 + 200)÷ 0.4 = 1,250

検算すると、売上高750のとき変動費は750 × 0.6 = 450、限界利益は300で固定費と等しく、利益はゼロになります。売上高が25%減って750になると、ちょうど損益トントンになることも確認できます。

試験で問われやすいポイント

  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率 の計算。変動費率で割る誤りに注意しましょう。
  • 目標利益を達成するための売上高の計算(固定費に目標利益を加える)。
  • 安全余裕率と損益分岐点比率の関係(合計100%)と、その意味。
  • 固定費の削減や変動費率の低下が損益分岐点を引き下げる、といった方向性の判断。
  • 費用を変動費と固定費に正しく分けることが前提になっている点。

要点まとめ

  • 損益分岐点は、限界利益と固定費が等しく利益がゼロになる売上高。
  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率。
  • 安全余裕率は、売上高が何%減るまで赤字にならないかを示す。
  • 固定費削減や限界利益率の改善で、損益分岐点は下がる。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。