GIPS基準に基づく提示とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- GIPS基準に基づく提示では、原則として時間加重収益率で各ポートフォリオの成績を計算し、それを資産加重してコンポジットの収益率を求めます。
- 報告書には、年次の収益率、ベンチマーク収益率、ポートフォリオ数、コンポジット資産額、ファーム資産額、内部のばらつき、リスク指標などを示します。
- さらに、準拠の表明、コンポジットの説明、報酬控除前後の区別など、判断に必要な事項を開示します。
この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「GIPS基準に基づく提示」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (7) 投資パフォーマンスの測定・評価と提示 |
| 協会の学習ポイント | GIPS基準に基づく投資パフォーマンスの提示・報告の方法について理解する。 |
GIPS基準に基づく提示とは
GIPS基準に準拠する運用会社は、見込み顧客に対してコンポジットごとの報告書(GIPSコンポジット・レポート)を提示します。ここでは、どのように計算し、何を示すかという点を整理します。
収益率の計算
各ポートフォリオの収益率は、資金流出入の影響を除いた時間加重収益率で計算するのが原則です。現行基準では少なくとも月次でポートフォリオを評価し、大きな資金流出入があったときにも評価します。月次などのサブ期間の収益率は、掛け合わせて(幾何的に連結して)期間の収益率にします。評価は時価(公正価値)で行い、配当や利息などの収益も含めたトータル・リターンで計算します。
なお、現行の2020年版では、会社が資金流出入をコントロールしている場合や、投資資金の約定額が固定されたクローズドエンド型の場合などには、金額加重収益率による提示も認められています。
コンポジット収益率
コンポジットの収益率は、構成ポートフォリオの収益率を、期初の資産額(または資金流出入を考慮した資産額)で加重平均して求めます。単純平均ではなく資産加重である点が大切です。
報告書に示す主な内容
- 各年のコンポジット収益率とベンチマーク収益率(最初は最低5年分、その後は年々追加して10年分まで)
- 各年末のポートフォリオ数、コンポジット資産額、ファーム資産額(またはファーム資産に占める割合)
- コンポジット内の成績のばらつき(内部分散)の指標
- コンポジットとベンチマークの3年間の年率標準偏差(月次リターンがそろう場合)
あわせて、GIPS準拠の表明、会社とコンポジットの説明、ベンチマークの説明、報酬控除前(グロス)か控除後(ネット)か、報酬体系、通貨、コンポジットの設定日などを開示します。1年未満の期間の収益率を年率換算して示すことは認められていません。
押さえておきたい公式
具体例で確認
① コンポジット収益率:ポートフォリオA(期初100億円、収益率+10%)とB(期初300億円、収益率+4%)からなるコンポジットの場合、
(100 × 10% + 300 × 4%) ÷ 400 = 5.5%
単純平均の7%とは異なり、資産の大きいBの成績が強く反映されます。
② サブ期間の連結:3か月の月次収益率が+2%、−3%、+5%なら、
1.02 × 0.97 × 1.05 − 1 ≒ 3.89%
単純に足した4%にはならない点に注意しましょう。
試験で問われやすいポイント
- コンポジット収益率は資産加重で計算すること。単純平均との違いを計算で確認させる問題に備えましょう。
- 時間加重収益率を原則とし、サブ期間の収益率は幾何的に連結すること。計算過程を示せるようにしましょう。
- 報告書に示す項目(年次収益率、ベンチマーク、ポートフォリオ数、資産額、内部分散、3年標準偏差)と、5年から10年へ積み上げるルール。
- 1年未満の成績を年率換算してはいけない点、グロスとネットの区別など、開示の論点。
- 金額加重収益率が認められるのは一定の条件を満たす場合に限られる点。
要点まとめ
- 各ポートフォリオは時間加重収益率で計算し、サブ期間は幾何的に連結する。
- コンポジット収益率は資産加重で求める。
- 報告書には収益率、ベンチマーク、口座数、資産額、ばらつき、リスク指標を示す。
- 準拠の表明や報酬の扱いなど、判断に必要な事項を開示する。
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
