ひとことで言うと

  • ダイナミック・アセットアロケーションは、市場の動きに応じて株式などリスク資産の比率をルールに従って機械的に変える戦略です。
  • CPPIやオプション型ポートフォリオ・インシュランス(PI)は「上がれば買い、下がれば売る」凸戦略、コンスタント・ミックスは「上がれば売り、下がれば買う」凹戦略、バイアンドホールドは線型戦略です。
  • トレンドが続く相場では凸戦略が、上下にもみ合う相場では凹戦略が有利になります。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「ダイナミック戦略とリスク特性」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (2) 投資政策とアセット・アロケーション
協会の学習ポイント ダイナミック・アセットアロケーション(オプション型ポートフォリオ・インシュランス、CPPI)の仕組みとアセット・アロケーション戦略(コンスタント・ミックス、バイアンドホールド、PI)によるリスク特性(線型戦略、凸戦略、凹戦略)について理解する。

CPPIとダイナミック戦略とは

資産配分の運営方法は、市場が動いたときにリスク資産(株式など)の比率をどう変えるかで、大きく3つに分けられます。ここでは株式と安全資産(短期債券など)の2資産で考えます。

バイアンドホールド(線型戦略)

最初に決めた配分で買ったら、その後は何も売買しない戦略です。ポートフォリオの価値は株価に比例して(直線的に)変化するため線型戦略と呼ばれます。価値の下限は安全資産の金額、上限はありません。

コンスタント・ミックス(凹戦略)

株式比率を常に一定(例:60%)に保つよう、値上がりした株式を売り、値下がりしたら買い増す戦略です。株価の値動きに逆らう逆張りの売買になります。ポートフォリオ価値を株価に対して描くと上に凸(凹関数)の形になるため凹戦略といいます。

ポートフォリオ・インシュランス(凸戦略)

下値を一定水準(フロア)で守りつつ、上昇にはついていくことを目指す戦略です。

  • オプション型PI:株式にプット・オプションを組み合わせる(プロテクティブ・プット)、またはデルタに合わせて株式と安全資産を動的に売買し、プットの効果を合成します(合成プット)。
  • CPPI(固定比率ポートフォリオ・インシュランス):資産価値からフロアを引いたクッションに、一定の乗数 mを掛けた金額を株式に投資します。株価が上がるとクッションが増えて株式を買い増し、下がると売ります。

いずれも順張りの売買になり、ポートフォリオ価値は株価に対して下に凸の形になるため凸戦略と呼ばれます。

相場環境と戦略の優劣

凸戦略と凹戦略は、互いに反対の売買をする「鏡」の関係にあります。一方向に大きく動く(トレンドのある)相場では凸戦略が有利で、上がったり下がったりして元の水準に戻るようなもみ合い相場では凹戦略が有利です。凸戦略は下落時の損失を限定する代わりに、もみ合い相場では「高く買って安く売る」ことを繰り返して不利になります。これは、保険(プット)のコストを払っていると考えるとわかりやすいでしょう。

押さえておきたい公式

株式投資額 = m × (資産価値 − フロア)CPPIのルール。資産価値 − フロア をクッションと呼ぶ
乗数 m > 1 凸戦略(CPPI)
乗数 m = 1、フロア = 安全資産の額 バイアンドホールド(線型)
0 < m < 1、フロア = 0 コンスタント・ミックス(凹戦略)

具体例で確認

資産100、フロア80、乗数m=3のCPPIを考えます。クッションは20なので、株式60・安全資産40でスタートします(安全資産の利息は無視)。

  • 株価が10%下落:株式54、資産94、クッション14。目標の株式額は3×14=42なので、株式を12売却します。
  • 株価が10%上昇:株式66、資産106、クッション26。目標の株式額は3×26=78なので、株式を12買い増します。

同じ株式60%・債券40%から始めるコンスタント・ミックスでは、株価10%下落後は資産94×60%=56.4が目標なので株式を2.4買い増します。CPPIとは売買の方向が逆になることがわかります。バイアンドホールドは何も売買しません。

試験で問われやすいポイント

  • 各戦略の売買の方向(順張り=凸、逆張り=凹、売買なし=線型)と、ペイオフの形の対応。
  • CPPIの株式投資額の計算(クッション×乗数)と、株価変動後のリバランス額の計算。
  • トレンド相場・もみ合い相場・急落時(ギャップ)で、どの戦略が有利・不利になるか。
  • オプション型PIはプット・オプション(またはその複製)で下値を守る仕組みであること。急激な下落では動的な売買が間に合わず、フロアを割るおそれがある点も注意です。
  • 2次の記述式では、計算過程を示してリバランス後の配分を求めさせたり、相場環境ごとの優劣を説明させたりする形が考えられます。

要点まとめ

  • バイアンドホールドは線型、コンスタント・ミックスは凹、CPPI・PIは凸戦略。
  • CPPIは「株式額=乗数×(資産価値−フロア)」で、上昇時に買い、下落時に売る。
  • トレンド相場では凸戦略、もみ合い相場では凹戦略が有利。
  • 凸戦略の下値保護は、もみ合い相場での不利という「保険料」と引き換え。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。