ひとことで言うと

  • オルタナティブ投資は、伝統的資産とは異なる収益源やリスク特性を持つ資産・戦略への投資です。
  • ポートフォリオでは、分散効果(リスク低減)リターンの向上、インフレ対応などの目的で組み入れられます。
  • 流動性や評価の問題があるため、投資目的・投資期間・流動性ニーズと整合する形で配分を決めることが重要です。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「概念とポートフォリオでの活用」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (9) オルタナティブ投資資産の種類、特徴と投資管理
協会の学習ポイント オルタナティブ投資の概念とポートフォリオにおける活用について理解する。

オルタナティブ投資の概念と活用とは

オルタナティブ投資は、上場株式・債券といった伝統的資産以外への投資の総称です。不動産、プライベート・エクイティ、ヘッジファンド、コモディティ、インフラ、プライベート・デットなどが含まれます。大きく分けると、不動産やコモディティのような新しい資産クラスへの投資と、ヘッジファンドのように空売りやレバレッジを使う新しい運用手法への投資の2つの側面があります。

ポートフォリオでの役割

年金基金や大学基金などの機関投資家がオルタナティブ投資を組み入れる主な目的は次のとおりです。

  • 分散効果:伝統的資産との相関が低い収益源を加え、ポートフォリオ全体のリスクを下げる。
  • リターンの向上:非流動性プレミアムや運用者のスキルによる超過収益を取り込む。
  • インフレ対応:不動産、インフラ、コモディティのように、実物資産の価値や収入がインフレに連動しやすい資産でインフレリスクに備える。
  • 安定したインカム:賃料収入などの継続的な収入を得る。

活用の枠組み

組み入れの方法には、オルタナティブを独立した資産クラスとして政策資産配分に組み込む方法と、株式や債券の一部を代替する位置づけで扱う方法があります。近年は、資産クラスの名前よりも、株式リスク・金利リスク・非流動性などのリスク・ファクターの観点から全体のリスクを把握する考え方も重視されています。たとえばプライベート・エクイティは、中身をみると株式リスクへのエクスポージャーが大きく、見かけほど分散効果がない場合があります。

また、投資家ごとの制約との整合性が欠かせません。給付の支払いなど資金の流出が多い投資家は、流動性の低い資産に大きく配分できません。長期の投資期間を持ち、短期的な流動性ニーズが小さい投資家ほど、非流動性プレミアムを取りにいく余地が大きくなります。ガバナンス体制(専門人材、モニタリング能力)や、高いコスト、評価の難しさも考慮します。

整理しておきたいポイント

資産 主な活用目的 留意点
不動産・インフラ インカム、インフレ対応、分散 非流動性、鑑定評価による平準化
プライベート・エクイティ リターン向上(非流動性プレミアム) 株式リスクとの重なり、長期拘束
ヘッジファンド 市場と連動しにくい収益、分散 マネジャー依存、透明性、報酬
コモディティ インフレ対応、分散 インカムがない、先物のロール

具体例で確認

運用期間が長く、毎年の給付支払いが掛金収入でほぼまかなえている企業年金を考えます。この年金は、資産の一部を不動産とプライベート・エクイティに配分する方針を検討しています。

  • 長期運用で流動性ニーズが小さいため、非流動性プレミアムを得る余地がある。
  • 一方で、プライベート・エクイティは株式との実質的な相関が高く、株式配分と合わせるとリスクが想定以上に株式に偏るおそれがある。
  • 鑑定評価ベースの過去データでは、標準偏差や相関が小さく出るため、最適化にそのまま使うと配分が過大になりやすい。

そこで、リスク・ファクターで重複を確認し、データの平準化を補正したうえで、流動性の上限を設けて配分比率を決める、という手順が考えられます。

試験で問われやすいポイント

  • 組み入れ目的(分散効果、リターン向上、インフレ対応、インカム)を挙げ、資産ごとに対応づけられるか。
  • 投資家の流動性ニーズ・投資期間・ガバナンス体制と、オルタナティブへの配分可能額との関係。
  • 資産クラスの名前ではなくリスク・ファクターで見ると、PEは株式リスクと重なるなど、分散効果が見かけより小さい場合があること。
  • 平準化されたデータを最適化に使うと配分が過大になりやすいという注意点。
  • 記述式では、特定の投資家にオルタナティブ投資を組み入れる是非や配分の考え方を説明させる問題が考えられます。

要点まとめ

  • オルタナティブ投資は、新しい資産クラスと新しい運用手法への投資の両面を持つ。
  • 主な目的は分散効果、リターン向上、インフレ対応、インカム確保。
  • 配分は投資家の流動性ニーズ・投資期間・ガバナンスと整合させる。
  • リスク・ファクターで見ると伝統的資産と重なる部分がある点に注意する。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。