リスク許容度とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- リスク許容度とは、投資家がどの程度の損失や価格変動に耐えられるかを表すもので、リスク管理の目標や上限を決める出発点になります。
- 客観的な「リスクを取る能力」と主観的な「リスクを取る意思」の両面から判断し、食い違うときは原則として低いほうに合わせます。
- リスク許容度は、許容損失額、ショートフォール確率、VaRの上限などの具体的な数値に置き換えて管理します。
この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「リスク許容度とリスク管理」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (3) ポートフォリオの構築とリスク管理 |
| 協会の学習ポイント | 投資家のリスク許容度とリスク管理との関連を理解する。 |
リスク許容度とは
リスク管理は「どこまでのリスクなら取ってよいか」という基準がなければ始まりません。その基準となるのが投資家のリスク許容度です。同じポートフォリオでも、ある投資家にとっては適切、別の投資家にとっては危険すぎるということが起こるのは、リスク許容度が投資家ごとに異なるためです。
リスクを取る能力と意思
- リスクを取る能力(ability):財務的な状況から客観的に決まる部分です。投資期間の長さ、資産の規模、収入や負債の状況、流動性ニーズ、年金であれば積立状況(積立比率)や母体企業の財務力などが影響します。投資期間が長い、資産に余裕がある、目標に対して積立が十分であるほど、能力は高くなります。
- リスクを取る意思(willingness):投資家の心理的な姿勢で、過去の経験や性格、組織の意思決定の文化などが影響します。
能力は高いが意思が低い場合は、投資家への説明によって意思を高める余地があるものの、最終的には意思に配慮します。意思は高いが能力が低い場合は、能力に合わせてリスクを抑えるのが原則です。
リスク管理との結びつき
リスク許容度は抽象的な考え方のままでは管理に使えません。そこで、「1年間の損失を資産の10%以内に抑えたい」「積立比率が一定水準を下回る確率を5%以下にしたい」といった形で、許容損失額、ショートフォール確率、VaRの上限、トラッキングエラーの上限などの数値に置き換えます。これが資産配分の選択、リスク予算の配分、モニタリングの基準になります。年金では、負債との関係でリスクを測るサープラス(資産−負債)のリスクで許容度を考えることも重要です。
押さえておきたい公式
具体例で確認
ある投資家は「1年間のリターンが−10%を下回る確率を5%以下にしたい」と考えています。リターンは正規分布に従うとします。
- ポートフォリオA(期待リターン4%、標準偏差8%):安全第一比率=(4−(−10))÷8=1.75。ショートフォール確率≒4.0%で、許容範囲内です。
- ポートフォリオB(期待リターン6%、標準偏差12%):安全第一比率=16÷12≒1.33。ショートフォール確率≒9.1%で、許容範囲を超えます。
期待リターンはBのほうが高いものの、この投資家のリスク許容度に照らすとAが適切と判断できます。
試験で問われやすいポイント
- リスクを取る能力と意思の区別と、それぞれの決定要因(投資期間、資産規模、流動性ニーズ、積立状況など)。
- 能力と意思が食い違う場合の考え方(原則として低いほうに合わせる)。
- リスク許容度を、許容損失額、ショートフォール確率、VaRなどの具体的な指標に落とし込むこと。
- ショートフォール確率や安全第一比率の計算と、それを使ったポートフォリオの選択。
- 2次の記述式では、投資家の状況からリスク許容度の高低を判断し、その理由を説明させる形が考えられます。
要点まとめ
- リスク許容度はリスク管理の目標・上限を決める出発点。
- 客観的な「能力」と主観的な「意思」の両面から評価する。
- 許容損失額、ショートフォール確率、VaRの上限などの数値に置き換えて管理する。
- 期待リターンが高くても、許容度を超えるポートフォリオは選ばない。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
