ひとことで言うと

  • 金利ボラティリティの期間構造とは、年限(満期)ごとに金利の変動の大きさ(ボラティリティ)が異なり、それを年限の順に並べた形のことです。
  • イールドカーブが平行に動くとは限らないため、債券の金利リスクはデュレーション×その年限の金利ボラティリティで考える必要があります。

この記事では、証券アナリスト2次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「金利ボラティリティの期間構造」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/債券分析
大分類 (5) 金利変動モデルに基づく債券価格評価
協会の学習ポイント 金利ボラティリティの期間構造と債券の金利リスクへの影響について理解する。

金利ボラティリティの期間構造とは

イールドカーブの各年限の金利は、同じだけ動くわけではありません。たとえば2年金利が0.1%動く間に10年金利は0.07%しか動かない、といったことがよく起こります。年限ごとの金利変化の標準偏差(ボラティリティ)を並べたものが、金利ボラティリティの期間構造です。

典型的な形とその理由

一般には、短期金利は金融政策や景気の変化に敏感に反応するため、短い年限ほど金利ボラティリティが高く、長い年限ほど低い右下がりの形になりやすいとされます。長期金利は将来の短期金利の平均的な予想を反映するので、一時的なショックが平均化されるためです。ただし、政策金利がゼロ近辺に抑えられている局面では、ごく短い年限の変動が小さくなり、中期ゾーンがもっとも大きい「こぶ型」になることもあります。

債券の金利リスクへの影響

修正デュレーションは「すべての年限の金利が同じ幅だけ動く」ことを前提にした尺度です。しかしボラティリティが年限によって違うなら、同じデュレーションでも実際の価格変動の大きさは異なります。価格の変動リスクはおおむねデュレーション×金利ボラティリティで決まるため、長期債は金利ボラティリティが低くても、デュレーションが大きい分だけ価格変動は大きくなります。

また、デュレーションを合わせただけのヘッジ(たとえば2年債を10年債でヘッジする)は、年限ごとの変動幅の違いのために不完全になります。オプション付き債券の評価でも、金利ツリーやモデルのボラティリティを年限ごとに市場(キャップやスワップションなど)に合わせることが重要になります。

押さえておきたい公式

σ(ΔP ÷ P) ≒ Dmod × σ(Δy)価格変化率の標準偏差 ≒ 修正デュレーション × 利回り変化の標準偏差
記号 意味
σ(ΔP ÷ P) 価格変化率のボラティリティ
Dmod 修正デュレーション
σ(Δy) その年限の利回り変化のボラティリティ(ベーシス・ポイント・ボラティリティ)

具体例で確認

2年債(修正デュレーション1.9)と10年債(修正デュレーション8.8)を比べます。年率の利回り変化のボラティリティは、2年が0.8%、10年が0.6%とします。

  1. 2年債の価格ボラティリティ:1.9×0.8%≒1.52%
  2. 10年債の価格ボラティリティ:8.8×0.6%≒5.28%

10年金利のほうが動きは小さいものの、デュレーションの差が大きいため、価格の変動は10年債のほうが大きくなります。また、10年債1単位の価格変動を2年債でヘッジしようとするとき、デュレーションの比率(8.8÷1.9)だけで量を決めると、年限ごとのボラティリティの違いを無視することになります。

試験で問われやすいポイント

  • 一般に短期ほど金利ボラティリティが高いという典型的な形と、その理由(金融政策・景気への感応度、長期金利の平均化)を説明できるようにしましょう。
  • 修正デュレーションは平行移動を前提としているため、ボラティリティの期間構造があるとリスクを正しく表せない点が問われやすいです。
  • 価格ボラティリティ≒デュレーション×金利ボラティリティの計算と比較に慣れておきましょう。
  • 記述式では、デュレーションだけで組んだヘッジが不完全になる理由を説明させる形が考えられます。

要点まとめ

  • 金利の変動の大きさは年限によって異なる
  • 典型的には短期ほど高いが、局面によってこぶ型にもなる
  • 価格リスク≒デュレーション×その年限の金利ボラティリティ
  • 平行移動を前提とするデュレーションだけではリスク管理が不十分

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。